第4話:ミヤビ
ミヤビは頭脳明晰、常に学年トップの座に君臨している。おまけに噂ではハッキングの能力も携えているとか。(彼女にできないこととしたら唯一挙げるなら運動ぐらいだ。)
彼女は群れない。誘われても断る。いつしか彼女の周りには誰も集まらなくなった。一人を除いて。今日はやけに静かだった。いつも前触れなくやってくる「あの子」が今日は来ないから。
(いや、どうだっていい。どうせ…)
ミヤビがそう思った瞬間「あの子」はやってきた。もう一人連れて-
「ミヤビー!遊びにきたよぉ」
「…あなた暇なの、?」
ミヤビは呆れた。でもちょっと嬉しそうに。
「この子エルって言うの!七不思議の調査に協力してほしくて!」
時は少し前に遡る。放課後だった。エルは早速七不思議事件を解決すべく聞き込みを始めようとアヤカのもとに行った。アヤカが1番話しやすいから。
「やめときなよ〜。呪われちゃうよぉ」
「いや、呪いは存在しないよ。それに多少呪われても後でどうとでもなる」
「どうとでもなる、って」
「この前に行方不明になった生徒ってどんな子だったの?」
「男の子。すごく頭がよくて前は学年のトップだった。ここだけの話、いなくなる生徒はみんな学年トップレベルの子なの」
そしてアヤカは少し悲しみを帯びた顔で言う。
「今はあの子がトップなの」
「あの子?」
「ほら、この前言ったミヤビって子。あの子すごく賢いの。そういえば、ミヤビはこの七不思議調査してたな」
「その子の話詳しく聞きたいな」
エルはやっと前に進んだと感じた。
そしていまに至る
「あなたもこの七不思議について調査してるの?」
ミヤビは警戒した目でエルを見る。アヤカはそんなミヤビを「またそうやって睨む〜もうっ」と注意する。
「うん、まぁね」
エルは少したじろいだ。
「そ…で、私に何か聞きたいことでもあるの?」
ミヤビはメガネをくいっと上げた。メガネの奥から冷たい眼を向ける。
「えっと、今回の事件について聞きたくて…」
ミヤビはエルの言葉を聞いた途端少し動揺していた。しかしすぐにいつも通りの顔に戻る。
「いいよ。私が集めたデータでよければあげる。でも一つ条件がある。」
ミヤビは冷たい目を向ける。
「私の邪魔はしないで。以上。」
「え?」
「私はこの事件を一人で解決したい。もう、奪われるのは嫌なの…」
その時エルは気づいた。ミヤビは柔らかい顔立ちなのに油断すると何もかも見抜くような顔立ちをしている。
「わかった。邪魔はしないよ」
エルはあの後ミヤビから記録をまとめた資料をもらった。とても綺麗にまとめられていた。
行方不明者の名前、性格、隅々まで調べられている。
「うちの事務で働いてくれないかな。いっつも報告書あの人適当に書くからその分几帳面な客からクレーム入るんだよな」
パラパラとページをめくると七不思議の謎の順番が並べられていた。
「これって順番に起こるってことかな‥?」
エルはひとまず一から調査することにした。
エルは理科室に向かう。薬品の匂いがツンとさす。ウルフの血をひく分エルは人一倍鼻がいいので彼女にとって刺激が強かった。誰もいない理科室。棚に丁寧に並べられたフラスコや薬品、実験道具。そして遅れた理科室の時計。誰もいないことを確認するとエルは時計に近づく。時計は16時14分を指す。一階の部屋にある時計は理科室以外は全てデジタル型だった。理由は理科室の先生がアナログ好きでデジタルアンチだかららしい。
エルは遅れている時間をメモするためにポケットから懐中時計を取り出す。時間を見るとエルは眉を顰めた。
(16時14分……同じだ…)
エルはハッとしたように理科室から出て一番近くの家庭科室のデジタル時計を見る。表示されているのは16時3分。エルはメモをとる。その所作はまるで一人の探偵そのものだ。
七不思議の一つ目理科室の時計。これは心霊現象なんかじゃない。
「ひとまずこれで終わり。あとは晩の七不思議を解明しないと」
エルは学園に併設された寮に向かう。




