第7章 極星
神の世界、星の姿とはその神の限界の形である。神が限界を超えるということは、つまり星を超えることの可能である。そして目的地を知っていれば必ず到達するのは神の絶対である。
神々は庭の神から限界を超える知恵を得た。その力は庭の神の創造力の産物だと思い、誰もが疑わなかった。そして望みを叶え始めた。
庭を望んだ八百万の神々と、降臨を望んだ一頭の神。双方の願いで望みは実現された。光の道が星々を繋ぎ、望みの星へ神々は降り立った。ただ二頭、『燻銀の月』と『鋼の太陽』を除いて。
「嗚呼。これが夢と見た庭の世界。願い叶うとは」
八百万の神々は夢にまで見た世界に歓喜した。
「庭の神よ。そなたの知恵と力に感謝する」
神々は尽きなかった好奇心を満たそうと、庭にどっぷりと浸った。そしてそれは、どこまでも果てることは無かった。飽きない日々、宴は延々と続いた。自身の庭で神々が狂喜する世界。その様子に庭の神はある確信に至った。
「神々よ。我々は神の理を超えた。己の星を離れ、今こうして宴にあるのがその何よりの証である。この世界こそ、我々神という存在が到達すべきだった願いの地なのだ。今日よりこの星を神々の最果ての地『極星』とする」
庭の神は、更に告げた。
「我々はこの極星で神を超越するのだ」
世界の限界を超える力があるのであれば、自身を更なる存在に変えることが出来るはず。この時、庭の神は栄華の絶頂に達した。庭の神が『極星』に成った瞬間である。神々は、極星にある自身こそが唯一到達した存在なのだと慢心した。そしてあとは絶頂を超えるのみとなった。
そしてそれは、ただ満たされる日々が続いたある日のことだった。庭で一人の神が頭を抱えていた。神は、ぼんやりした様子で極星に尋ねた。
「教えてくれ。私は、私の願いは。いや、私は一体何者なのだ」