第二十三話 口論
今回から凪視点も出てきます。
まぁ海菜と凪両方主人公というような形だと思ってください。
目覚ましが鳴る。……煩い。
とりあえずこれを止めたらまた寝て─
「凪!!いつまで寝てんの!?」
ドンドンというドアを叩く音と共に声がする。
俺は音がする方向へ向かい、ドアを開けるとそこにいたものの口を抑えて引きずり込んだ。
呻き声を出して暴れるソレ。ドアを閉めると開放した。
「っはぁ……。いきなり何を!!」
「ここで俺の名をあまり呼ぶな。一応女として通してるんだから、2人きりの時だけにしろ!」
「そこまで気にすることかな?」
「気にすることだよ!ばれたら俺はもう終わりだ」
「何で?」
「お前が外で女装がばれないようにしてるのと一緒だ!!」
「え?何で知ってるの?」
「この俺が今まで何も行動してないとでも思ったか?能力が暴走しないように見張ってきたんだよ。つかわざわざ『私』なんて言って、本当に女装にも磨きがかかってきたな。別に俺は今のままの口調でも全くばれなかったけど。寧ろボクっ子って結構萌えるとか言う人多いし」
「何が萌えるだよ。凪はいつからそっち系の思考になった?大体凪だって僕と会ったときに『私』とか言ってたくせに。しかも偽名まで使ってさ。たぶん学校内でもそうしてるんでしょう?そっちの方が女装癖あるんじゃないの?つか見張ってるとかストーカーじゃないの?」
「俺はいつもはこういう口調だよ。あの口調を使ってたのはあの時と本格的にこの格好を使って悪事を働く時だけだ。お前の場合はそれだとすぐわかるだろうし。まぁできればばれなかったら一番よかったんだがこういうことになったからな。ほんとにめんどくさいよ。まぁそのおかげで普通に見張ることができるようになったがな。つか俺がせっかく好意で見張ってやってるのにストーカーとは何だよ。もし何かあったらどうすると思ってるんだ?最後に俺は使いたくてあんな偽名使ったんじゃない。そうしろと言われたからやったんだ。全く、本当に物分り悪いよな」
「やっぱり凪だって使ってるんじゃん。人のこと言えない、変態」
……そうはっきり言われると物凄く痛い。
俺が軽いショックを受けて立ち直れなくなってると、海菜は冷めた目で睨み、出て行ってしまった。
「俺、今回だけでもないけどものすっごい被害受けてるような気がする。しかも海菜に……」
俺の嘆きは誰にも届くことなく消え去っていった。
今回は妙に長いマシンガントークがあったので行数はかなり短いです。