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第17話:議事堂の断頭台 〜見えざる支援と論理の刃〜

1. 圧倒的な民意と、新党派の誕生

あの大使館前の怪死事件と、それを巧みに利用した最終演説から数週間後。

衆議院選挙の結果は、歴史的なものとなった。自由民社党は全体として議席を減らしたものの、九条新は全国トップの得票数という 「圧倒的な民意」 を背負って初当選を果たした。

党内はパニックに陥っていたが、いち早く小金井幹事長を恫喝し、党役員(総務会長)の座に就いていた九条志乃が、すぐさま新をトップに据えた党内グループ「新風会」を立ち上げる。

新の放つ「佐野源助」のようなカリスマ性に惹かれ、若手議員たちが次々と彼らの傘下に集い始めていた。新はもはや、ただの新人議員ではなく、党を内側から食い破る「獅子」として永田町に君臨し始めていた。

2. 見えざる者からの「最強のギフト」

初登院の朝。新が誰よりも早く厳重なセキュリティに守られた自身の議員会館のオフィスに入ると、彼の机のど真ん中に、見慣れない黒いUSBメモリがポツンと置かれていた。

SPの監視も、幾重もの電子ロックも破られた形跡はない。

新は息を呑み、即座にそれをオフラインのPCに接続した。画面に表示されたのは、目を疑うようなデータ群だった。

「……緒方組からアメリカ裏社会への送金記録。さらには、アメリカの非公式部隊から自由民社党の重鎮たちへ流れた『黒い献金』の完全な帳簿データ……」

それは、大使館の奥深くに隠されていたはずの最高機密。どんなハッカーでも物理的にアクセス不可能なはずのデータだった。

新は、あの「無味無臭の魔法」を使う顔も知らぬ暗殺者が、自らの手で大使館から盗み出し、ここに置いていったのだと確信した。

(私を護衛するだけでなく、弾薬データまで補給してくれるというのか。……いいだろう。お前が暴力で暴いた悪を、私が『論理と法』で処刑してやる)

3. 国会の公開処刑ギロチン

数日後。全国に生中継されている衆議院の予算委員会。

野党が大使館前の「緒方組長怪死事件」について追及する中、自由民社党の重鎮である国家公安委員長は「単なる暴力団同士のトラブル」「アメリカ側も被害者」という苦しい答弁を繰り返し、逃げ切ろうとしていた。

その時、与党側の質問席に、新人離れした冷徹な空気を纏う九条新が立った。

「……委員長。あなたの答弁は、論理的に完全に破綻しています」

身内であるはずの与党議員からの唐突な牙。議場がざわめく中、新は手元のパネル(USBのデータを元に作成したもの)を掲げた。

「事件当日、緒方組長は『人間を集めてやったのに見殺しにする気か』と叫びました。もしこれが単なるヤクザの抗争なら、なぜ大使館側は日本の警察に通報せず、彼を門前で『見殺し』にしたのか。……答えは簡単です。アメリカの裏組織と大使館の一部が結託し、彼を『使い捨ての駒』として処理したからです」

4. 逃げ場なき論理の檻

「陰謀論だ! 証拠もないのにアメリカを愚弄する気か!」

激昂する重鎮に対し、新は氷のような微笑を浮かべた。

「証拠なら、あります。……委員長、あなたの政治資金管理団体に、ケイマン諸島のダミー会社から毎月振り込まれている『5000万円』。このダミー会社の親会社は、アメリカ大使館が関与する非公式なフロント企業です。……この資金の流れと、緒方組の人身売買の売上額が、一円単位で一致しているのは偶然ですか?」

新の言葉に、重鎮の顔から一瞬で血の気が引いた。議場が水を打ったように静まり返り、カメラのフラッシュだけが瞬く。

「暴力には暴力で対抗できるかもしれない。だが、この『事実と数字(論理)』からは、誰も逃げることはできない。……自由民社党は、アメリカの裏社会に魂を売った。私は党の人間として、この腐敗を断固として告発し、あなた方旧体制を全員パージ(追放)する!」

新の圧倒的な論理と、逃げ場のない証拠の連続。

かつて佐野源助が持っていた「国民を納得させる力」が、見えざる魔法使いのバックアップを得て、今度こそ巨悪の息の根を完全に止めた瞬間だった。

ネット上では「九条無双」「与党が与党を論破した」と大歓声が巻き起こる。

委員会室の片隅で、新は誰にも気づかれないように、虚空に向かって小さくグラスを掲げるような仕草をした。

それは、姿なき共犯者への、冷酷で完璧な「勝利の報告」だった。

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