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第十三話 ナイスガイ・ススム

「ここからまっすぐに歩けば、すぐに大きな洞窟が見える。

 そこが、【冷血】のイースの拠点である、【龍の洞穴】だ。

 そこには、【冷血】のイースのほかに、彼の側近を務める獣人、【天雷】のコーボキンもいる。

 やつの爪は猛毒だ。出会ったら、すぐさま逃げたほうがいい。

 ……【竜の洞穴】は、三層構造になっている。

 イースの部下である一般戦闘員が最も上である地上一層。

 部下たちの中でも腕利きの奴ら――コーボキンも、この中に含まれているが、こいつらが地下一層に。

 そして、最も深い地下二層に、ボスでありこの東の領域の守護者である【冷血】のイースがいる」


 村長が道案内に付けてくれた若者である、コロンポ=ススムが、ニヒルに呟いた。

 今いる場所は、村から離れた場所であり、ここまで案内を買って出てくれたのが、何を隠そう彼なのであった。


「なんやねんこの状況説明をするためだけにいる様な男は」


 僕の肩に乗ったアルファールが、呆れたように呟く。

 コロンポさんを見るが、意に介した様子は無く、僕はほっとした。


「……詳しいんですね」


 僕はコロンポさんを見上げて尋ねた。

 あまりにも詳しすぎて、罠なんじゃないのこれ? と軽く疑ってしまいそうな情報だった


「ああ、蜥蜴人のリュウさんが、教えてくれたことだ。

 だが、自称勇者の頭の狂った女が、一体どこにいるかまでは分からねぇ。

 一層の戦闘員に殺されている可能性が一番高いが……お前は、あまり無茶をするなよ」


「無茶もなにもあらへんわ。ワイらにとっちゃ、そいつらひっくるめて雑魚っていうんやで」


 蜥蜴人にぼろ雑巾のようにぼっこぼこにされていたアルファールが、いっちょ前に生意気な口を叩いていた。


「はは、頼もしいね。さすが聖獣様だ。それじゃ、俺はここらへんで帰らせてもらうとしよう」


 と言ってキザにウインクをしてから今来た道を振り返り、そしてなんば走り・・・・・で帰っていったコロンポさん。


「ありがとう、コロンポさん」


 聞こえているかどうかは分からなかったが、僕はコロンポさんにお礼をいった。


「ほんなら、ちゃっちゃといって雑魚共を蹴散らせて来るかいのぉ」


 ポキポキと指を鳴らすアルファール。そんな血気盛んな彼に、僕は問う。


「え? なにそれ!? どうやって指を鳴らしてるの!?」

「もうそのネタはええから、さっさと洞窟入るで、ほんまに!」


 怒られた僕は、反省して洞窟に向かうことにしましたとさ。


 ☆☆☆


 洞窟は、まっすぐに道を進むとすぐに見つかった。

 僕とアルファールは、その禍々しいオーラを放つ洞窟の中に、足を踏み入れる


 洞窟の中は、光が届かない真っ暗闇であった。

 普通の人間ならば、なにも見ることは叶わないであろうが、特別製の僕の身体は話が違った。

 随分と夜目が利くようで、非常に悪い足元であるにも関わらず、立ち止まることなく進むことができた。


 それは、アルファールも同じだったようで、僕達二人はしばらく無言で洞窟内を進んでいった。

 そして、歩くこと数分。

 僕たちの足元に、とあるものが転がっていた。


 それは――

 生臭い、鉄のような臭いが鼻を刺す。

 無数に転がり、散らばったそれが何なのか、理解していたはずなのに、脳が理解を拒んでいた。


「死体、やな」


 僕たちの足元に転がっていたのは、獣人の無数の死体。

 それらは皆損傷が激しかった。


「……これをやったのは、自称勇者の女、なのかなぁ?」


 僕は呟いた。

 アルファールは、その問いに答える。


「ま、十中八九そうやろな。仲間割れでここまで派手なことするとは考えにくい」

「いくら敵とはいえ、ここまで残酷なこと……出来るのかなぁ?」


 僕は、問うていた。

 人間でないアルファールに尋ねても仕方ない、そうは思っても問わずにはいられなかった。


「……何言うとるんや、ダボが」


 呆れたような、アルファールの声。

 僕はその声に希望を感じ、そして彼を見た


「おのれの作った死体の方が、よっぽど酷かったで」


 あはは、と楽しそうに笑いながら、アルファールは言った。


「……イタチモドキの死体がここに追加されても、特に誰も困らないよね?」 

「や、やめぇやごみ屑!?

 今ここでワイを殺しても、何の得にもならんことは分かっとるやろ?

 そんな暇があれば、一刻もはよこの出来損ないのダンジョンっぽい洞窟を攻略するのが先やで!」


 アルファールが逃げ……じゃなくて、駆け足で僕の先を行く。

 僕はいつの間にか手にしていたモーニングスターを握りしめて、その後を追っていったのだった。





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