4. 踊り場の心霊写真
中庭で旧校舎に向かって取られた心霊写真があるそうだ。それは七年前に撮られた卒業写真に載っていた。当時浮かれていた生徒はそれを見て言葉を無くしたらしい。なんでも旧校舎の窓に気味の悪いものが映っていたそうだ。
「それがこの写真だよ」
その写真には生徒が並んでいた。森里が可愛らしい悲鳴を上げて指さした。旧校舎の中二階の窓に青白い腫れあがった顔が映っていた。それも長い黒髪でこちらを恨めしそうに睨んでいる。俺は写真を遠ざける。
「どうだった?」
社会人の朝倉さんは俺たちの反応に満足そうに微笑んだ。
「いや、怖いですよ」
森里が黙っているので俺が反応する。
「前にここに来てくれた本庄さんにも見せたよ。亡くなったんだってね」
朝倉さんが視線を落とす。
「美咲は何て言っていましたか?」
「怪談を調べていると言っていた。彼女も君と同じ反応をしていたよ。その後、食い入るように写真を見ていたけど」
「どう思う?」
「どうって言われてもな。本物じゃないか?」
大学からの帰りの電車で俺たちは話していた。
「卒業写真に細工は難しいと思うな」
「そうよね」
森里が額を抑える。
「仮にあの顔の生徒がいたんだとしたら、噂になってないとおかしい。もしいじめに遭って暴力を受けたとしても顔が腫れるまでタイムラグがあるだろ。中庭の真昼間にあの写真が撮れるのは変だ」
「説明しないでよ」
弱々しく森里が不満を言う。
本庄は何に気が付いたんだろうな。俺は亡くなった本庄に思いをはせた。