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対能力犯罪部隊 AAC  作者: 法村七士
第1章:変化
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5.異変

悠真は陽介の冷えゆく手を握りしめたまま、息を詰めていた。

胸の奥で何かが壊れ、空っぽになったような感覚。


だが次の瞬間、その虚無を埋め尽くすように、全身を焼き尽くす熱が突き上げてきた。

ドクン――。


異様な鼓動が耳を打つ。

それは心臓の鼓動というより、爆発音に近かった。


血が暴れ狂うように全身を駆け巡り、まるで自分の体が内側から押し破られるような感覚に襲われる。


呼吸が荒くなり、視界が赤黒く染まっていく。

周囲のざわめきや救急車のサイレンが遠ざかり、代わりに血液が脈打つ音だけが耳の奥に響く。


ドクン、ドクン、ドクン。

そのリズムが世界のすべてを支配していた。


腕が熱を帯び、握った拳に異常な力が宿る。拳を石畳にたたきつけると、大きなひびが走った。


だが悠真自身は、その力を制御している感覚がまるでなかった。


「体が……おかしい」


血管が浮き上がり、皮膚の下で赤い光が走る。

心臓はまるで燃え上がる火球のように暴れ、今にも爆発しそうだった。

痛みと熱が全身を貫き、寿命を削られるような冷たい恐怖が背筋を走る。


「なんだ……これ……」


力があふれる感覚と、それに抗えない自分。これは病なのか、呪いなのか。

ただ一つ確かなのは、もう元の自分には戻れない、という直感だった。

悠真は必死に息を整えようとした。


だが胸の奥で渦巻く熱は収まらない。

親友を失った絶望と、世界への怒りが、さらに血を煮え立たせていく。


「……うまいもの…食べたかったな……」


陽介の言葉が耳に蘇る。


その瞬間、全身の血が轟音を立て、悠真を突き上げた。

涙と汗で濡れた顔を上げながら、彼は震える声で呟いた。


「……俺が……変える……」


まだこの異変が何なのかはわからない。だが、この力を使わずして陽介の無念を晴らすことはできない。

悠真の誓いと共に、赤黒い熱は燃え続けていた。



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