優曇華
吉岡家にとって、今日は最悪の日だ。
この四条道場が西洞院に開設されて以来、兵法の名門にこれほどの屈辱を味わったことはないだろう。
心ある門弟たちは、今日という日を深く胸に刻みつけなければならない――そう思いながら、普段ならば黄昏時には家路につく者たちも、今は皆、暗く沈んだ表情で道場に残っていた。
誰一人として帰る者はいない。
ある者は、板敷きの片隅に静かに固まり、またある者は別室に黙りこくって座っていた。
どこにも言葉はなく、ただ静かな動揺が漂っていた。
「お、今のは?」
外で駕籠の音が止まると、門人たちはようやく無言を破って立ち上がった。
「若先生が帰ってきたのか?」
「違う」
入口近くに寄りかかっていた男が、無言で首を横に振る。
そのたびに、道場内は再び深い沈黙と憂鬱に包まれ、何人かは小さく舌打ちし、ため息をついていた。
「一体どうしたというんだ?」
「今日は何が起きたんだ?」
「若先生の居場所はわかっているのか?」
「いや、皆で手分けして捜してるが、そろそろ戻ってくるだろう」
「……チッ」
奥の部屋から出てきた医者が、門人たちに見送られながら玄関へと向かう。誰もが医者の去りゆく姿を無言で見守り、そしてまた別室に戻っていった。
「あかりくらいつけろよ! 何で真っ暗なんだ!」
怒りをぶつけるように声が上がる。
屈辱を味わった自分たちの無力さに、苛立ちが募っているのだ。
道場正面の神棚にはぽつんと神灯が灯ったが、その明かりはかすかで、不吉な影を落としているように見えた。
ここ数十年、吉岡一門はあまりにも順調すぎたのではないか。古参の門人たちの中には、そんな反省を口にする者もいた。
先代――この四条道場の創設者である吉岡拳法は、今の清十郎や弟の伝七郎とは比べものにならないほど偉大だった。
染物職人から出発した彼は、染料を扱う技術を応用して太刀の使い方を編み出し、鞍馬寺の僧たちに学びながら剣術を磨いてきた。
そしてついに吉岡流を確立し、その小太刀の技は室町将軍・足利家にも採用され、兵法所出仕にまで登り詰めたのだ。
「偉大だったよな、やっぱり……」
今の門人たちが崇拝するのは、亡き拳法の人柄とその名声だった。
清十郎や伝七郎は修行こそしっかりしていたが、父親が築いた莫大な財産と名声をそのまま受け継いだにすぎない。
「それが不幸の始まりだ」
そう呟く者もいた。
今の門弟たちは、清十郎に惹かれて集まったわけではなく、拳法の名声と吉岡流の名に釣られて来ている者ばかりだ。
吉岡流で学べば、外で名が通るからという理由で入門してくるのだ。
先代が亡くなって以来、将軍家からの禄(報酬)は途絶えてしまった。
しかし、拳法は倹約家で、身を飾らず質素な暮らしをしていたおかげで、知らないうちに莫大な財産が蓄えられていた。
広大な屋敷と数多くの門弟たち――外見だけを見れば、京都随一の名門剣術道場であることは間違いなかった。
だが、世の中はこの白壁の外で激しく変わっていた。
道場内では、誇り高く慢心している間に、時代は静かに、そして確実に変化していたのだ。
そして今日、彼らがその変化を痛感することとなる――宮本武蔵という、聞いたこともない田舎者の剣術によって。
事件の発端はこうだ。
――「作州吉野郷、宮本村の浪人、宮本武蔵という者が来ています。」
そう告げられたのは、今日の玄関先だった。
