針
「いたわ、小僧めが!」
お杉婆は心の中で叫んだ。嬉しさと恐怖が入り混じり、緊張していた心が崩れ、ついには「おのれっ」と口走りそうになった。しかし、焦りと震える体が一致せず、堤防の小松の陰にぺたんと座り込んでしまった。
「やっと巡り会えた…これも、つい先日住吉の浦で亡くなった権叔父の霊のお導きじゃなかろうか…」
お杉婆は、今でもその権叔父の骨の一片と髪の毛を腰に結びつけて、常に肌身離さず持ち歩いていた。
「権叔父よ、たとえお前が死んでも、わしは一人じゃない。武蔵とお通を成敗するまでは、故郷には戻らぬぞ。お前の魂は、わしの肩に宿っている。わしも、お前と二人で旅をしているんじゃ。見ていなされ、草葉の陰から!」
そう呟くお杉婆は、まるで鬼子母神のような表情を浮かべ、武蔵の姿をついに見つけたのだった。
最初の手がかりは、武蔵と吉岡清十郎が近日試合をするらしいという噂。そして、昨日の夕方、五条大橋で吉岡の門人たちが打ち立てた高札だ。
「大それたことよ、武蔵め。吉岡に討たれるのは分かりきっているが、婆が討たぬままでは国許に顔向けできぬ。吉岡の手にかかる前に、わしがこの手で成敗してやる!」
お杉婆の心には、祖先神仏の加護を願い、身には権叔父の白骨を結びつけていた。
そしてついに松尾要人の門を叩き、毒づいて探りを入れたが、結果としてはがっかりするだけで、二条河原まで戻ってきたところであった。
焚火の光が見えたので、お菰かと思いながら堤防に立ってみると、燃え残る火の先に素っ裸の男が寒さも知らずに水浴びから上がっていた。
「武蔵!」と確信したお杉婆は、その場で腰を落とし、立てなかった。目の前には絶好の機会がある。駆け寄って斬りつけることもできたが、老婆の心臓はそうする力を失い、代わりに込み上げる感情が優先し、まるで武蔵の首を取ったかのように、手を合わせて空を拝んでいた。
「うれしや、神仏の御加護か、ここで武蔵に会うとは…わしの日頃の信心が通じたのじゃ!」
お杉婆は何度も手を合わせ、心の中で拝んでいた。まさに神仏の導きに感謝する老婆の姿がそこにあった。
河原の石々が、暁の光に照らされて浮かび上がってきた。武蔵は沐浴を終え、衣服を着込み、帯をしっかりと締め、刀を持ち直すと、膝をついて天地に黙然と頭を下げた。
お杉婆は、思わず「今だっ!」と声を出しそうになったが、その瞬間、武蔵は河原の水たまりを飛び越え、向こうへ歩き出した。遠くから声をかけると逃げられるかもしれないと焦りながら、同じ方向へと堤防の上を進み始めた。
白々とした光が元日の町を照らし始め、屋根や橋が淡い霞の中にぼんやりと浮かび上がっていたが、まだ空には星が残っており、東山の一帯は墨のように黒く沈んでいた。
三条仮橋の下をくぐると、武蔵は堤防の上に姿を現し、大股で歩き出した。
「武蔵、待て…」
お杉は何度か声をかけようとしたが、相手との隙や距離を慎重に考え、何町も引きずられるように歩き続けてしまった。
実は、武蔵はその気配に気づいていた。先ほどから気配を感じつつも、振り返らなかった。振り返れば、お杉がどう動くか分かっていたし、相手が老婆であれ、死に物狂いで来る以上、自分が怪我をしない程度には対処しなければならない。
「恐ろしい相手だ…」
武蔵は心からそう思った。村にいた頃の自分なら、力任せに撲り倒し、二度と起き上がれないようにしていただろう。しかし、今の武蔵は違った。恨みを抱いているのはむしろ自分の方だと、彼は感じていた。
