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MAGIC SCHOOL  作者: 永羅
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第二十一話 生徒会長と隠し事

 丁度授業が終わり、自由時間に差し掛かっていた。

「あんた今日生徒会室に行ってね」

 「……僕、何かしたっけ?」

 何かやったっけな。まさか何度も授業をうけていないことか?いや、でもそれは僕自身の意思でやってるわけではないから。じゃあ他に何があるのだろうか?

 「あぁ。香奈も行くらしいよ」

 「はぁ?」

 香奈もなかなか驚いているようだ。特に香奈なんて僕よりも危害は受けていないから呼び出される必要は無いと思うんだけど。

 いや、それなら生徒指導室に呼び出されるはずだ。じゃあ何なんだろうか?全くわからない。

 「行ってみればわかるか」

 ただ、最悪のパターンはそこで何らかの罠が待ち受けていること。僕はただそれが無いことをひたすら願い続けるしかない。

 「いざとなったら自分の身は自分で守ってね」

 香奈はまたそういう事を言うか。まぁ確かに人の心配までできる状況ではないか。いくら香奈がここ最近魔法の特訓をしているとはいえ何とか恵美と祐樹を止められるくらいだ。まぁ僕も覚醒(前の集団気絶事件のように)でもしなければそうなんだろうけれども。

 不安を抱えたまま、僕たち2人は生徒会室へと向かうことにした。

 「あ、まぁあんた等は大丈夫だと思うけど生徒会長は結構な男嫌いで、一度言い寄ってきた奴を半殺しにしたらしいから気をつけた方がいいと思うよ」

 後ろからの声に、不安が広がり背中から冷や汗が流れる。どう考えても危険な人だと思うんだけど。

 目的地まで重い足取りを進め、ようやく扉の前にたどり着くことができた。

 そして開けた先には一つの人影があった。綺麗な顔だ。これならば言い寄られるのも無理は無いと思う。彼女は、長い黒髪を鬱陶しそうに振り払い、こちらに気づいたらしく、声をかけた。

 「あぁ、ようやく来たね。じゃあそこに座って」

 僕と香奈は、言われたとおりにたくさんある椅子のうちの一つに座った。

 見た目はそんなに恐ろしい人ではなさそうだ。ただ、見た目に騙されてはいけない。現に母さんや恵美なんてやろうと思えばそんな雰囲気簡単に作り出すことができるから。

 それよりもあの声は朝校長室で聞いた声。校長と言い争っていたのはこの人か。

 「いきなり呼び出してごめん。ちょっと2人には頼みたい事があって」

 「何でしょうか?僕たちにできることなんて無いと思うんですが?」

 「ちょっと文化祭のことでね。それと敬語じゃなくてもいいよ」

 そう言うと、彼女……。生徒会長は軽く笑って見せた。でも、それは作り笑いに見えた。まるで無理やり笑って見せたような、そんな笑み。ただ、その作り笑いはとても本物と近かったので普通の人には全くわからないだろう。何で僕がそれに気づいたのかというと、昔そんな奴がいたからだ。そして、その笑いはあいつと似ていた。夢の中に出てきたあいつ……凪に。

 「でも何で文化祭?まだそんな時期じゃないでしょう?」

 これは香奈の声。確かにそうだ、と思った。文化祭は通常秋にやる行事。それなのに何でその事を今?

 「実はちょっと人手が足りなくて、2人にお願いしようという訳。通常は最終的に生徒会が何とかするんだけど会長と副会長以外は誰もいなければ参加しなくていいというおかしな校則だからね」

 「ということは、会長と副会長しかいない?」

 「そういうこと。毎年文化祭は結構大変だから早めに伝えておかないと困ると思って。何たってクラスが1つしかないから個人個人のクラスで飾り付けをするなんてことが無いし」

 因みに1年、2年、3年というようにも分かれていない。どうやら春にテストをやって、それが受かれば卒業するというこれまたおかしなしくみ。もはや別の世界の学校といってもいいだろう。

 そのためもあり、入学式など無く、また卒業式も無い。元々魔術師は少ないからそんなに一斉に入学しないらしい。だから僕や香奈も転校生として扱われた。

 「じゃあ仕事の内容はどんなの?」

 「飾りつけとか出費、売り上げの会計、文化祭の内容のアンケートとかよ」

 これはどう考えてもめんどくさい。因みに全校生徒数は50人らしい。その全員にアンケートをしてしかもどれだけ金がかかるか計算をして売り上げも数えるとなるとやはり2人ではできないだろう。おまけに飾りつけもなかなかの重労働なので絶対に辛い。協力するべきか、それともしないべきか迷う。

 「あぁ、2人を呼んだのは校長から助っ人を呼ぶなら貴方たちにしてと言っていたからね。たぶん自分たちの息子だから一番信用できるんでしょう」

 拒否不可能だ。これを拒否したら彼女はどうなるのだろうか。それに断ったとしても断ることができるかどうかも定かではない。

 「別に自由だからどっちでもいいのよ?嫌だったら素直に嫌って言って」

 「そういう事なら─」

 「やります!」

 僕が言っている途中に香奈がそう叫んだ。

 「ありがとう。じゃあ貴方は?」

 「僕も……やらせていただきます」

 「2人とも、本当にありがとう」

 そう言うと、彼女はまたあの笑みを浮かべた。でも、僕には少し残念そうに見えた。話はそれで終わりだというので出て行こうとした時、僕たちに見えないように小さなため息をついていたのは気のせいだろうか?何かを隠している。そんな気がした。

この学校の制度どう考えてもおかしいですよねw

もう少しよく考えればよかったかも

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