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第二十話 シャッキリ・ポン~闇を払う光~

「オイイィィィィィ!! なんじゃこりゃああぁぁぁぁぁぁあああ!?」


 その幼女、アルファール(?)がどこかで見覚えの有るような叫びをあげていた。


「アルファール、なんだよね? なんで、幼女になっているの!?」

「し、知らへんわ! これが呪いとかいうけったいなやつの効果何やろか!?

 あー、くっそ。ほんま、信じられへんわ!」


 そう言いながら、自らの体の変化に参っているアルファール。

 どこから現れたのか、フリフリの可愛らしい衣装に身を包んでいて、その服の裾を引っ張ったりしている。

 その姿は大変キュートで可愛らしいのだが、なんで服に身を包まれているのだろうか。


 ふつう、ここはすっぽんぽんではないと、可笑しいだろう。

 ……いや、別にアルファールのすっぽんぽんが見たいというわけでないので、勘違いしないでよねっ!


「って、おのれは何を邪な目でワイを見てるんや!? ワイはおのれの大好きな、幼女とはちゃうで!」


「へ、変なこと言わないでよ! 別に、邪な目なんて、向けていないんだから!!

 あと、幼女が好きなわけでもないし! ……でも自分が幼女であることは認めて」


 僕が言うと、アルファールは悲しそうにくびを横に振った。


「ワイはな、雌雄がないねん。両性具有なんや。

 つまり、こんな可愛らしいしとってもやな、ワイは雄でもメスでもない、言うわけや」


「そっか、見た目だけ幼女なだけで、女の子ってわけじゃないなんだ。ふーん、っそ。……っぺ」


 別に僕はそういう特殊な趣味はない。

 幼女じゃないというのであれば、興味はない。

 ……ていうか、何度も言うけどそもそも僕って、ロリコンじゃないですからね?


 何か勘違いしているな、このなぞ生物は。

 僕は苛立ちまじりに、唾を吐き捨てたのだった。


「おま、……ほんま屑やな」


 アルファールがドン引きしていたけれど、気にしない。

 幼女でないなら、優しくする理由なんてない。

 むしろ、幼女っぽい見た目で僕をだまそうとするから、尚たちが悪いと言える。


「なんや、えらい冷たい眼差しに変わりよったな。

 別に、なにもだますつもりは無かったっちゅーに、ほんまこの屑野郎は……」


 呆れたように、アルファールはため息を吐いた。

 可愛らしいしぐさではあるものの、その正体はアルファールなのだ。


 本能的に肉ミンチのぼろ雑巾にしてやりたくなるのも、無理はない。

 僕とアルファールが、互いに罵りあっていると、


「まぁまぁ、2人とも、そのくらいにしておきなさい」


 その様子を見ていた少女が、僕たちの小競り合いに割って入った。

 微笑みを浮かべる彼女は、僕とアルファールの傍に歩み寄り、そしてさりげなく僕の髪の毛を指先で優しく梳いた。


「二人の事は、あまりよく分からない。だから、ひとまず自己紹介、でもしておこうか」

「……それも、そうだね。僕たちも、君の事はとても気になるし」


 僕のセリフに、


「私も、貴方のことはとても気になる」


 と、目を細めていった。

 急に背筋に、寒気が……。

 なんだろう、今の感覚?


「私は、メイデン。

 ヴァージン村に伝わる神器【シャッキリ・ポン】を手にし、女神によって魔王討伐を運命づけられた者……自分でいうと面映ゆいが、有体にいえば、勇者だ」


 彼女、メイデンと名乗った少女の言葉を聞いた僕は、アルファールに耳打ちをする。


「これまた突っ込みどころが多い人だね」


「そうやな。ま、中二病とはいえ、おのれよっかはなんぼもマシな人間やな」


「ああ?」


「なんや、やるんか、お?」


 毒を吐くアルファールに、僕はいつものノリで身体を真っ二つに引き裂いてから地面に叩きつけようかと思ったんだけど、やはり人間の姿をしているアルファールにそれをするのは心が痛む。


 なので、軽くデコピンをした。

 すると、アルファールは額を抑えて、驚きの表情を僕にむけた。


「なんや、えらい優しいやんけ。

 四肢を引きちぎって地面に叩きつける、くらいはされると覚悟してたんやが」


「そんなえげつないことするわけないでしょ! 全く、君は僕を何だと思ってるんだよ!」


 あまりにも心外だ。アルファールは僕を鬼畜か何かだと思っているのだろうか?


「いやいや、実際におのれはワイにそういうことをしなないことをいいことに、しょっちゅうやっていたやろ!?」


 慌てるアルファールの話を無視して、僕はメイデンに向かいなおる。


「おまたせしました」

「都合が悪くなったらすぐに無視するよな、おのれは」


 アルファールが何か言っているが、それこそ無視だ。

 僕はメイデンに微笑んだ。


「あ、もういいのか」


 メイデンは、僕たちが話しているのを何やらニヤニヤしながら見ていたのだが。

 ……何がおかしかったのだろうか。

 よくわからないけど、追及はしないでおこう。


「……その剣【シャッキリ・ポン】っていうんだっけ? ……変わった名前だね」


 僕は彼女が腰に帯びている装飾が施された剣を指さしていうと、


「変わった名前?

 ああ、【シャッキリ・ポン】とは、〈闇を払う光〉という意味の古代語から名づけられた名だ。

 確かに古代語を今も知るものは少ない。珍しい名に聞こえるのも、無理はないな」


「……あ、ああ。そうなんだ」


 僕は遠い目をして、曖昧に相槌を打った。


 やっぱりこの人、やばい人なんじゃないかなぁ。

 そう思っても仕方がないでしょ、これ。


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