お杉婆が自分を憎むのは、誤解と感情のもつれに過ぎない。正しく説明すれば、理解してもらえるはずだ。しかし、今の自分がどれだけ説得しても、老婆が簡単に納得してくれるとは思えなかった。
「だが、もし又八が真実を伝えれば…」
武蔵は、お杉が息子の又八と再会し、彼から事情を聞けば、誤解も解けるだろうと考えていた。二人が会う場を作るためにも、五条大橋へ向かうのが最善だと信じていた。
その五条大橋は、もう目の前だった。かつてこの地は平家の繁栄を象徴する場所であり、今も多くの人が行き交うが、まだ元日の朝早く、どの家も戸を閉めていた。
武蔵の足跡を追いながら、お杉はその跡にさえ憎しみを募らせた。
そして、ついに橋の袂が見えてきた。お杉は喉の痰を切るような声で叫んだ。
「――武蔵っ!」
両手を握りしめ、首を突き出すようにして、武蔵へと駆け寄っていった。
「そこの人非人よッ、耳は持たぬのかっ!」
お杉婆の叫びは、確実に武蔵の耳に届いていた。老いた体にもかかわらず、死を覚悟した跫音は凄まじい。武蔵は、背を向けたまま歩き続けていたが、心の中では少し困惑していた。
(どうしたものか……)
瞬間的にどう対応すべきか思いつかなかったが、その間に、お杉婆が武蔵の前に立ち塞がった。前に回り込むと、彼女は肩を震わせ、肋骨が浮き上がるように喘ぎながら息を整えていた。
武蔵は仕方なく、言葉をかけた。
「おお、本位田の婆様か。こんなところでお会いするとは、珍しいことだ。」
「厚顔無恥もいいところじゃ! 珍しいとは、わしが言う言葉よ。清水の三年坂では討ち損ねたが、今日はその首、確実にこの婆が頂くぞ!」
お杉婆は、痩せた肩を突き出し、まるで軍鶏のように攻撃的な態勢で武蔵に向かって叫んだ。その気迫と、目に見えない怒りの刃が武蔵に迫り、彼は不思議な恐怖を覚えた。
その恐怖の一部は、武蔵の少年時代の記憶に根ざしていた。村で悪戯盛りだった武蔵が、本位田家の台所でこの老婆に怒鳴られるたびに、臍がねじれるように縮み上がって逃げたものである。その雷のような声が、今も彼の頭の奥底に沁みついているのだ。
少年時代から武蔵はこの老婆が好きではなかった。意地悪で、つむじ曲がりな婆だと感じていた。しかし、成長し、時が経つにつれて、その恨みは薄れてきていた。
しかし、お杉は違った。彼女の中では、武蔵は今でも昔の悪戯小僧「たけぞう」でしかなかった。彼が成長し、強くなったことは認めてはいるが、彼女の目には、かつての餓鬼の姿が強く残っていた。
その餓鬼に復讐するという執念が、お杉の命を支えていた。郷土の名誉や大義名分などはもちろんだが、それ以上に、武蔵をこの手で討つという感情が彼女を突き動かしていた。
「もう、改めて言うことはないぞえ。尋常にその首を差し出すか、この婆の刃を受けてみるか、支度せい!」
お杉婆はそう言うと、唇に指を当て、脇差の柄に手をかけ、一歩一歩武蔵に詰め寄った。
「龍車に向かう蟷螂の斧」という言葉がある。これは、秋の虫であるかまきりが、細い鎌のような脛を鳴らして人間に立ち向かう様子を、無謀な行動として嘲笑うものだ。
お杉婆の鋭い目つきは、まさにそのかまきりに似ていた。痩せこけた体も、肌の色も、そのまま秋の虫に見える。武蔵は、そんなお杉の動きを、児戯のように見ていたが、その鉄のような心には一切の揺るぎがなかった。
おかしさすら感じる状況であったが、武蔵は笑えなかった。むしろ、彼は哀れみを覚え、心の奥底で何とも言えぬ同情が湧き上がってきた。
