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対能力犯罪部隊 AAC  作者: 法村七士
第1章:変化
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3.残滓

悠真は膝をつき、必死に陽介の体を支えた。その顔は青ざめ、額には玉のような汗が見える。


指先が痙攣するたびに命の火が弱まっていくのがわかった。


「陽介! 返事をしろ!」


声を張り上げるが、返ってくるのはかすかなうめき声だけだった。


ふと――悠真の視線が、陽介の口元に止まる。


唇の端に、濁ったゼリー状の塊がこびりついていた。

乾きかけたその塊は、酒場で見たあの忌まわしい“疑似食品”に他ならなかった。


「……やっぱり、これを……」


喉がひゅっと締まる。


悠真の脳裏に、かつての陽介の姿が重なった。

――高校時代。陽介は教室の窓際で、日焼けした顔に笑みを浮かべながら「将来は人の役に立ちたい」と語っていた。


部活動の帰り、腹を空かせて二人で屋台の焼きそばを分け合った夜。

「大人になっても、俺たちならきっと食いっぱぐれなんかないよな」

そう笑って、当然の未来を信じていた。


その陽介が今、食べ物に困り、疑似食品にすがっている。

エリート国家公務員でさえ、満足に生きられない現実。その落差が、悠真の胸を鋭く抉った。


「陽介……」


拳を握りしめる手が震える。

目の前にあるのは、親友の夢や誇りを食い潰し、最後に命までも奪おうとしている汚れた残滓。

それはまるで、社会の理不尽そのものが形をとって転がり、嘲笑う顔を浮かべているように見えた。


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