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第二十四話 激突!! 南の守護者【不死】のサース

「ごめんなさいいぃぃぃぃぃ!!

 もう絶対に歯向かったりなんてしませんからあああぁあぁぁ!!

 だからもう許してくださいぃぃぃぃいい!」


 僕の目の前で、南の守護者【不死】のサースが、

 綺麗だった顔を泣きはらしながら謝罪の言葉を述べて、土下座をしていた。

 元々は仕立ての良いドレスで着飾った色っぽい美人だったのに、

 ボロボロの服装で土下座をしている彼女にはその面影が一切なかった。

 いくら敵とはいえ、その姿をみると、哀れだな、と思ってしまう。


「おのれはほんまエグイわ。もう言葉もないわ」


「え、そうかな……?」


「さすがに私も言葉が出ないぞ、ロリペディア」


 メイデンが気まずそうに眼を背けて言った。……僕、何かひどいことしてたっけなぁ?


「おのれは何をとぼけとんねん!

 このわんわん泣いとる小娘の領土に入ってすぐに、

 自然の砦であった山を、魔力砲で消し飛ばしったんやろが!」


 見てみい! と、アルファールが指を向けたのは、三日月形にかけた、山脈だった。

 あれは本来立派な山だったんだけど……。


「敵がいるってわかってて、それもろとも吹き飛ばすすべがあるなら、普通はそうするよね?」


「おのれは虫も殺せない言うとったやろが、何を壮絶な大虐殺をしとるねん。

 もうこの【不死】の女以外はみんな間違いなく死んでる。おのれは記憶喪失か何かですかオオン!?

 何を寝ぼけたこと言い出すねんぶっ殺すぞ!?」


「もー、うるさいなぁ。

 アルファールの見た目が幼い人間じゃなかったら酷いよ!?

 全身をばらばらにしてからそれらを1つ1つ丁寧に踏みつぶしていたところなんだから!」


「だからか!?

 だからおのれはこの【不死】の女に、ワイにできないことを苛立ちまじりにぶつけとったんかいな!?

 そう言えば翼や四肢を引きちぎってそれを口に突っ込んでから魔力砲をぶち込んで随分とお楽しみの様子でしたなぁ、おのれは。ほんま質悪いわぁ、ひくわぁ」


「そんな風に言わなくてもいいじゃんか!

 そもそも、最初は僕に魔王を倒してもらおうとしてたんでしょ?

 そんなアルファールに、弾劾されるいわれは全くないよ!」


 僕が身勝手なアルファールの言葉に抗議をしていると、


「二人とも、落ち着くんだ。まずは。

 目の前で限りなくコンパクトに折りたたまれている、この可哀想な奴をどうするか考えよう」


 メイデンが僕たちを窘める。

 ……絶対アルファールが悪いのになぁ、と思いつつ、僕は素直に従うことにした。


「おい、【不死】の。聞かせろ」


 メイデンがサースに向かって質問をする。


「はい、妾に答えられることなら、なんなりと!」


 サースは額を地面にこすりつけたまま、すぐに答える。……本当に哀れだ。

 僕が原因とはいえ、綺麗な女性を泣かせるなんて……。

 でも、満年齢14歳以上の女性に優しくする必要なんて、ないか。


「魔王城の結界を破壊したい。南の守護者の分の結界を解除するためには、どうすればよい?」


「それならば、問題ありません!」


 そう言って、サースは自らの指先に嵌められた、魔力結晶が目立つ指輪を取り外す。


「これが結界を保っている鍵です。これさえ壊せば。南の分の結界は解除されます。

 妾を殺す必要なんて。ございません。

 ……ついでに言うと、他の【四死獣禄】たちも、同じような魔力結晶を身に着けています。

 それさえ壊せば結界は壊れます」


 そう言えば、、イースも四肢に魔力結晶を埋め込んでいたなぁ。

 多分、あれがそうだったのだろう。

 アルファールは説明を聞きつつ、サースがつまんでいる指輪を鑑定していた。


「どう?」


「……そいつの言うとることに間違いはないで。それさえ壊せば、万事解決や」


「そっか」


 僕はそう呟いてから、彼女から指輪を受け取った。


「ねぇ、護って欲しい約束があるんだ」


「はい、何でしょう!?」


「僕は、ここで君を殺さない」


「何言うとんねん。殺すよりもえげつないこと、どんだけしたか分かっとらんのか……?」


 アルファールの言葉は、相変わらず意味が分からないなぁ。


「だから。これからは、人を殺さないでほしい。弱いものを助けていってくれないだろうか?」


「約束しますだからもう、これ以上妾をいじめないでください!」


 おんおん言って大声で泣きだすサース。僕はさすがに彼女が可哀そうになって、


「うん。もうこれで、お終いだ」


 そう言って、手の中にあった指輪を砕く。


 それは粉々に砕けた後、暗い光に包まれ、跡形もなく消えていった。


「これで、妾は……解放ですか?」


「うん。もう、何処に行っても良いよ」


 僕の言葉に。サースはパッと表情を輝かせた。

 無垢な女の子の笑顔のようで、可愛いなと思ってしまった。


 そして彼女は、背中の羽を広げて、飛び立ってしまった。

 その背を見送る僕に、アルファールとメイデンが声を掛けてくる。


「ええ、マジで逃がすんかいな!?」


「え、そうだけど……流石に、もう悪さはしないんじゃないかな? こりごりでしょう」


「それはそうと思うのだが……」


 僕の言葉に、メイデンが歯切れ悪く答えた。


「なにか不都合があったかな?」


 僕が首を傾げて聞くと、


「不都合言うかな。てっきりおのれが無事にあの女を帰すのが意外だっただけや。

 どうせ上げて落とすパターンで、帰っていいと言った次の瞬間にぶち殺すと思っていたもんやから……

 びっくりしたんや」


「もう、僕のことをどんだけ鬼畜だと思ってるのさ! そんなことしないよ」


 あっはっは、と僕は笑う。


「「……」」


 アルファールとメイデンが目を背けていた。アルファールまでノーコメントなのは珍しい。

 いつもはうるさい突っ込みが入るのに。

 だから、肩すかしを喰らったようになってしまった。


 僕たちの間を流れる気まずい空気を払拭するように、僕は宣言する。


「行こう。次は、西だ」


 

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