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第四十話 決戦! 邪知暴虐の魔王!

 魔王城。それは、この大陸を支配する魔王が玉座に座す、魔の巣窟である。

 ここには本来、強力な結界が貼られていた。本来ならば、何人たりとも侵入することができない魔王軍屈指の実力者である【四死獣禄】たる東西南北の守護者は、なにもその地域だけを護っているわけではない。


 彼らはそれぞれ結界の核である【魔力結晶】を所有し、それをも護っているのだ。

 だが、その守護者は皆、ただ一人の魔法少女に倒され、結界は破られることになったのだ……。



「とうとうここまで来られたね」


 僕は目の前で圧倒的な存在感を示す馬鹿でかい城を見て、周囲に向かって呟いた。


「ああ、そうだな」


 メイデンが神妙に頷いた。


「ここに来るのも、久しぶりだな……」


 ウェスは本来魔王の側だったからだろう、どこか気まずさを含めた表情だった。


「さぁ、ちゃっちゃと終わらすで」


 アルファールの言葉に、僕は頷きモーニングスターを握りしめる。

 そして魔王城に向かって魔力砲をぶっ放した。


「もう突っ込む気力もあらへんわ……」


 隣で深く溜息を吐いたアルファール。

 なんのことだろう、と僕は思うものの、目の前で起こった光景に、目を奪われた。


「っな!? 僕の魔力砲が、弾かれている!?」


「と、言うより……目に見えない障壁に、魔力が吸収されている?」


 メイデンが僕の言葉に続く。

 僕の魔力砲は、城にぶつかる直前、目に見えない何かに阻まれ、そして吸い込まれていった。


「ロリ様、これは魔王様の空間魔法っす。

 結界、というよりも、相手の攻撃を異空間に飛ばす防御魔法っす」


「自動防御の結界ではなく、空間魔法で防御をしてるっちゅーことは、魔王のアホンダラはこっちの様子を見ながら防御にのぞんでいる状況ってわけかいな?」


「その通りよ」


 アルファールに答える女性の声。それは、聞き覚えがあるものだった。


「ようこそ、魔王様の城へ。歓迎するわぁ、くそったれの反逆者共」


 妖艶に微笑むその美しい女性は、【四死獣禄】最強にして、かつての南の守護者。サースだった。


「え、なんで君ここにいるの? 人間の味方してって言ったよね?」


 僕はモーニングスターをサースに突きつける。


「……ちょ、やめて……」


 サースは泣き顔で言った。

 アルファールがジト目でこちらを見つめている。

 僕はモーニングスターを降ろすと、サースはほっと胸を撫で下ろした。


「そちらのお嬢さんは、城へ招待しましょう。魔王様がお呼びよ」


 そう言って僕を指さすサース。彼女の背後の空間に裂き目が生じ、そして真っ黒な空間が現れた。


「ここを通れば、魔王様が待つ玉座へと至れるわ」

 

 恭しく頭を下げるサース。

 僕は再びモーニングスターを突きつけながら、様子をうかがう。

 額に汗をかき、目が泳いでいる。


「それはウソだね。本当ならそんな挙動不審にはならないでしょ?」


「これは単にトラウマを思い出して様子がおかしくなっているだけとは思うが」


 メイデンがサースに憐みの視線を送っていた。


「……ロリ様、多分サースの言ってることは本当っす。

 一対一で魔王様はロリ様と相対するつもりっす」


 もと【四死獣禄】のよしみか、ウェスはサースのフォローをしている。


「……分かった。それじゃ、行こう」


 モーニングスターを持ち直して、僕は言う。

 続いて、アルファールも歩き出した。


 空間の裂け目が、僕とアルファールへと向かってきた。

 そして、躊躇いなく僕たちはその中に入る。


「……あれ、そういえば。メイデンとウェスはどうするの?」


 僕は呟き、振り返る。


「ンフフ。それでは、ごゆっくり」


 振り返った僕に、サースはひらひらと手を振った。

 そして、裂けた空間が閉じる。


「うわわ、ウェスとメイデンを置いてきちゃった……大丈夫かなぁ?」


「人の心配しとる場合やないで」


 気付いたら、そこは、見たことのない場所。

 華美な装飾の施されたその広間の奥には、一際絢爛豪華に輝く、玉座があり。

 そこには、黒く蠢く人型の影が座していた。


「目の前のウジ虫野郎が、魔王や。……気合入れて、ぶち殺すでぇ!」


「この人が、魔王……」


 僕の呟きに、その影……魔王が応える。


「ようこそ、余の城へ。会いたかったぞ……魔法少女よ」



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