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第4話:大政翼賛(たいせいよくさん)の再来

1. ホワイトハウスからの最後通牒

ワシントン、オーバルオフィス。

ドランプ大統領は、X(旧Twitter)に怒りの弾丸を連射していた。

『日本は感謝を知らない。守ってやっているのに、泥を塗るつもりか? ならば勝手にしろ。本日、在日米軍撤退の検討を指示した。関税も300%だ。自業自得(Sad!)』

この投稿により、円相場は1ドル250円を突破し、日本経済はパニックに陥った。だが、首相官邸の佐野源助は、スマホを放り投げると、冷徹な笑みを浮かべた。

「ドランプ。あんたは最高のアジテーター(扇動者)だ。……これで、最後のピースが揃った」

2. 禁断の握手

その夜、佐野は極秘裏に、野党へと転落した「自由民社」の総裁・高森と会談した。

本来なら仇敵であるはずの二人。だが、佐野が差し出したのは、自由民社が結党以来、一度も成し遂げられなかった「果実」のリストだった。

「高森さん。自由民社の党是とうぜは何でしたか。……憲法改正。そして自衛隊を『軍』として認めること。そうでしょう?」

高森が眉を潜める。

「……貴様、左派の民社党の党首が何を言い出す」

「右も左もありません。今、国民の怒りは爆発し、アメリカへの不信は頂点に達している。ドランプが『守らない』と言い切った今こそ、憲法を改正し、我が国を自らの手で守る絶好のチャンスです。私に協力し、『大政翼賛』の如き救国連立を組みませんか」

佐野は、一枚の書面を差し出した。

「憲法9条改正、および『日本防衛軍』の発足。そして、それを裏打ちするための核抑止力保持。……これらをセットにした憲法改正発議案です。自由民社が乗るなら、衆参両院で3分の2を軽く超える」

高森の震える手が、その書面を掴んだ。

悲願の達成。だがそれは、自らの手で戦後日本の平穏に終止符を打つことを意味していた。

3. 歴史的「発議」

数日後、国会議事堂。

佐野は、自由民社を含む挙国一致体制の代表として、演壇に立った。

議場はかつてない熱気に包まれていた。かつての敵味方が、同じ「改憲」の旗の下に集結しているのだ。

「本日、私はここに憲法改正の発議案を提出いたします。自衛隊を解組し、主権国家として当然の権利を行使する 『日本防衛軍』 の創設。そして、国民の命を他国の情けに委ねないための、独自の抑止力保持——」

法的な手続きを重んじ、冷静に、だが力強く語る佐野の姿。

議場からは、左右の枠を超えた割れんばかりの拍手が巻き起こった。

「これはクーデターではない。主権者たる国民の意思を問うための、正当な手続きです。……一ヶ月後、国民投票を行いましょう。日本が自立した国になるのか、このまま誰かの奴隷として朽ちるのかを!」

4. 国民投票へのカウントダウン

この瞬間、日本は「一つ」になった。

ドランプの圧力に怯えていた国民は、佐野が提示した「独立」という甘美な毒に酔いしれた。

ネット上では、右派も左派も「今こそ改憲を」というスローガンで埋め尽くされた。

キッシンジャーが恐れた「180度の転換」は、独裁者の号令ではなく、「民主的な手続き」という皮肉なプロセスを経て、完成へと向かい始めた。

佐野は官邸の窓から、国会議事堂の重厚な影を見下ろしていた。

「高森さん、あんたたちは憲法を変えたかっただけだ。だが私は、その先にある『怪物の覚醒』が見たいだけなんだよ」

冷え切ったコーヒーを飲み干し、佐野は静かに戦いの準備を始めた。

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