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第三十七話 終結! VS北の守護者【不動】のノイス!

「ん、どうしたんだろ?」


 僕たちを取り囲む【鬼】の動きが、突如止まった。

 さっきまで、どれだけ消し飛ばしても現れ続けていた彼らが、今は増加も止まっていた。


「なんや、おやつの時間かいな? おやつは一人300円までやから、気ぃ付けやー」


 アルファール先生が意味の分からないことを叫んでいた。

 その叫びに呼応するように、【鬼】達の姿が、空間に解けるように溶けていった。

「鬼」たちは、数秒ほどで一体たりとも見当たらなくなっていた。


「一体、どういうことなの?」


 僕が呟くと、


「メイデンが、ノイスを倒したのかもしれないっす」


「術者が死んだから、鬼が消えた、っチュー訳やな」


「あれ、その理屈だと、この世界も、なくなるんじゃないの?」


 僕が言うと、何もない空間に亀裂が走った。

 足元もおぼつかない。


「……そうかもしれんな」


 アルファールが小さく呟いた瞬間。

 空間が、真っ二つに割れた。

 そして僕たちは、その空間のはざまへと、ぱっくりと飲み込まれてしまった。


「わわわわわ!」


 僕たちは、砕け散る空間を、急降下していった。


☆ ☆ ☆


 どんっと、体に衝撃が走った。


「あいててて」


 急降下していく感覚がなくなった。そう思った次の瞬間、何かにぶつかった。


 目の前には、青空が広がっている。という事は地面にぶつかったのだろう。

 周囲を見ると、同じように尻もちをついているアルファールとウェスがいた。

 そして、自分がいる場所が転移する前の場所だという事に気が付いた。


 なぜなら、そこには剣を握るメイデンがいたからだ。

 そして、その眼前には甲羅を背負った巨躯の魔人が、血の海に沈んでいた。

 こいつが、話に聞いた北の守護者に違いないだろう。


 僕は立ち上がり、すぐさまメイデンへと駆け寄った。


「メイデン! よかった、無事だったんだね!」


 僕の言葉に、彼女は振り返った。

 こうして再会できたという事は、きっと彼女は一人で北の守護者【不動】のノイスを倒したのだ。

 誇らしげな表情に違いない。


 ……そう思っていたのに、違った。

 メイデンは、とても辛そうにしている。

 だけどこちらを安心させるためか、弱弱しい表情を浮かべた。


「……どうしたの?」


「勝ったよ。……私は、勝ったんだ」


 メイデンは静かに答える。彼女の表情は、やはり痛切で。

 ……どう見ても、勝利に喜ぶ者の顔ではなかった。


「ほんなら、そこにぶっ倒れているでっかいのが最後の【四死獣禄】かいな。

 ワイらを異空間に閉じ込めたまでは悪くなかったが、手下も連れんとのこのこ現れ、挙句倒されるなんて間の抜けたダボやなぁ」


 いてててて、と尻もちをついたお尻をさすりながら、空気を読まないアルファールが言った。


「アルファール。……この者に対する侮辱は、いくらあなたでも許せない」


 静かに、だが確かな怒りを湛えて、メイデンは言った。

 僕はそれに驚く。

 自らが倒した敵への侮辱に、どうしてメイデンはこんなに怒ることができるのだろうか、と。


「……おのれがそこまで言うっちゅーことは、こいつも只者やなかったわけや。

 ほんなら、侮辱は撤回するわ」


「……ああ、彼は倒すべき敵ではあったが、彼ほど尊敬できる者はいない」


「ええ出会いやったんやんけ。……良かったな」


 アルファールの言葉に、メイデンは微かに頷いて答えた。 


 またしても、僕は驚く。

 アルファールが素直に自らの言葉を撤回したことが、僕には信じられなかった。


「どうしたのアルファールとうとう脳みそがおかしくなったの?

 キャラが違うじゃん言動がおかしいよ気持ち悪いよ吐き気がするよ」


「……喧嘩売っとんのかおのれは?

 ワイもおのれのような鬼畜以外にはそれなりの対応をするだけや、分かったら死んで詫びろ」


 中指を立ててアルファールが僕に言う。なんて下品な奴なんだ、このファ●ク野郎は。

 僕が呆れていると、ウェスがノイスへと近づいていった。


 ……彼らは共に【四死獣禄】として魔王を支えた戦友だ。

 それを、こんな形で再会させてしまったことに、引け目を感じずにはいられない。


「……不思議だ。俺様はいつも、老いぼれのお前が早く死なないかと思っていたんだが、本当に死んだとなると。……寂しいもんだな」


 ウェスは、ノイスに語り掛けるように、ゆっくりとした調子で言った。

 そのままウェスは、ノイスから目を離さずに、


「なぁ、教えてくれ。ノイスの最後は、どうだったんだ?」


 メイデンに問いかけた。


「ノイスは、とても立派な最後だった。

 ……お前らのようにみっともない命乞いをせずに、最後の瞬間まで、誇り高く生きて、そして誇り高く死んだよ」


 静かに、悲痛な声でメイデンは言った。


「そうか。それを聞けて、良かったぜ。……ただ、『お前らのようにみっともなく』は余計だからな、うん」


 静かに、悲痛な声でウェスも言った。その頬には一筋の涙が零れ落ちていた。


 きっと、友の死を悼んでのことだろう。


 ……多分ね!

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