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神様の不手際によって、最強転生が始まった  作者: トラノコ
1 アレンの幼少期編(0~10歳)
4/25

3 デイリーミッションが二つになりました

 誕生日会では色々な人たちが自分の元に挨拶に来たが、まったく覚えていない。

 緊張の挨拶から始まり、最後はソフィアの感動の涙で誕生日会は幕を閉じた。


 結局、ソフィアと周りの人たちが大号泣するような理由は未だ分からず。


 しかもシウバ家が世間からどういう目で見られているかも知らない。

 有名な家なのだろうか。

 お金持ちなのは最初から知っているが。


 ちなみに〔賢者〕にシウバ家について聞いてみても、わかりませんの一点張りである。


 「ほら、もう寝なさい」


 「あい・・・」


 最近になってようやくお母さんと一緒のベッドで寝られるようになった。

 部屋が暗くなると急に睡魔が襲ってきて、もう間もなく、眠りについた。





 二歳になって、数か月が経ちました。

 毎年毎年、大規模な誕生日会を開いていては面倒なので、しばらくの間は家族内での誕生日会だった。


 一年と少し前に、デイリーミッションが追加されたが、一日も欠かさず熟している。


 朝九時に書庫へ行き、ソフィアから風魔法を教わり、時間があれば、読み聞かせもしてくれる。

 ちょうど昨日から「中級風魔法の書」という題名の本を習得し始めている。


 「今日も来ました!」


 「おはようございます、アレン様」


 ようやくちゃんと喋れるようになった。


 ソフィアは相変わらず書庫から出てこない。

 母によれば、ソフィアが他の人と気さくにお喋りするところを見たことがないと言っていた。

 俺は、母を除けば、世界で唯一ソフィアと会話できる人だそう。


 一歳の誕生日会での出来事は世間で話題となり、どうやらソフィアのファンが著しく増えたとメイドさんから聞いた。


 シウバ家の書庫の女神様・・・か。


 当初、俺の前で見せる笑顔はぎこちなかったが、今はかなり自然体で可愛らしくなった。


 「さて、今日も風魔法を練習しましょう」


 「はーい、ソフィア先生!」


 「って・・・二歳で中級魔法ですか・・・本当にアレン様は化け物ですね・・・」


 「化け物ってなんだ! ただ魔法が好きなだけ!」


 「はいはい、すみませんでした」


 冗談も言える仲になったんだ!

 いいだろ!

 と、自慢できる相手もいなく、早く外の世界へ出てみたいものである。


 ソフィアやメイドさんから情報を一年かけて収集した結果、シウバ家の世界での立ち位置は大体できた。


 父ガレンはこの国の軍隊長さんで、母スミレは世界初の女騎士さん(引退しちゃったけど)。

 軍隊は人間同士の戦争が万が一起こった際や魔物の軍勢が押し寄せてしまった際の自衛、攻撃などを行う組織のこと。

 約三万人のトップに立つのがお父さん。


 一方、母スミレは、これまで騎士=男の世界で初めて女性として騎士を目指し、活躍した人。

 また、その美貌は世間を虜にし、モデルとしても活躍していたが、ガレンと婚約し、妊娠すると表舞台から退いた。


 スミレが引退すると、最強の女騎士引退を嗅ぎつけたとある隣国が戦争を仕掛けてきたが、その戦いで活躍したのが父ガレン。

 ほぼ一人で相手軍隊を壊滅させた伝説を持ち、名を馳せた。


 要するに、俺の両親はどっちも強いってこと!

 しかし、軍隊と騎士・・・からわかる通り、どちらも物理攻撃を得意としていて、魔法は使わない。

 一本の剣で世界を驚かせてきた二人の間の子供は、今、中級の風魔法を二歳で学んでいる。


 「まさか、ガレン様とスミレ様の子供が魔法を、ね・・・」


 「でも両親が脳筋だから、それなりの訓練はさせられてるよ」


 「はい、よくそこの窓から見てますよ。たまに風魔法を使ってサボっているでしょう?」


 ソフィアは近くの窓を指さし、意地悪そうに微笑んだ。


 ぎくっバレていたか。

 剣術の練習はあまりにきつくて、担当講師の人はガレンの右腕とも呼び声高い人物だから強い。

 そんな人と毎日三時間練習していたら体力が持たない。

 風魔法を足に発動し、体重を軽くすることによって体力を温存している。

 誰にもバレていないと思ったが、さすがにソフィアにはお見通しだった。


 「二歳のくせに小賢しいのね」


 「あ、いや・・・それほどでもー」


 「褒めてない!」


 ソフィアは本当に先生みたいだ。

 叱咤激励を毎日のように聞かされる。

 腕を組み、頬を膨らませ名が起こる姿も様になっていて美しい。


 たまに血が上りすぎて、鼻と鼻が掠るくらいまで顔を近づけてくるが、俺にとっては逆にご褒美だと思っている。

 あまり怒らせると、風魔法を教えてくれなくなりそうなので、ほどほどにしておきたい。


 「さ、今日の練習も終わり。午後の剣術の練習に送れますよ、アレン様?」


 怪しげな目で俺を上からのぞき込むソフィアは今何を思うのか。

 今日はずっとあなたを監視しますよ、と顔に書いてある・・・気がする。


 ちくしょう!

 今日は風魔法を使って剣術をサボれないのかよう!


 ―――サボる、という行為は互いにとって不利益であり、誰にも幸福を与えない行為とも言えます。以上


 あなたまで俺を追い詰めるつもりか!?


 今日くらいは真面目に取り組むか。




 「遅いぞ、アレン!」


 「す、すみません・・・先生」


 「なんだ元気がないではないか!」


 さすがに、あそこの窓から鬼教官ソフィアが見張っているからサボれない、とは言えない。

 しかし、剣術の練習自体を休むとガレンに詰められる。


 俺、まだ二歳だよ!?

 もっと遊ばせてよー!


 とは思う一方で、前世のような退屈で何の才能もない自分を思い出すと、強制されながらも日に日に強くなっていく実感がある幸せは、俺が望んでいたものかもしれない。


 目の前にやりたいこと、いや、やらなければいけないことが山積みになっている今が、前世に比べたらどれだけ幸福なことか!

 ああ、楽しい!

 楽しいぞお!


 「なにボーっとしてんだ、アレン。やるぞ」


 でもこの三時間は本当に嫌だ。

 ひたすら木刀で殴り続けられるんだ。

 大の大人が二歳の子供に向かって!


 どうやら、お父さんとお母さんが、それを望んでいるらしい。

 ふざけんな、脳筋夫婦!


 「おりゃあああ!」


 「お? 今日は気合入ってるじゃねえか!」


 そりゃソフィアが見ているからね!

 俺は世界中の人から嫌われてもソフィアだけには嫌われたくない。


 ともあれ、最近になってデイリーミッションが二つに増えたので、かなり充実した毎日を送れています。

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