欲しがった男
「小さな石ころだって安物のハンカチだって何だっていいんだ。君がくれたものなら俺、何だって大切にするよ。君がくれるというものなら俺、何だって欲しい。」
純朴な、それだけに一途な青年の、それが彼女への主張だった。
そしてその翌日、青年は彼女から一通の書簡を受け取った。
「私があげるというものなら、何だって欲しいって言ってたわよね。」
電話越しの言葉に、青年は思わずこう答えた。
「……ああ、そう、だったね。」
前日の言葉どおり、青年は彼女からの書簡を大切に受理することにした。
英文科出身の彼女からの手紙。その内容は……
『Dear John ……』
の出だしから始まる、いわゆる『三行半』だった……。