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閑話 旅の道中~獣耳美少女(だが男だ)~

 ここはどこなのだろうか? 分からない。

 それは何故か?

  ……この大陸は、ウェスの拠点だったように森もあるにはあるのだが、基本的には荒れ果てた荒野が大部分を占めており、どこもかしこも似たような光景なのだ。


 もう丸3日は、この地平線が見える以外は特に変哲のない荒野を、北へと向かって歩いている。

 タフなメイデンも疲れの表情を隠せなくなってきているし、幼女にしか見えないアルファールも、うんざりしたように歩いている。


 つい先日、ともに旅をするようになった魔人、ウェスの表情にも疲れが見て取れた。

 なんだったら僕たちと行動するんじゃなかったとか思ってそうだった。

 僕はウェスの小さな・・・後ろ姿を見る。


 ウェスは、人間の姿に変化しているのだ。

 どうやら、高位の魔人は、人間の見かけをまねることができるらしい。

 そんなウェスの人間体はというと……。


 褐色の肌に、蒼い瞳。

 腰まで届きそうな藍色の髪の毛をポニーテールにまとめた、愛らしい少女の姿をしている。

 そして……虎耳と尻尾も生えている。あざとい。

 

 いや、そこは良い。問題は、性別だ。

 見た目はただただ可愛らしい、いつまでも愛で続けたい少女なのだが、ウェスは雄だ。

 必然的に、人間体も男になる。つまり、男の娘というやつだ。


 ……まともなロリがいない。

 僕といいアルファールといいウェスといい。みんな見せかけばかりのロリだ。がっかりだ。

 僕は肩を落としてその姿を視界から外す。


 ……ただ歩くだけだと、ついつい考え事をしてしまう。

 ちょっと前まで日本でサラリーマンをしていた時のことを思い出し、僕はアルファールへと言う。


「最近、良く思うんだ。異世界転生って言ったらさ。こう、華やかな中世ヨーロッパ風の世界でさ。

 現代知識を使って内政したり、異世界の食材と現代の調理法をミックスしてグルメを満喫したり、ケモ耳美少女やエルフたちとハーレム築いたり。

 ……チートで無双する以外にも、バリエーション豊かなわけじゃん?」


「はぁ、ネット小説の読み過ぎやな。現実はこんなもんやで、くそったれ童貞」


 しんどい死ぬ、ていうか死ね。

 アルファールは僕の言葉には興味無さそうに、ただただ怨嗟の言葉を口にしているだけだった。


「だとしてもだよ? 流石にどこぞの世紀末みたいな世界で魔人たちをひたすらに肉ミンチに変えるだけの現実っていうのは如何なものだと思っちゃうんだよね」


「俺TUEEE出来て良かったやん? 自分も満足やろ? やないと全身の骨砕くぞ」


 ぼっきぼきやでぇ、虚ろな目でアルファールは呟いていた。


「いや、僕はそんなに好戦的じゃないから、無双は別になくても良かったよぉ。

 それに、肝心のハーレムがないのが僕としては一番痛いよ」


「なんやねんこの助平は……一億度の熱湯に沈めるぞ。

 言うて、ハーレム要員はたくさんおるやんけ。

 メイデンなんておのれの好みとは違うかも知らんけど、美少女やろ?

 あと、この間仲間に加わったウェスも、人間体はまんま美少女やんけ。

 ほんで、しゃあなしや。ワイもそのハーレム要因の一員に加えたってもええ。

 ……こんなサービス、滅多にしないんやからねっ!」


 白目を剥いたアルファールが言った。疲れているんだなぁ、こいつも……。

 でも、アルファールは両性具有だし、ウェスはいくらかわいくても男だし、メイデンは僕のストライクゾーンから外れているしね、主に年齢が。

 ……一番好みなのが、自分自身っていうこの残念ハーレム。

 僕は嘆息し、大きく溜息を吐いた。


「なんやねん未練がましく溜息までついてごちゃごちゃと

 ……ウチはウチ。ヨソはヨソなんやから、あんまりぴーちくパーチク囀るなや」


 アルファールお母さんが言う。

 ……ああ、僕も異世界で楽々ライフを送ってみたかったよ……。

 僕はしみじみとそう思ったのでした。


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