第十八話 悪魔襲来!
ここからは作者のナレーションでお送りします
「担任が代わる?」
廊下を歩きながら一人の少女…もとい、少年が声を上げた
男なのに、どう考えても女の子にしか見えない顔だ
頭には水色のリボンをつけている 当然こんなのをしている人はこの学校で海菜しかしない
「うん、何だかこの学校をやめるみたい」
「…マジ? というかこの時期にやめる人っているか?」
「疲れたんだとよ」
「名前まで出たのに全然出番なかったね あの先生」
上から順に恵美、海菜、祐樹、香奈である
「もう読者にも忘れ去られているだろうしいんじゃねぇの?」
「祐樹、そこまで言ったら流石に可哀そうだろう まぁ確かにそうだけど」
「祐樹も最近海に殴られることしか出番無いけどね」
最近作者にまで出すのが面倒がられている祐樹であった
「で、」
散々祐樹を罵った後、海菜が一つ疑問を言う
「まさか担任がいなくなるってことはないだろ? 新しく誰か入って来んの?」
「それがね、何と新しい教師は…」
「誰? まぁ教師だけは普通の学校だから新しく入るのも普通だ…と思うけど」
事実生徒で普通な人はいないし、校長も変だから
当然海菜も例外では無いのだが
「だけって何よ で、その教師っていうのは」
恵美はそう言って周りを見渡す
「そうそう、あの人!」
恵美が指差した先にいたのは、顔の整った綺麗な女性だった
年齢は21歳程度だろう
その人物は海菜のよく知っている人
そして海菜が恐怖している人の中で1,2を争う人物だった
「ちょっと 何で逃げようとしてるのよ」
後ずさりしている海菜を恵美が止める
「海兄…あれってたぶん」
「あぁ…あいつだな …そういえば何で僕の呼び方が変わってるんだ?」
「ん? こっちの方が言いやすいから」
(じゃあ最初からそうしとけよ!!)
と、心の中でつっこんでいた海菜だった
「う・み・な♪」
「!」
いつの間にかその人物は海菜の目の前に現れていた
陸上選手もビックリのタイムだ
「姉さん…?」「鈴姉…?」
海菜と香奈が同時に言う
その人物は海菜と香奈の姉、鈴菜だった
因みにこの姉弟の全員の名前に『菜』がついているのは名付け親である白川城菜が子供全員に自分と共通させた文字を一つつけたいという願望のためだった
「「へ!?」」
残りの二人は驚いてすっとんきょうな声を上げていた
祐樹はまだしも恵美までも驚いているのは変じゃないかと思うだろう
しかし、実際は恵美は彼女の存在は知っていても外見は知らないのだ
これだけ海菜、香奈と長い付き合いをしているのに会ったことが無いのは不思議だが、それは鈴菜が城菜と同じくらいの時に一人暮らしを始めたから
それともう一つ
鈴菜がプロ顔負けの技術があるためだった
事実、足音を消すくらいなら簡単だし、変装もお手の物 尾行さえもかなりのものというものだから驚きだ(こんな無駄なことを身につけている方が驚きかもしれない)
そしてこの人の趣味こそが海菜の最も恐れていること
「今日から担任になるからヨロシクねぇ♪ これでゆっくり海菜で遊べるな」
海菜虐めである
その一言を言い残すと、鈴菜は颯爽と廊下を去っていった
そこには呆然と立っている三人と、脅えながら震えている一人が取り残された
「終わった…」
自室に戻った海菜は呆然と空を見ながら呟いた
「海ぃ 何でそんなに落ち込んでるのよ 別にあんたの姉が来たところで大したことは「恵美、昔あった弁当事件のこと忘れてないよな?」…あるわね」
「…なぁ」
「「「何?」」」
「弁当事件って何だ?」
この中で弁当事件のことを知らないのは祐樹だけ
故に全く話の内容がわからない
「…あれは僕がまだ小学2年の時の話だった」
海菜が話を始めた
「あの時は学年でピクニックみたいなものに行っていた とても平和だった…昼になるまでは…
遊びも終わって弁当を食おうとした時だ 何と弁当の中にゲジゲジやミミズが大量に入ってるんだ」
今思い出しても恐ろしいと言うように話す海菜
「…確かにそれは怖いな もし気づかずに口に入れたら虫を食うことになるからな」
「あぁ…あの後は数日ろくに食べ物を取れなかったよ」
「それは大変だったこと」
祐樹は、ご愁傷様とでも言うように哀れみの念を送りつつけていた
「それに海兄、あの後虫嫌いになったしね」
「香奈ぁ 何でそういう事を言うかな?」
「楽しいから」
「…」
香奈の発言に静まり返る室内
(香奈にまで僕虐めの傾向がうつったのか?)
ドガァ!
「「「「!!」」」」
突然、扉が吹っ飛んだ
「やっぱりいたぁ」
使い物にならなくなった扉の向こうから表れたのは…
「姉さん!?」
鈴菜だった
「いきなり なっ!!」
海菜が言葉を発している最中に鈴菜は海菜を掻っ攫っていった
再び室内は沈黙する
「何だったんだろうな」
「さぁ?幻覚じゃない?」
「きっと気のせいだよね」
少し現実逃避していた三人であった
大幅に更新遅れました…
ようやく出したいキャラは全て出し切りました
…城菜(海菜母)の名前出すの遅すぎましたね(汗