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第6話:甘く冷たいウルフ

真夜中の校舎を歩く影があった。エル?警備員?違う。バールを持ったミヤビだった。


「やっと手がかりを見つけたんだ…」


ミヤビが向かうのは普段誰も行かない鍵が閉められた第二学園長室と第三学園長室。ミヤビは鍵を開ける。でも部屋には入らない。ミヤビは挟まれてある物置に向かう。

ミヤビは物置の鍵穴にピンを差し込み慣れた手つきで開ける。物置の中は掃除道具、ロープ、使われなくなった教材などたくさんの物に溢れていた。ミヤビは物置の奥に置いてあるロッカーを開ける。そこには掃除用具などはなく代わりにロッカーの奥が空いていたのだ。下を見ると真っ暗。


「これで、やっと姉さんの仇が取れる…」


飛び降りる。ミヤビには恐怖がなかった。幸い下には柔らかいマットが敷いてあり怪我をせずに済んだ。


「傷つけないため……ね」


 ミヤビはそのまま奥に進んだ。ミヤビは知らない。その後ろから追う人間がいたことを。


地下は深かった。真っ暗でヒンヤリ。特に冬場なので凍えそうだ。バールを握りしめ進む。


「…ようこそ。よく来たねぇ」

声が聞こえる。甘いが冷たい声。その瞬間辺りが薄暗く光る。現れたのは女の子。見た目はミヤビと同い年ぐらい。でも人間じゃない。ウルフだ。


「あんたがこの七不思議の犯人でしょ」

ミヤビは目を光らせた。憎しみの目。恐怖はない。ないと言うより憎しみが勝るのかもしれない。


「えぇ。その通り」

そのウルフはゆっくりミヤビに近づこうとする。


「近づかないで。私は今日、あんたと決着をつけるために来た」


ミヤビはバールをウルフに向ける。

そのウルフは面白そうに見つめる。


「うふふ。私のこと知ってるの?嬉しい」


そのウルフは楽しそうに笑う。でもその目は獲物を、ミヤビを逃そうとはしない目だった。


「知ってるも何もあなた、今日私に話しかけにきたじゃない」


 ミヤビは今日のお昼、誰もいない校舎裏でを片手に膝の上に乗せたパソコンをいじっていた。すると目の前に一人の生徒。


「ねぇあなた。七不思議について調べてるの?」


その生徒は長髪で美人だった。でもどこか不気味な影がある。ミヤビは怪しんで聞いた。


「……あなた何?見たことない生徒だけど」


「ふふ。この学園は広いからねぇ。見たこともない生徒がいるのも当然でしょ?私さ、七不思議についてもっと調べたの。聞きたい?」


「七不思議についてなら全て調べた。聞くことなんてないわ」


ミヤビはパソコンの画面から目を離さない。離したくなかった。ただこの女は危険だと本能がそう告げていたから。


「あなたは七不思議の真相について調べただけでしょ?私はね、このさらにもっと情報を知ってるの。」


その瞬間、ミヤビのすぐそばに女の子はいた。

「……?!」

ミヤビは動けなかった。


「七不思議を全て見つけたらね、あらゆる知識が手に入るんですって。だからみんなこの学園にいる必要がなくて失踪するのよ」


そこまでいうと女の子は離れて言った。


「まぁ、信じるかはあなた次第よ。じゃあね」

女の子はそう言ってどこかに行った。ふと地面を見ると女の子が立っていた場所に鍵が落ちていた。

 そして現在


「あなた…随分と偏食化なのね。学園内のトップばかりを狙うなんて」


ミヤビがいうとそのウルフは指を顎に当てる。


「賢い子の脳はとおっても美味しいの…甘くて口の中でとろける…」


ウルフは舌なめずりをする。そしてミヤビを愛おしそうに眺める。


「特にあなたは最高。今までの子たちよりテストもハイスコアをたたき出してる…でもね」

そのウルフは続ける。


「ダメじゃない…お姉さんに扉は開けたら閉めるって習わなかった?」


その瞬間ミヤビの何かが切れた。


「あの日姉さんを食べたのはお前だな?!忘れもしない10年前…姉さんはこの学園で行方不明になった、!」


いつもは冷静な少女が感情的になる瞬間。


「あれからずっと私は復讐したかった…!だから必死に勉強して、情報を集めて、あなたにわざと狙われるために学年トップを維持し続けた……!」


ミヤビはバールを握る手を強める。怒り、憎悪、恐怖、悲しみがつまっている手。


「ふふふははっ!」

ウルフが笑う。


「それで、わざと私に会うために七不思議を調べた、、と?」


「そうよ。」

震えて答える。


「愚かね。でもいい。だって…」

ウルフはニヤリと笑う。


「ご飯が自ら望んで来てくれるんだもの…たまらない」


ミヤビはバールをウルフに向かって振りかざす。が当たらない。当たるわけがない。相手はウルフだ。背後を取られる。


「……!」


気づけばミヤビは首を掴まれて宙に浮いていた。


「苦しい……!」


必死にもがく。冷たい手が首を絞める。


「無駄なこと。生身の、しかも身体能力が低い人間がこのライナに勝てるとでも?」


ライナはミヤビの匂いを嗅いでうっとりとした表情になる。その目はこれからご馳走を食べるものの目。


「死んでもよかった…ただ姉さんを殺したウルフに一撃でも当てられたらと望んでた…」


首を絞められながら声を絞り出してミヤビは続ける。


「ライナ…と言ったよね。」

笑って言った。


「殺すなら、姉さんと同じ場所に送って…」


ライナはニヤリと笑う。

「ふふ…お望み通り」


ライナの手が強まる。死ぬ。ミヤビがそう錯覚した瞬間

石がライナの頬をかすめる。


「ミヤビを離して!」


聞き馴染みのある声、アヤカだった。


「アヤカ…なんで来ちゃったの…?」

ミヤビは目を見開く。


「だって、だってミヤビは…」


アヤカは泣きそうになるのを堪えて言う。

「友だちだから…」



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