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第十八話 決着

 体の痛みは、もうなかった。

 ただ、全身が熱く滾る。

 半比例して、頭はクールにさえわたっていた。


「もう、お終い?」


 僕は、イースに向かって微笑む。


「……調子に乗るなよ、小さき少女よ」

「どうだろう? でも、僕はまだちょーっと、物足りない、カモ」

 

 ほざけぇっ!!


 僕の言葉に、空を飛んだ竜人の叫びが呼応した。


「ならば真打をくれてやる!」


 先程のそれを上回る大きさの魔法陣が、三つ折り重なって現れた。


「折り重なり、積み重なった魔法が、うねりを上げて解き放たれたとき、この場もろとも消し飛ばすだろう! 我とて無事では済まぬが……貴様を葬るには、これをくれてやるのが手早い!」


 ……この波動、大したものだ。

 多分直撃すればさすがの僕もダメージを喰らうし、余波だけでもあの女の子は消し炭になってしまうだろう。


 一番の対策は、この攻撃が放たれる前にイースの息の根を止めることなんだけど……

 それじゃつまらないかな。


 そう思い、少女の前方へと、僕は移動した。


「へ!?」


 素っ頓狂な声を上げる少女に、


「僕の後ろに隠れていて。あいつの攻撃を受けたら、多分君死んじゃうから」


 と告げた。

 そして、再度イースへと向かい合う。

 真っ向勝負で、彼の全力をねじ伏せる。

 そう決意すると、


「……あなたの心配はするだけ無駄だろうが、それでも言っておく。

 私の武器は、魔を切り裂く聖なる剣。

 いかに極大の魔法であれど、それが魔力によって生じたものならば、全て切り伏せて見せよう」


 そう言って、僕に剣を掲げて見せる少女。

 僕はその剣を見る。

 が、やはり華美な装飾を施されただけの剣にしか見えなかった。


「それ、マジもんやで」


 いつの間にか僕の肩に乗っていたアルファールが、剣を見ながら言う。


「ちょいと不思議に思てたんや。

 強い言うても、あっちのイースに比べれば、格の落ちるあんたが、ドーピング前とはいえあの渡り合えていたのは、なぜかてな。

 ま、種が分かればなんてことはない。トンでも装備に助けられていたっチュー訳か・」


 アルファールが言うのであれば、間違いはないのかもしれない。

 それに、いう事ももっともだ。


「なるほど、分かったよ。それじゃ、自分の身は、自分で守れるって、ことだね」


 僕はそれだけ答えると、竜人に向き合って、集中力を高める。


「なんやおのれ。その体と力の使い方、ようく分かってきたみたいやんか」


 アルファールがちゃちゃをいれてくるが、気にしない。

 僕には、魔法なんてものは分からない。

 だけど、僕の内で昂る魔力、というものがあるのは、理解できている。

 無理やりせき止められて、行き場を求めているその力を、僕は、


「小さき少女よ、ここでいけぇ!」


 魔力の迸りを帯びた、氷と爆風の奔流が押し寄せてくる。

 僕は、イースがいた方向にモーニングスターの先端を向け、そして魔力を集中させた。

 することは、ただ一つ。


「出口を求める、魔力を。ただ、放出する、だけっ!」

 

 視界を埋め尽くしていた、魔力によって生み出された迸りが、一瞬で掻き消えた。


 目の前に現れたのは、半身……違うな。


 首から下を消し飛ばされた、イースの姿だった。


「……無念」


 力なく、地に落ちるその頭部を、僕はただ眺めていた。



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