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マイベストユートピア  作者: 米ノ香
エリュシオン号編
31/37

第30話:出会い

 「うぉぉぉぉぉ!走れぇ!」


「いやぁぁぁぁぁぁ!風が強ぃぃぃぃ!」


「ここ今何両目?!」


「もっと早く走って!崩れるわ!」


「……気をつけて。ガラスが飛んでくる」


「……クソ。部屋に高級酒置いてきた」


探偵事務所メンバーたちの叫び声が列車内に響き渡る。全員は運転席めがけて走っていた。


――数分前――


「……ねぇ、一つだけ言っていい?」


ザザンが口を開く。全員がザザンの方を向く。


「僕の見たホラー映画、最後爆発するんだよね、もしかしたらと思って……」


「縁起でもないこと言うな。第一、あいつらの目的は儀式だろ?そんなことする必要なんて……」

 

アキラが言い終わらないうちにミヤビが遮った。


「……まずい。みんな走って!」

 

その時後ろの車両から


ドドドドォォン!


「……今の音!」


気づけば全員走っていた。


「おいおいおい!爆発かよ!」

 


「……この列車、全部の車両に爆弾が設置してある!」

 

ミヤビの指が高速で端末をなぞる。


「ほれ見たことかぁ!」


ザザンは勘弁してくれというような顔だ。


後ろから爆発音が迫ってくる。


「お前ら!明日の方向に向かって走れぇぇぇ!」


 そして現在。三両目に来た一行。そこには乗客や乗務員が集められていた。


「……あなたたちは?」


乗客の一人が聞く。


「俺たちは通りすがりの探偵だ。見張りはいないのか?」

アキヤマが聞く。


「見張りはさっき、保安局の刑事さんたちが倒してくださいました……運転席に向かったっきり、戻って来ないのですが……」


エルは鼻を鳴らす。


「……おじさん。この先から変な匂い。異形ウルフだ。」


エルが剣を構える。


「……そうか。よし、アキラ、ザザン、エル、行くぞ。ミヤビはここに残って遠隔指示を頼む。アヤカはコイツらと一緒にいてやれ。あの仮面野郎どもが来たら厄介だからな」


アキヤマはタバコの火を消す。アキヤマ、ザザン、エルは二両目に入る。そこには縛り上げられた黒装束たち。


「……ほう。刑事さんたちもいい仕事するじゃねぇか。この縛り方は……さてはウルフ対策課だな?普通の課じゃ、こんな暴れっぷりはしねぇ」


アキヤマが縛り上げられた黒装束に聞く。


「おい、この先何がある?」


黒装束は笑った。


「フン……この先にはλを打たれた人間の一人がいるよ……まぁ、もう人間じゃねぇがな。あの刑事どもも、もう消化されているだろうにな。フフフ……ガハッ、」


アキヤマは黒装束の顔面を足蹴りにした。


「全く。俺は長い話は嫌いなんだ。あまり怒らすなよ?」


「……とにかく行こう。刑事さんたちが危ない。」


「ぼ、僕も行かなきゃダメか?」


「当たり前だ。俺は武器を持ってないんだ。アヤカから聞いたけど、お前の機関銃捌き、すごいんだろ?」


アキラがザザンの肩に手を置いて言う。


「……そ、そうだ。僕の、この魔界より授かりし深淵(アビス)で敵を……」


エルとアキラとアキヤマは華麗にスルーする。アキラが扉の取手に手をかける。


「……なっ。このドア硬ぇ……」


アキラは力いっぱいに引っ張る。アキヤマが後ろからアキラをどかすように扉の前に立つ。


「……いいか?アキラ。押しても引いてもスライドしても開かないならな……」


アキヤマはニヤリと笑い蹴りの姿勢に入る。


「蹴破れぇぇぇぇ!」


アキヤマはドアを蹴破った。砂埃が舞う。


(うわぁ……蹴破っちゃったよこの人。まぁ今はそんなこと言ってられないか)


アキラが苦笑い。砂埃の先には、二人の男がボロボロになりながら異形ウルフに立ち向かう姿。――ジンとジルだ。


「誰だ?!早く下がれ!死ぬぞ!」


ジンが叫ぶ。


「ジンさん。そんなに叫ばないでください……ただでさえ、大量出血で頭が痛いのに、」


ジルは血を大量に出しながら立っている。


「お、おい。あいつ血だらけだぞ?!もう一人の怪我もヤベェけどよ……」


「……刑事さんたち?早く下がって。ここは私たちが引き受ける。……その代わり私たちのことは内緒ね。」


エルはジンとジルを背に異形ウルフの前に立つ。


「おい、餓鬼!やめろ!素人がそんな剣で立ち向かえる相手じゃねぇ……!」


ジンが止めようとすると、ジルがジンの手を止める。


「ジンさん。あの餓鬼、素人じゃないですよ。見てください、あの目、そして太刀筋。あれはどう見ても常人じゃねぇ。相当の修羅場を潜ってきた奴の目です。」


エルは赤と青のオッドアイを光らせながら異形ウルフを見つめる


「……ごめん。私にはあなたを助けることはできない……だから……」


エルは剣を構える。


「せめて、一線を越える前に斬る」


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