聞けば、田舎から来た男で、年は二十一か二十二歳、背は六尺近くもあり、暗闇から引き出された牛のように大柄で重々しい雰囲気を持つという。
髪は一年以上櫛を通していないらしく、赤茶けた縮れ髪を無造作に束ねている。
着ているものも、色も柄も分からないくらい雨や泥で汚れていて、どことなく臭う気すらする。
しかし、背中には武者修行袋という頑丈な網でできた包みを背負っていて、それなりに旅人としての経験はありそうだ――とはいえ、見た目は完全に間が抜けた若者だ、と取次が笑いながら説明した。
「なるほど、道場で食事を恵んでもらいに来たのか?」
そう皆でからかっていたが、取次が続けて、なんとその男、吉岡清十郎先生に試合を申し込みたいと言っていると聞いて、門人たちは思わず笑い転げた。
「追い返せ」という者もいれば、「いや、何流の剣術を学んできたか、聞いてやろう」という者もいた。
好奇心から、取次が再度訊いてみると、その返答がまた滑稽だった。
――「幼い頃、父から十手術を学びました。その後、村に来る兵法者たちから見よう見まねで剣を学び、十七歳で郷里を出て、十八、十九、二十の三年間は学問に専念し、昨年は山に籠って自然を師とし、修行を続けました。特定の師や流派はまだ持っておりませんが、将来的には鬼一法眼の教えを汲み、吉岡拳法先生のように一流を立て、宮本流を創設したいと考えております。」
その素朴で世間知らずな正直さがさらに笑いを誘った。
訛り混じりの不器用な口調も相まって、取次はそれを真似しながら皆に伝え、再び大笑いが起きた。
「天下一の四条道場に、そんな間抜けな奴が来るなんてな。しかも自分も一流を立てたいだなんて、身の程知らずもここまで来ると面白いな。」
門人たちはさらにからかいを続け、「もし負けたら、死骸の処理はどうするか聞いてこい」と言ったところ、取次が戻ってきて伝えた言葉はまた驚かされた。
――「もし万一の場合は、鳥辺山に捨てるなり、加茂川に流すなり、決して恨みはございません。」
この返答がまた素直で、潔くて、かえって感心してしまった。
そしてついに誰かが「通せ」と言い出し、宮本武蔵を道場に上げることになった。
誰もが軽くひねって追い返そうと思っていたのだが――最初の立ち会いで、道場側が片腕を失うことになった。
武蔵は木剣で相手の腕を折った。
いや、折ったというより、ほとんど切断してしまったという方が正しい。
皮膚一枚で手首がぶら下がるほどの重傷だった。
続けざまに立ち上がる者も、次々と同じように重傷を負わされ、惨敗を味わった。
木剣とはいえ、床には血が滴り落ちるほどだった。
もはや道場全体に凄まじい殺気が満ち、どんなことがあっても、この無名の田舎者を誇りを持ったまま生かして帰すわけにはいかない――そう皆が思った。
「無駄なことはやめて、清十郎先生を呼べ」
そう言って、武蔵はそれ以上の立ち会いをしなかった。
彼は一室に通され、清十郎に知らせを送る間、待たされることになった。
道場では医者を呼び、重傷を負った門人たちの手当てが急がれた。
医者が去った後、燈火の灯った奥の部屋から数度名前を呼ぶ声が響いた。
駆けつけた門人たちが見たのは、並んで横たわっていた六人のうち、二人がすでに事切れている姿だった。
「……ダメか。」
吉岡道場の門人たちが、死者の枕元に集まり、誰もが青ざめた顔で重苦しい息を呑んでいた。
