第36話:トロッコチェイス
地下。ゲングは自身の発明品で浮遊しながら着地し、エルは持ち前の運動神経で優雅に着地。アキヤマだけがお尻から着地を決めたが。
「……ここ、どこ?」
エルが辺りを見回す。小さな線路があった。
「ここはわしが作った脱出経路じゃ」
ゲングが近くのレバーを引きながら言う。
「……やべぇ。ケツ、ケツから着地した……これは……ダメなやつだ……」
アキヤマがお尻を押さえて悶絶している間にトロッコが走ってくる。
「よし、とっとと乗りな。じきに奴らも追ってくるじゃろうて」
3人はトロッコに乗り込む。その時。
「見つけたぞ!追え!」
黒装束たちの怒号が聞こえる。
「……もう来た。しぶといな」
エルはトロッコの中で剣を構える。
「しっかり捕まってな!少々運転が荒いのでな!」
ゲングがレバーを引くとトロッコは走り出す。
エルはゲングに聞く。
「奴ら、もう追ってこれない?」
ゲングは言った。
「いや、トロッコはこれ以外にもある。奴らもまた追ってくるじゃろうな、じゃが……」
ゲングはニヤリと笑う。
「今のお前さんにはその剣がある。実はその剣にはな……」
ゲングが言い終わらないうちに後ろから声。
「いたぞ!スピードを出せ!」
「ふん。もう追ってきおったか。」
よく見ると黒装束たちは武器を持っている。
「……奴ら、武器持ってる。」
エルが不快感をあらわにしながら言った。
黒装束の男が立ち上がり、サブマシンガンを構える。エルが叫ぶ。
「……伏せて!」
エルたちが伏せたと同時に銃声が鳴り響く。
「チッ……奴ら人がケツを痛めてるって時に随分と自由にしてくれるじゃねぇか」
アキヤマが懐から銃を取り出し黒装束たちの乗っているトロッコの車輪目掛けて発砲した。
――カーン――
見事にヒットし黒装束たちの乗るトロッコはバランスを崩し脱線した。
「ふぅ……年上は労わるもんだぜ?」
アキヤマがお尻を押さえながら言う。
「……まだ。気配する。」
エルが後ろを見ると新たなトロッコが追ってくるのが見えた。
「しぶとい奴らだぜ……」
アキヤマは銃を撃つ。鉛玉が黒装束のうちの一人の仮面に当たり割れる。
「……どうしようか。このままにするとどのみち降りる時に捕まっちゃう。」
アキヤマとエルが策を考えているとゲングがニヤリと笑う。
「お前さんら、何か忘れちゃいねぇか?」
ゲングはエルの剣を見る。
「さっきから何度も言おうとしていたがな、お前さんのその剣にそれはそれは日常的に役立つ機能をつけておいたのじゃ。」
「……機能?」
「左様。剣の柄に赤いボタンがあるじゃろ?そこを押してみぃ。そうするとな……」
エルは赤いボタンを押す。
するとなんと剣が光った。そう光るだけだった。
「…………これだけ?」
「そうじゃ。いいじゃろ光る剣。しかも懐中電灯にも使える優れものじゃ」
「……確かに、『日常的に』は便利だな」
アキヤマが苦笑いをしながら言う。
「……戦闘機能じゃなくて?」
「おいおい。戦闘機能をむやみやたらにつければいいってもんじゃないぞ?出鱈目に着飾られたもんはな、案外脆いのじゃよ」
エルは無言で光る剣を追手たちの方へ向けてみる。
すると仮面が割れ、素顔が顕になった黒装束の一人が
「目がぁぁぁ!」
効果はてきめんようだった。彼は眩しさに耐えきれずにバランスを崩し、トロッコから落下していった。
「……なんか、効いたみたい?」
「なるほどな……あいつらずっと真っ黒な服着て仮面つけてやがるから目が光に慣れてないんだろうな」
アキヤマが納得したように呟く。
「……。」
エルは半ば呆れていた。
「まぁこれであいつらの弱点は割り出せたわけだ。」
アキヤマは黒装束たちの仮面を狙い撃ち落とす。その拍子にエルの持つ剣の眩しさに耐えられなくなった黒装束たちがトロッコから落下していく。
「……なんだろう。すごく罪悪感が残る……」
エルは後ろに敵がいないことを確認すると剣のボタンを押し光を消した。




