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第七話 一人ぼっちは寂しい

前回までのあらすじ

 いきなり異世界に来て、ロリコンの方々と戦うことになりました。


 ……なんて、頭の中を整理した僕は二本のモーニングスターを構えて、周囲を取り囲んでいる蜥蜴人たちを見る。

 ニタニタと下卑た笑いを浮かべるロリコン屑どもは、僕と目が合うとだらしなく微笑んだ。

 ……やりにくいことこの上ないっ!

 ええ、なにこれ、可愛いは正義過ぎて困る!


「グルアア! ブルアアアア!!」


 アルファールが何か吠えている。

 ほんと、何を吠えているか分からない。

 ただ、僕を悲しげな表情で見つめた後に、


「ブルァァァァァアア!」

 と、某有名男性声優さんっぽく叫んでから、蜥蜴人達に突っ込んでいった。


 体長は、3メートルほどもあるにもかかわらず、その突進は目にも留まらぬ速度だった。

 アルファールは一番近くにいた蜥蜴人に体当たり。なすすべも崩れ落ちた敵は、そのままのど元を喰いちぎられる。

 溢れる鮮血、断末魔の叫びと、


「ぶるああああぁあぁぁあぁぁ!」

 というアルファールの叫び声が響く。


 うっわ……。


 僕はアルファールの奮闘を横目でみて、そして引いていた。

 アルファールのもとへと向かっていく蜥蜴人達。

 流石に、複数で対処しなければならないと思いなおしたのだろう。

 だが、僕の根の前にもやはり敵は残っていた。


 ひときわ大きな蜥蜴人を筆頭に、合計5人が目前で舌なめずりをしていた。


「幼女たんよ、痛い目を見たくなければ、俺たちと一緒に来るんだな。……あっちの化物は、流石に死んでもらわなくちゃこまるけど、幼女ちゃんには罪はねぇからよ」


 鼻息を荒くしながら、大きな蜥蜴人はそう告げたのだった。

 僕は横目で蜥蜴人と血生臭い死闘を繰り広げているアルファールを見て思案する。


 ……この人たち、別に悪い人には見えないんだよなぁ。

 小さい女の子を愛でるというのは、人として当然の行為であり、そしてまた当然の感情である。僕は彼らに対して、そこまでの険悪感を抱いてはいない、


 むしろ、幼女を集めて可愛い可愛いしているみたいなので、僕もそこに加入してみたいなうへへへへ。


「……もし僕が、君たちについていくってなったら、どうなるの?」


 僕は、確認のためにそう質問していた。

 蜥蜴人は、その質問に目を細めてから答える。


「なぁに、怖いことはしないさ。ただ、お着替えやお話を愉しんで、そしてほんの少しだけ、ぺろぺろさせてもらうだけさ」


 僕はその言葉を聞いて、激怒した、


「ぺろぺろ・だと……!?」


 怒りによって支配された感情。

 これまで感じたことのない力が、僕の内で渦巻いているのが理解できた。


「君たちは……幼女を集めてはぺろぺろすることを生業としているの?」

「おおっと、勘違いしてもらっちゃ困るぜ! ぺろぺろと言っても、エッチなことはしていない。ちゃんと、二の腕や指先といった、健全な箇所のぺろぺろだ!……だから、怖がるんじゃねぇよ」

「笑止! だまれ、この腐れ外道め! 僕と君たちの道が、これより交わることは無い!」

「それがなぜか、問うても良いか?」

「無論! イエスロリータ、ノー!タッチ!! 故に、貴様らとは交わえぬ!」

「ならば、力づくでペロルまで!」


 僕たちは、決定的に決別した。

 この時より、相対するは互いの命のやり取りのため。

 無職童貞三十歳の僕は、喧嘩なんてしたことないし、この世界のステータスでは、レベル一。

 相手は、レベル700オーバー。

 勝てる通りは無し。

 しかし、それでも……


「負けるわけには、いかないっ!」


 僕はそう叫び、獲物を持つ二つの腕に力を込める。

 