そんな中、玄関から急いで入ってくる足音が響いた。
それは、吉岡清十郎と彼の弟子であり、用人格でもある祇園藤次だった。
二人は、まるで冷水を浴びたかのような、真剣な顔つきで入ってきた。
「どういうことだ! この有様は!」
藤次が強い口調で問う。
彼は道場でも古参の先輩であり、いつも通り強権的な態度で場を支配しようとしていた。
しかし、涙ぐんでいた門人の一人が突然、憤りのこもった目で藤次を睨み返した。
「何をしていたのは、あなたたちだ! 若先生を遊びに連れ回して、ふざけるのもいい加減にしろ!」
「何だと?」
「拳法先生がご存命の頃には、一日たりともこんな事態は起きなかったんだ!」
「たまには気晴らしに、歌舞伎を見に行くことがそんなに悪いのか? 若先生がここにいなくても、お前らの口の利き方がなってない!」
「前の晩から女歌舞伎に泊まらなければならない理由があるのか! 拳法先生の位牌は、奥の仏間で泣いているぞ!」
「こいつ……言わせておけば!」
その場が険悪な雰囲気になる中、何とか仲裁しようと門人たちは二人を引き離し、別室へ移した。しかし、隣の部屋から、呻く声が聞こえてきた。
「……やかましい……人が苦しんでいるのに……ウーム……ウーム……」
それは、武蔵との戦いで重傷を負った門人たちの一人だった。彼は苛立った様子で床を叩きながら叫んだ。
「そんな内輪揉めなんかより、早く若先生が帰ってきたなら、あの無念を晴らしてくれ! あの牢人者を生かして門から出すなんてことは、絶対に許さないぞ!」
門人たちは、その言葉に全員が叱咤されたように感じた。
侍や武士たちが最も重んじるもの――それは「恥」だった。
恥をかくくらいなら、命を賭けても名誉を守る。
それがこの時代の侍たちの信条であり、彼らの生きる道だった。
吉岡の門人たちも同じく、「恥」を知っていた。
彼らは一時の敗北から立ち直り、己の小さなプライドを捨て、再び清十郎を中心に集まった。
しかし、その清十郎の様子は、どこか闘志が欠けていた。
昨夜からの疲労が、その顔に表れていたのだ。
「――その牢人はどこにいる?」
清十郎は革のすきをかけながら、門人たちに尋ねた。
二本の木剣が差し出され、彼はそのうちの一本を右手に持った。
「彼は若先生のお帰りを待つと言って、一室に控えております。」
門人の一人が、庭に面した書院脇の小部屋を指し示した。
「――呼んでこい。」
吉岡清十郎の乾いた唇から出た、その一言。
道場の師範として、彼はその場に威厳を持って座し、木剣を杖のように握りながらそう言った。
「はっ!」
数人の門人が即座に返事をし、足早に草履を履いて庭へと走り出そうとしたが、祇園藤次や古参の門人たちが彼らの勢いを制した。
「待て、焦るな。」
それからの囁き声は、清十郎の耳には届かなかった。
しかし、門人たちは小さな集団に分かれ、何やら密かに相談を始めていた。
吉岡家の古参たちは、今この場で無名の牢人である武蔵を清十郎と対峙させることが、決して得策ではないと考えていた。
すでに数名の死者と負傷者が出ている状況で、万が一清十郎までが敗れた場合、吉岡家の名声に致命的なダメージを与えるというのが、彼らの懸念だったのだ。
「清十郎様の弟、伝七郎がいれば、そんな心配はないのだが……。」
門人たちはそう思いながらも、伝七郎が今日はいないことを嘆いた。
