表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第一話

 仏壇の前に座り、手を合わせる。

 線香の匂いが鼻腔をくすぐった。

「母さん行ってきます」

 八ツ木 皓(やつぎ こう)は、仏壇の中央にある、屈託無く笑う母の写真に目をやる。

 返事は返ってこないが、いってらっしゃいと言われた気がした。

 皓は、立ち上がると通学かばんを肩にかけ、玄関に向かい歩き出した。

 玄関で靴を履き、自転車の鍵を探していると背後から声がかかる。

「皓、お弁当忘れているわよ」

「ああ、うん」

 皓は、青色の小さいランチバックを受け取ると、姉の顔を見る。

「姉貴、目の下のクマが」

「えっ、ああ大丈夫よ、少し寝不足なだけだから」

「大丈夫って、今のところ今週全部会社から返って来たの深夜だっただろ」

「あはは……」

「無理しすぎだって、弁当も別に作らなくてもコンビニで買って食べるから」

「だめよ、ただでさえ夜はコンビニ弁当が多いんだから」

「はぁ、姉貴が過労でいなくなったりしたら、俺だけになるんだぞ」

「そうだね、ごめんね」

 姉は片手を前に持ってきて、ごめんねとジェスチャーをつけて謝った。

「じゃあ俺もう行くから」

 そう姉に告げて玄関のドアを開けた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