第13章 少女と黄金の神 《Ⅱ》
静寂した森。
鳥肌と悪寒がするが、不思議と嘔吐を催さない沼と死臭。
訪問者を行き着いた場所から帰さない白い霧の意志。
その物が生きているかの様に、光を放っているかの様に、輝きをする黄金神殿。
―――死ぬ。間違いなく死ぬ。
死ぬほど魅惑的な光景が、白髪の少女の前に現れた。だが、少女は迷わず神殿へと向かう。疲れ果てていたのが嘘の様だ。体が先に動き、決意をした足取りは軽快で力強い。沼の中から、神殿へと続く黄金の足場が現れ、少女の行く手を阻まない。間も無く少女は神殿の前へとたどり着いた。
遠目には小さく感じた神殿であったが、こうして目の前にすると思いのほか大きい。立ち並ぶ円柱の柱が特徴的で、開放的な神殿の内部へ階段が続いている。死を予感させる神殿の前で、少女は息を整え階段を上り始めた。「ハッ・・・ハッ・・・!」と息を切らしながら一段昇るごとに恐怖が増していく。だが進まずにはいられない。それは追い詰められた少女の好奇心か、神殿の魔力か、あるいはそこに棲む何かの仕業か。少女は遂に神殿の中部へ侵入した。
―――寒い・・・。
恐怖と悪寒で震えながらあたりを見回す。黄金の広間に、人が横になれるほどの『白い食卓』が一つ。入り口から真っすぐに続く『真っ白い血のカーペット』。その先には、『恐ろしい玉座』が置かれていた。ただそれだけがある黄金の広間に立ち尽くす少女は、自身の足元を見てハッとなった。
―――いけない!
少女は白いカーペットの上を、血や泥で汚れたままの足で歩いて来てしまったことに気づいた。カーペットを汚してしまったと思い、慌てて来た道を振りる。
「キャアッ・・・!?」
少女はあまりの恐ろしさに悲鳴を上げた。付けて来た足跡がカーペットに吸い込まれるように消えていく。危険を感じ、少女はカーペットから飛びのけた。尻もちをつき、吸い込まれる足跡にくぎ付けになる少女。そこに何ものかが語りかけた。
「ようこそ。唯一不変の世界へ」