彼は、兄である清十郎よりも剣の才に優れていると評判だったが、気まぐれな性格の持ち主で、伊勢へ友人と出かけてしまっているという。
「若先生、少しお耳を。」
藤次が清十郎のもとへ行き、何かを耳打ちした。清十郎の表情は怒りに染まった。
「……騙し討ちだと?」
「……。」
藤次は、目で清十郎を制しつつ冷静に答えた。
「そんな卑怯な真似をしては、清十郎様の名が傷つきます。いくら田舎者の武芸者相手でも、多人数でかかるようなことがあれば、世間にどう思われるか……。」
「しかし……。」
清十郎は強がって反論しようとしたが、藤次はさらに言葉を重ねた。
「我々にお任せください。若先生が手を下すには、あの男は相応しくありません。外聞に関わるような問題ではない……。ただ、生かして返せば、それこそ吉岡家の恥が世間に広まることになるでしょう。」
その間に、道場にいた人間は半数以上が消えていた。
彼らは庭や奥の方、そして裏門に至るまで、音もなく夜の闇へと姿を消していった。
「あ……もう猶予はありません、若先生。」
藤次は道場の灯りをふっと吹き消し、身支度を整えた。
清十郎はその様子を黙って見つめていた。
どこかでほっとした気持ちがないわけではなかったが、それでも決して愉快ではなかった。
自分の力が軽視されていると感じたのだ。
父の死後、自身の修業を怠ってきた結果が今ここに現れている。
清十郎の心には、暗い影が差し込んでいた。
――周りを見渡すと、道場はもはや清十郎一人しか残っていなかった。
まるで井戸の底にいるような静寂が道場全体を包み込んでいた。
――じっとしていられなかった清十郎は、ふいに立ち上がり、窓から外を覗いた。
かすかに光が漏れているのは、武蔵が待機している部屋だけだった。
それ以外には、何も見えなかった。
障子の向こう側に灯る明かりが、静かにまたたいていた。
縁の下や廊下、隣の書院はすべて暗闇に包まれており、そのほのかな灯りが差し込む一室だけがわずかに明るさを保っていた。
外からは、無数の目がじっと闇を這い寄っているのが感じられる。全員が息を殺し、刃を伏せ、内側からの気配を全身で探っていた。
(おかしいな……?)
藤次は、少し迷った。
他の門人たちも同じく疑問を感じていた。
相手は無名の田舎者とはいえ、これほどの剣技を持つ者だ。
そんな相手が、静かに待機しているのは妙だ。
いくらこちらが上手く忍び寄っても、武蔵ほどの兵法者ならば、これだけの人数が接近しているのに気付かないはずがない。
(まさか……寝ているのか?)
そんな疑念が湧いた。
相当な時間が経っており、相手が待ちくたびれて居眠りしている可能性も考えられた。
しかし、もし相手が油断しているふりをして、こちらの動きを察知しつつも準備を整え、攻撃を待っているとしたら――そんな考えもよぎる。
(それが一番可能性が高い……いや、そうに違いない。)
誰もが身体をこわばらせた。
自分たちの殺気で、まず自分たちが打たれそうな気さえする。
誰かが先に捨て身で行くのではないかと、お互いに気を配りあう。喉の骨がごくりと音を立てた。
「宮本殿。」
隣の襖越しに、藤次が声をかけた。
「――お待たせしました。少し、お顔を見せていただけませんか?」
だが、返答はない。相手はやはり構えているのだと藤次は確信し、目配せをして合図を送った。
(気を抜くな!)
