第21章 言ってみろ
絶望する少女に、黄金の神はかける言葉もない。
「散歩は終わりだ。帰るがいい」
そう言って、極星は背を向けた。
「ま、待て極星よ!それが真事だとして、この者に、本当に何もしてやれることは無いのか?」
「はぁー・・・。話のわからん奴だ。お前な、そうやってさっきから娘の事ばかり気にしているが・・・。一つ忠告をしておいてやろう。その馬鹿娘につられて、玉座を降りたりするでないぞ。足を庭に付けるな。取り返しがつかんことになる。これ以上馬鹿が増えるのはごめんだ。わかったらその娘を連れてさっさと帰れ!」
ただそれだけ言って、極星は大樹の奥深くに体を引きずって行く。が、それを少女が止めた。
「待って」
「どうした馬鹿娘。まだ何かあるのか?」
「私には帰る場所が無いの。このままじゃ帰れない」
「だからどうした。去れ、目障りだ。だいたいな、何故急に訪れたお前の、お前のお願い事を、我がわざわざ聞かねばならんのだ?おかしいだろ、馬鹿が」
「待って!どうしても力が欲しいの!私は町に帰りたいの!」
「神様の様になりたいが、今度は力が欲しいか・・・。つまらん願いだ」
必死な少女の願いをつまらんとされて、黄金の神が黙っていない。
「つまらんとはなんだ。この世界にありながら、居場所を得られない。それも他者が定めた勝手な決まり事でだ。何かしらの力が、あるか無いかなどで、存在を否定されたこの者の望みを、そなたは本当につまら無いと。本当にそう思うのか?」
「そうだ。全くもって、つまらん。力無き故に、力に屈する。力無き故に、力にすがる。何が特別なのだ?非力の世迷言よ。聞くに値せん」
「非力であれ、何であれ。この者は救いを求め、ここまでやって来た。ここまで救いを求めてやってきた者は、そなたの世界にある者である。その者にただつまらんなどと。去れなどと。いくら何でもあんまりではないか!」
「じゃあ聞くが、黄金の者よ。貴様、その姿どうやって維持している?」
「―――っ!そなた―――」
最早はなしにならんと、そう思った時だった。少女が叫んだ。
「なら神様にとって、いい願い事って何なの!」
背を向けていた極星がハッと振り返る。怒りにムカついて、睨みつけてくる神に、少女は怯まない。
「教えて!神様にとっていい願い事って何なの?神様は何を願うの。何を叶えるの!?」
「こいつ!ぬけぬけと!」
「教えて!私の願いが叶うに値しないというのなら、それがつまらないと言うのなら!いったい何が叶う願いだと言うのか!私に教えて!」
「ほう―――、確かに。つまらん願いがあると言うのなら。そうでない願いを知っていて、それは当然だ。そして、そんな事を言ったのが、この世界の神であるというのであれば、それは尚更に当然だ。是非今ここでお聞かせ願いたい。つまらなくない神様のお願い事とは一体何なのだ?教えてくれ。 ―――そなた。神に向かってなかなか言うではないか。クスクス」
「カッ!ったく!こいつら!」




