表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の陰に英雄あり ~手柄をすべて譲った俺は、悪神の加護を手に理不尽な世界を叩き潰す~  作者: 日向ぼっこ
第一章:運命の邂逅と偽りの栄光

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/24

008.氷の残火、友の叫び

「ガルシア…… なのか?」


 カイルの声は、今にも壊れそうなほどに震えていた。

あいつの背後では、白銀の甲冑かっちゅうを身にまとった騎士たちが殺気立った様子で剣を構えている。


 俺たちの間に横たわっているのは、ただの死体じゃない。

氷の中に閉じ込められ、恐怖に顔をゆがませたアトラス・ベクターと、巨大な質量によって叩き潰された侯爵邸の残骸だ。


「よお、カイル。 

 ……王様からここに行けって、そう言われたのか?」


 俺は精一杯の軽口を叩いた。

だが、喉の奥は焼けるように熱い。

右手のしびれを隠すために、無理やりポケットに手を突っ込む。


「国王陛下から ……極秘の任務を受けたんだ」


 カイルが、一歩また一歩と氷の彫像へ近づく。


「この屋敷のあるじに少女誘拐事件の黒幕だという疑いがあるから、調査しろって……。 

 でも、まさか…… こんな、こと……」


 カイルの瞳が、現実を拒絶するように激しく揺れる。

あいつにとっては、正義を成すための初仕事だったはずだ。

だが、その現場は既に俺という理不尽な暴力によって蹂躙じゅうりんされていた。


「勇者様の初仕事ってわけか。 ハッ、最悪のタイミングだな」


 自嘲気味な笑いが漏れる。

国王の狙いは明白だ。

カイルを勇者として認めさせるための『実績』作り。

そのためにあつらえ向きの悪党であるベクターを使うつもりだったんだろう。

それを俺が、横から全部ぶっ壊しちまった。


「……これ、お前がやったのか?」


 カイルが俺を見据える。

その瞳には、親友を信じたいという願いと目の前の惨状を引き起こした「怪物」への恐怖が混ざり合っていた。


 周囲の騎士たちが、限界に達したように叫ぶ。


「おい、見ろ。 あのガキが侯爵閣下を殺害したのか!」

「この異常な光景…… とてもじゃないが人間にできることじゃないぞ」

「反逆者だ! 直ちに取り押さえろ!!」


 十数人の騎士が一斉に剣を突き出し、俺を包囲する。

その瞬間、俺の体の中でロキの力が再び猛り狂った。

血管を氷の針が流れるような、冷たくて鋭い衝動。


 ――戦うか?


 こいつら全員、今の俺なら一瞬でこの屋敷と同じ氷柱に変えられる。

その万能感に酔いしれそうになった、その時だ。


「待ってください!」


 カイルが、俺と騎士たちの間に割って入った。

剣を構える騎士たちを必死にさえぎり、あいつは声を枯らして叫ぶ。


「彼は…… 彼は俺の故郷からの親友です! 

 悪い奴じゃない! 

 きっと、何か事情が……!」


 カイルが俺を振り返る。

すがるような、泣き出しそうな、いつもの頼りないカイルの目だ。

その目を見て、俺の中にあった禍々《まがまが》しい熱が、ふと霧散した。


「……分かったよ。 暴れるつもりはねえ」


 俺はゆっくりと両手を上げた。


「ただ、こいつが少女をさらっていたのは事実だ。 

 路地裏をアジトにしていた盗賊から、こいつが黒幕だって直接聞き出したんだよ。 

 ……信じてくれとは言わねえがな」


 俺はロキの加護については一言も触れず、これまでの経緯をかいつまんで話した。  

力が暴走してこうなっちまった、という嘘を混ぜて。


 騎士たちの目はまだ疑念に満ちていたが、カイルだけは「分かった」と小さく呟いた。

けれど、その声はどこか遠く、あいつが俺の中に決定的な『何か』を見てしまったことを物語っていた。



3月中のみ毎日更新(17:50更新)です!!


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「今後どうなるの!?」


と思ったら、

下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いします!!


面白い!なら☆5つ、つまらない!!なら☆1つ、

正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です。


ブックマークも頂けると本当にうれしいですし、はげみになります!


よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