そして、藤次は勢いよく襖を蹴り飛ばした。
突入する準備をしていた者たちは、無意識に一歩後退してしまった。襖は外れて足元に広がった。
「やっ!」
「いないぞ!」
「いないじゃないか!」
驚きと戸惑いが一気に広がった。
つい先ほどまで、武蔵が確かに座っていたはずの場所には、ただ敷物と冷めきった茶が残されているだけだった。
「逃がしたぞ!」
一人が縁側へ出て、庭の者たちに知らせた。
庭の暗闇や床下から門人たちが集まり、不注意だった見張りを罵った。
「見張りをしていたのに、こんなことがあるか!」
見張りを命じられていた門人たちは、武蔵が厠に立ったのを見たが、その後すぐに戻ったと口を揃えて言い、不審がる。
「風に消えたわけでもあるまいし……。」
その言い訳を嘲笑しながらも、ある者が戸棚を開け、中を覗き込んだ。
「ここだ!」
床の一部が剥がれている場所を指差す。
「灯りが消えてからそんなに時間は経っていない。まだ遠くへは行っていないはずだ!」
「追え!追い討ちをかけろ!」
勢いを取り戻した門人たちは、武蔵を追いかけて外へと飛び出していった。
そして、すぐに――「いたぞ!」という声が響いた。表門の陰から、一つの影が往来を横切り、小路の方へと逃げ込んでいくのを、全員が目撃したのだった。
まるで脱兎のごとく、武蔵と思われる影が疾走していた。
突き当りの土塀を蝙蝠のように掠め、さっと横道に逸れる。
後を追いかける門人たちは、あっちだ、こっちだと混乱しながらも足音を立てて追い詰めていった。
武蔵が逃げ込んだのは、空也堂と本能寺の焼け跡の間にある薄暗い町。
そこでようやく一部の門人たちが追いつき、声を張り上げた。
「卑怯者!」
「恥知らずが!」
「よくも、よくもやってくれたな!」
彼らは武蔵を捕らえたと思い、激しく乱打し、足蹴にした。
しかし、その男がうめき声を上げた瞬間、猛然と反撃を開始した。
踏ん張っていた二、三名の者が、一瞬で大地に叩きつけられたのだ。
「あっ!?」
「こいつ!」
その場が一気に混沌と化し、まさに血を見る寸前に――
「待て!待った!」
「違う!武蔵じゃない!」
叫び声が響き渡り、全員が気を取り戻した。
彼らは目の前の相手が、武蔵ではないことに気づいた。
「あれ、こいつ……誰だ?」
祇園藤次が遅れて駆けつけ、問いかけた。
「捕まえたのはいいが……」
「何だ、お前か。」
門人たちは、倒れていた男――又八を見て、唖然とした表情を浮かべていた。
「またお前か。よもぎの寮で会ったばかりだな。」
「ええ、今日、たまたま会ったばかりです。」藤次が答えると、門人たちも疑問の視線を送りながら、彼を見下ろしていた。
「何でここにいるんだ?お前、茶屋の亭主か?」
「いや、あの内儀によると違うらしい。何かの使い人か、そんなところだろう。」
「怪しいやつだな。何でこんな場所でこそこそやってたんだ?」
藤次はすぐに考えを切り替えた。
「こんな奴に構ってる暇はない。武蔵を追うんだ。早く手分けして、奴の宿でも突き止めろ!」
「よし、行け!」
門人たちは再び武蔵を追いかけ、走り去った。
又八はその様子を黙って見送っていたが、ふと思い立ち、彼らに声をかけた。
「あ、ちょっと待ってください!」
最後の一人が足を止めた。
「何だ?」
又八は少しためらいながら、近づいていった。
「今日、道場に来た武蔵とかいう男……あいつ、どれくらいの歳ですか?」
「年?知らんよ。」
「自分と同じくらいじゃないですか?」
「まぁ、そんなところだろうな。」
「作州の宮本村の出身だと言いましたか?」
「そうだ。」
「武蔵……それって、武蔵の“武蔵”と書くんでしょう?」
「それを聞いてどうするんだ?お前、知り合いか?」
「いや、別に……」
「無駄にうろついてると、また災難に遭うぞ。」
そう言い捨てて、その門人も闇へと消えていった。
又八は、本能寺の大溝に沿ってとぼとぼ歩き出した。
時々、星空を仰ぎながら立ち止まる彼には、特に目的地がないようだった。
「……やっぱり、あいつか。武蔵と名を変えて、武者修行に出ていたんだな……。今会ったら、きっと変わっているんだろうな。」
又八は両手を前帯に突っ込み、草履の先で石を蹴飛ばしながら、過去の友人たちの顔を思い浮かべた。
「……今、会うのは気まずいな……あいつに会って、蔑まれるのはたまらない……でも、吉岡の奴らに見つかったら、命が危ない……」
彼は、武蔵に会いたい気持ちと、見つかる恐怖の間で揺れ動きながら、夜の街を歩き続けた。