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第3章 限界
如何なる神にも最期の時は訪れる。それは神としての役目の一つである。
神は役目である願いを果たすため、魂に使命を与える。これが命である。
神は自身の魂を命として使い果たしたその時、最期を迎えるのだ。そして、命が尽きた神は、新たな魂となって深淵の流れに帰るのである。
故に、神々の力には限界がある。その限りの中で自身の世界を形作るのだ。
一頭の神がいた。神は自身の社に庭を造っていた。庭には多くの命があった。だがそれらは形だけで。色は無く。香りもなく。音もしない世界だった。
それがその神の限界だった。
ある時。神は庭に咲く花を見た。白い色の花だった。そして気づいたのだ。
限界が無いことを。