第三十三話 こんにちわ初めまして
僕はこんにちわ初めましての変な人達を視界に入れつつモーニングスターを握りしめて、問いかける。
「えーと。……これ、何かな?」
「こいつらは、命を持たない存在。
ノイスの第九位階……超高等召喚魔法によって生み出された【鬼】たちっすよ」
その言葉に応じるように、ゆらゆらと幽鬼たちが揺れ動き、そして襲い掛かってくる。
ウェスは人間体から本来の魔人の姿に戻る。
野生に満ちた力を解き放ち、【鬼】を迎え撃った。
集団でこちらに向かう【鬼】の軍勢。
ウェスは牙を剥きだしにして敵ののど元を喰いちぎる。
歪んだ姿は、一拍置いて霧散する。
案外見掛け倒しで、強くないのかな、【鬼】ってやつも。
そう思っていると、ウェスへと続々と【鬼】が襲い掛かる。
その数は優に50を超えていた。
四方八方から、鬼たちは手にした棍棒や鎌で攻撃を加える。
スピードで翻弄するものの、やはり数が多いのか、ウェスも数回攻撃を喰らっている。
見掛け倒し、というのは僕の見当違いで、一体一体の力も、やはりそれなりだったらしい。
【四死獣禄】のウェスが、50の【鬼】を屠ったときには、既に体中傷だらけになっていた。
……僕のところにまできた【鬼】は、モーニングスターの一撃でばらばらになって霧のように霧散していったから、それなり以上の力はないみたいだったんだけどね。
その様子を見たウェスが、一度撤退し僕の隣に立つ。
……ちなみにアルファールは僕の後ろに隠れてじっとしていた。
そうしている間にも、続々と【鬼】達は、何もない空間から、溶けるように現れていた。
「俺っちも、話には聞いたことがありましたが、実際に【鬼】どもと戦うのは初めてっす。
ただ、この魔法は、ノイスが長年を賭けて特殊な魔法結晶に蓄積し続けた魔力が尽きるまでこの空間の中で戦わされ続けると聞いたっス」
それを聞いて、僕は少しだけ肩の力が抜けた。
「なんだ、それじゃ良かった」
僕は迫っていた【鬼】の頭をモーニングスターでフルスイングして、ぐしゃりと潰した。
命のない相手だから、虫を殺すほどの躊躇いも無い。
「ポンポン出てくるこいつらを殺したら、元の場所に変えれるってことでしょ?」
言っているうちにも、【鬼】は次々に姿を現し続ける。
ウェスが先程片づけた50を優に超え、視界一杯の【鬼】が蠢いている。
「……そうっすけど、いくらなんでもそう簡単に【鬼】を殺し尽くせるとは思えないっすよ」
しんどそうに、ウェスは言う。
……そんなこともないと思うけど。
「大丈夫だよ、見てて」
僕はモーニングスターを右端にいる【鬼】の大群に向けて、魔力砲を発射する。
いつもならモーニングスターから一直線に放つだけだったそれだけど、今度は横にスライドさせていく。
すると、出力され続けている魔力砲がその横移動に合わせて動いていく。
大量にいた【鬼】達は、順番に消し炭に変わっていき、左端へと到着した時には、きれいさっぱり鬼の姿はなくなっていた。
ウェスはそれを見て、驚いていた。
「どんなもんや、くそったれの鬼どもめ!
どうせおのれらは消し炭に変わるしか能がないんや。
大人しく死んどれ、ダボがぁっ!」
「なんで君が威張り散らしているんだよ……」
僕は嘆息しつつ、再び現れ始めた【鬼】達を見て言う。
「さて、はやくこいつらを片づけて、メイデンのところに戻らなくっちゃ!」




