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第5章 庭の神
願いは叶えるもの。だが、夢は見るものである。
神が叶え、果たすものではない。
創造の神は限界を超えて夢に見た世界を造り上げた。
満足し、しばらく自身の庭に見とれていた神であったが、次第にその素晴らしさを他の神々にも知ってもらいたいと思い始めた。そして創造の神は、近しい神々に自分の世界を語り聞かせたのだ。
月よりも眩い水の反射。
日に向かって聳える緑の群。
使命を果たす多種多様の生命。
それらを満身に受け止める矜大な大地。
大自然に時が映る。
創造の命が織り成す庭は、神々を魅了した。神々は語り尽くことがない庭の話と、その星の姿に飽きることはなかった。そこにはまるで、全てがあるかの様だった。
庭の話は瞬く間に八百万の神々に知れ渡った。多くの神々が自身の星から創造の庭を眺めた。庭の世界はまるで夢のようで、興味が尽きることはなかった。皆、その創造力を讃えた。
いつしか創造の神は『庭の神』と呼ばれるようになった。