「おばば、おばば、まあ待ちなさい」
そう言って、武蔵は軽くお杉の肱を抑えた。
「な、なんじゃと?」
お杉は、小さな刀の柄を握りしめ、前歯をむき出しにして震えながら答えた。
「卑怯者めが。この隠居は、おぬしなんぞより四十年も多く門松を迎えてきたのじゃ。青臭い口先で騙そうとしても無駄じゃ。無駄口は聞かん。討たれてしまえ!」
お杉の顔色は土気色を帯び、語気には必死さがこもっていた。
武蔵はうなずいて、冷静に言った。
「わかる、わかる。おばばの気持ちはよくわかる。さすがは新免宗貫の家中で重きをなした本位田家の後家殿だ。」
「ひかえなされ、小伜。おぬしのような孫ほどの若者におだてられて喜ぶ婆ではないわい。」
「そんなにひがむことはない。武蔵の話を少し聞いてほしい。」
「遺言か?」
「いや、言い訳じゃ。」
「未練なっ!」
お杉は怒りに燃え、低い体を前へ突き出すようにしながら叫んだ。
「聞かん、聞かん! この期に及んで、言い訳など聞く耳持たん!」
「では、しばらくの間、その刃を武蔵に預けてくれぬか。やがて五条大橋の袂で、又八がやってくるはずだ。すべてがわかる。」
「又八が?……」
「去年の春頃から、又八に言伝をしてあるのです。」
「なんだと?……」
「今朝、ここで会おうと。」
「嘘を言うな!」
お杉は激しく一喝し、首を振った。もし又八とそんな約束があるなら、以前に大坂で会った時に自分に話すはずだ。お杉は武蔵の言葉を一蹴し、それがすべて嘘だと決めつけた。
「みぐるしいぞ、武蔵。おぬしも無二斎の子であろうが、潔く死ぬべきだ。おぬしの父親はそう教えなかったのか? 言い訳など無用、婆の刃を受けられるものなら受けてみよ!」
お杉はそう言って、肱を縮めて武蔵の手を振り払った。そして、突然「南無っ!」と叫び、小太刀を両手に持ち、武蔵の胸元に向かってまっすぐに突いてきた。
武蔵は冷静に身をかわし、軽くお杉の背を叩きながら言った。
「おばば、落ち着け。」
それでもお杉は「南無、かんぜおん菩薩!」と叫びながら、烈しい太刀を振り回した。
武蔵はその手首をつかみ、お杉を引き寄せた。
「おばば、後で疲れるぞ……さあ、すぐそこだ。五条大橋まで一緒に歩いて行こう。」
お杉は捻り取られた腕を肩越しに見ながら、武蔵に鋭い目つきを向けた。そして、口をすぼめて何かを吐き出すように構えた。
「ふッ!」
お杉は頬に溜めていた息を勢いよく吹きかけた。
「あっ……」
武蔵は、急いでお杉の体を突き放し、片手で左目を覆って飛び退いた。
武蔵の瞳は、まるで焼かれたように熱く、何か火の粉でも入ったかのように痛んだ。瞼の上に手を当てていたが、手を離してみても血はついていなかった。しかし、左目は開けることができず、まるで視界が閉ざされてしまったかのようだ。
お杉はその様子を見て、勝ち誇ったかのように叫んだ。
「南無、かんぜおん菩薩!」
すかさず、お杉は二度、三度と太刀を振り下ろしてきた。武蔵はやや慌てながらも、身を斜めに反らせてかわしたが、その時、お杉の太刀が武蔵の袖をかすり、二の腕の肱を軽く掠めた。ほころびた袂から、鮮やかな血がじわりと滲んできた。
「討ったッ!」
狂喜したお杉は、小太刀を乱暴に振り回し、武蔵を打ち倒す気満々で動き回った。彼女の一念は、観世音菩薩の名を呼び続けながら、敵を倒すことだけに向けられていた。
一方、武蔵はただ静かに身をかわしているだけだった。しかし、左目は痛み続け、肘の傷からは血が滴り落ち、袂は赤く染まっていった。
(不覚!)