 向かい来る眼帯を付けた蜥蜴人の腹筋ローラーを振り下ろした一撃を躱す。

 その先にいたのはやはり腹筋ローラーを、今度は突きつけてきた。

 それを左のマジカルスティックモーニングスターで受け止めてから、右のマジカルスティックを振り下ろす。

 

 それは、目にも留まらぬ速さ。

 的確に脳天を捉えたマジカルスティック。

 蜥蜴人の顔面は、弾けたザクロのように、爆散した。

 飛び散るは、蒼き血液。

 手に残る感触、それはえも言えぬものだった。


 だが、ここで呆けているわけには行かない。

 先程振り下ろしの一撃を躱した蜥蜴人が、またしても襲い掛かる。

 彼が攻撃を加える前に、その顔面目掛けてハイキック。

 勢いよく、サッカーボールのように、高速で飛来していった蜥蜴人の頭部が、後ろに控えていた蜥蜴人に直撃。


 首を失った蜥蜴人と、歪な二つ首となった蜥蜴人の身体が、ビクンビクンと痙攣していた。間違いなく、死んだのだろう。


 残りの蜥蜴人は、2人。

 そして、背後から僕の隙を伺い、今この時襲い掛かろうとしている蜥蜴人を、振り向きざまにマジカルスティックの挟撃し、肉ミンチへと変えた。


 これで、残るは目の前でびくびくと震えるひときわ大きな蜥蜴人のみとなっていた。

 僕は、握りしめた両腕のマジカルスティックを構えなおす。


「ひゅ~、おっかない幼女ちゃんだぜ。怖い怖い」


 軽口を震え声で呟いた、ひときわ大きな蜥蜴人。

 恐怖、を感じているのかもしれない、

 しかし僕は、そんな彼にも容赦なく迫る。

 

「ひ、ひぃぃ~!!!」


 と情けない声を出して、尻もちをついた蜥蜴人の背後に回る。

 そして、背中側から思いっきりゴルフスウィングの要領で振る。

 すると、胸から下がはじけ飛んだ


 注ぎ落ちる、大量の鮮血。

 それは雨のように降り注ぎ、僕を真紅に染めて言った。


 僕の周囲にいた蜥蜴人は、一人残らず命を失った肉の塊へと変化していた。

 僕はそれらを見下ろしてから、


「あばばばばばば、こ、殺すつもりは無かったのにぃ~!!」


 自分が行った虐殺行為にビビって、股間を湿らせていた。


 この30年間、虫を殺したことすら稀だったのに、どうしてこんなことになってしまったのだろうか?

 ……蜥蜴人さんたち、700レベルの強者なんでしょ?

 なのに、なんでこんなもろいの?

 僕、感覚的にバッドを振り回して近寄るなーって、してただけだよ?

 いやいや、それよりも、思い返してみれば戦いのさなかの僕は割とノリノリだったような気もする……。


 こわっ! 

 すんごい強そうな人をちぎってはなげをするわ、メンタルもおかしくなるわ……マジで僕、何をされちゃったの!?

 

 僕は頭を抱えて、僕をこの世界に連れてきた原因である、今はまんま化物となってしまったアルファールさんを見るため、振り返る。


 そこにいたのは、数多の無残な蜥蜴人の死骸と。

 白目を剥いてビクンビクンと痙攣し、今にも死にそうな……ていうか、あれ?

 動き止まったよ!? 死んじゃった??

 ……えぇ?

 

「あ、アルファール!?」


 僕は叫び、アルファールの元へと駆けつけた。

 そして、彼の体を抱きかかえる。

 まだ、温かい。だが、鼓動はなく、呼吸もない。

 それは、命の抜け殻だった。


「……そんな、こんな場所で、僕を一人にしないでよ。僕は、まだ何もわかってないのに…手天自分のことも、この世界のことも。そして、気味のことだって……」

 うわぁぁぁぁっぁぁぁぁあっぁあああ!


 僕は天に向かって、吠える。

 数多の死骸の上に、今の僕はいる。

 この異世界にきて、僕は早くも絶望を知ることになった、

 見知らぬ土地での、孤独。

 それは、耐えがたき苦痛であった。


 このぶつけようのない気持ちを、どこにぶつければいいんだろう……?

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