武蔵はようやく、何が起こっているかを悟った。これまでの武蔵には、戦いでこのような不覚を取ることなどなかった。だが、今回は異なる。武蔵にはお杉婆に対する闘志がなかったのだ。最初から勝つことも、敗れることも考えていなかった。老婆のような相手に、武蔵が真剣に向き合うことなど考えもしなかった。
それこそが、武蔵の過ちであった。兵法の観点から見れば、これは武蔵の敗北であり、お杉の執念深さが、武蔵の未熟さを暴露したと言えるだろう。
自らの不用意さを悟った武蔵は、一瞬にして心を決め、全力でお杉の肩を軽く叩いた。
「あっ!」
お杉は倒れ込み、手にしていた小太刀は遠くへ飛んでいった。
武蔵はその小太刀を拾い上げ、左手に持ちながら、右手で倒れているお杉の体を抱き上げた。
「ええ、口惜しい!」
お杉は、まるで亀のように武蔵の腕の中でじたばたしながら叫んだ。
「神もない、仏もない! みすみす敵に一太刀を当てたというのに……。どうしようもない、武蔵、この上は恥を掻かせずに、さっさと婆の首を討て。さあ、婆の首を討て!」
武蔵は口を固く結び、黙々と歩き始めた。お杉の声は、まるで絞り出すように、しわがれた声で続いた。
「こうなるのも、武運じゃ、天命じゃ。神の御心を思えば、未練など何もない。権叔父も旅で死に、婆も返り討ちにされたと聞けば、あの又八も、きっと仇を討とうという気になるだろう。婆の死は決して犬死にはならぬ。あの子のためには良い薬じゃ。武蔵、さっさと婆の命を奪ってくれ。……どこへ行くのじゃ? まさか、婆に恥を掻かせる気か、早く首を討て!」
お杉は武蔵の腕の中で抵抗し続け、しかしその必死な姿とは裏腹に、武蔵は一切の答えを返さず、ただ静かに歩き続けた。
武蔵は、お杉の叫びにも耳を貸さず、彼女を横抱きにしたまま五条大橋の近くまで歩いてきた。橋のそばまで来ると、武蔵はふと考えた。
(どこに置いていくべきか……)
周りを見渡し、少し考えた末に河原へ下り、橋杭に繋いであった河舟の底にお杉をそっと降ろした。
「おばば、ここで辛抱しておるがよい。――やがて、そのうちに又八がやって来るだろうから」
「な、なにをするのじゃ?」
お杉は武蔵の手を振り払おうとし、辺りの苫を跳ね除けた。
「又八など、ここへ来るはずがない! ああ、そうか、わしを返り討ちにしただけでは腹が治まらず、五条の人通りへわしを晒し物にして、生き恥を掻かせるつもりじゃろう!」
「まあ、なんとでも思うていればよい。そのうちにわかる」
「討てっ!」
「ははははは」
「何がおかしい! この婆の首一つ、ばさりと落とすことができぬのか!」
「できない」
「なんじゃと!」
お杉は怒りに任せて武蔵の手に噛みついた。武蔵が彼女の体を船桁に縛ろうとしていたからだ。武蔵は自分の腕をそのままお杉に噛ませながら、ゆっくりと彼女の体を縛り終えた。抜き身のまま提げていた脇差も、鞘に収め、彼女の腰に戻してやった。
そして立ち去ろうとすると、お杉が叫んだ。
「――武蔵ッ! 武士の道を知らぬのかッ? 知らぬなら教えてやろう! もう一度ここへ戻って来いッ!」
「――後で」
武蔵は一顧しながら堤へ足をかけた。しかし、後ろでお杉がなおも喚き続けるので、武蔵は戻り、彼女の上に苫を何枚もかぶせてやった。
その瞬間、東山の肩から大きな太陽が、真っ赤な焔の端を覗かせた。今年の初日の出だった。
「…………」
五条大橋の前に立ち、武蔵は恍惚とその光景を見つめた。赤々とした日の光が、体の奥底まで差し込んでくるように感じた。心の中の小さな愚痴や悩みは、この雄大な光の前にすべて消え去り、ただ清々しい感覚が胸を満たした。
「しかも、おれは若い!」
五つ切れの餅の力が、武蔵の体全体に行き渡っているのを感じた。武蔵は踵を返し、橋の上を見渡して呟いた。
「まだ来ていないようだな……又八は」
ふと何かに気づき、武蔵は声を漏らした。彼が見たのは、又八でも他の誰でもなく、植田良平をはじめとする吉岡門下が昨日ここに立てて去った高札だった。
――場所は蓮台寺野
――日は九日の卯の下刻
武蔵は顔を寄せ、その生々しい新しい板と墨の滲みを凝視した。その瞬間、彼の体に闘志がみなぎり、針鼠のように膨らみ上がった。
「……ああ痛い!」
武蔵は突然、左目の激痛に耐えかね、思わず瞼に手を当てた。ふと顎の下を見下ろすと、一本の針が着物の襟や袂に刺さって光っているのに気づいた。霜柱のようにきらきらと輝く針が、四本も五本も着物に刺さっていたのだ。
「あ…これだ」
武蔵は一本の針を抜き取り、じっくりと観察した。針の大きさや太さは普通の縫針と変わらない。しかし、この針には糸を通す穴がなく、さらに丸みがなく三角形の断面をしていた。
「おばば奴め…」
武蔵は河原を見下ろし、驚きの声を漏らした。
「これは噂に聞いたことのある吹針ではないか。あのおばばが、こんな隠し技を使うとは思ってもみなかった…。危ないところだった」
武蔵は興味津々のまなざしで針を次々と手に取って、自分の襟の中に丁寧に刺し込んだ。これらの針を今後の研究の資料にするつもりだったのだ。
武蔵はかつて、吹針という技術について議論されている場に居合わせたことがある。兵法の世界でも、この技術の存在を認める者と否定する者が分かれていた。
存在を主張する者によれば、この技術は古代から伝わる護身術の一種で、漢の時代から織部や縫工女たちが遊びのようにしていたものが進化し、武術に利用されるようになったという。足利時代には、吹針は奇襲の手段として用いられていたとされている。
一方で、吹針を否定する者はそれを笑い飛ばし、武芸者がそんな「児戯」を論じること自体が恥ずかしいと批判していた。唾液で針を口に含んで吹くことなど不可能だし、それができたとしても、人間の五体の中で唯一狙えるのは目だけであり、それも白目に刺さったところで効果はない、と論じる。
それに対して、存在を認める者は反論し、修練を積んだ者なら針を口に含んで相手の瞳に吹きつけることができると主張していた。
武蔵もこれまで、そんな技を真剣に考えたことはなかったが、いま目の前にその実例を突きつけられている。世間のどんな些細な話でも、耳を傾ける価値があると今、痛感していた。
左目の痛みは続き、涙が滲んでいたが、幸いにも瞳に直接刺さってはいないようだった。白目の一部に刺さり、そこがズキズキと熱を持っていた。
武蔵は涙を拭くために何か布を裂こうとしたが、帯も裂けず、袂も裂けない。手が迷っていると、突然背後で絹を裂く音がした。振り向くと、一人の女性が彼の様子を見ていたようで、自分の赤い下着の袂を歯で一尺ほど裂き、それを持って小走りに彼の元へ駆け寄ってきた。




