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Replicant_World 〜ようこそ! ゲームの世界へ!〜  作者: ねぎとろ


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64話 『ボスバトルスタート!』

 閉じてしまった扉の前に立ち、押したり引いたりと、試行錯誤して色々やってみるも、依然として扉は開こうとはしなかった。

 武器を使っても傷一つ付かない為、十中八九ゲームのシステム的なものでボスを倒すまで開かないという事だろう。


「んー、ダメっすね。やっぱり逃げられないみたいっす。この扉びくともしませんもん!」

「逃げられない……か。ってことは慎重に戦わないとね――って、えぇ!? 焔ちゃん!?」


 扉が開かないことを確認した後、まずは作戦を立てようと振り返れば、既に焔ちゃんが駆けだしていた。

 確かに、動く気配がない相手に対して先に攻撃を仕掛けるのは正しいかもしれないが、それでも声くらい掛けて欲しいものだ。

 まぁ、おおよそ気になる部分でもあるから確かめる為に仕掛けてるんだろうけど。


「っ! やっぱダメかぁ、んじゃこれなら!」


 焔ちゃんの振りかぶった短剣は見事に弾かれ、甲高い音が響いている。

 しかし、弾かれた衝撃によって怯もうとも、続けざまに雷の属性を纏った斬撃を放っている。

 が、それすらも直撃はするものの霧散してしまい、ダメージは一切通っていないようだ。


「ちょっと、一人で行くのは危ないでしょ!?」

「ごめんごめん。先に試しておきたくってさ。それに、まだ動かないみたいだし……あれ? もしかして私の所為?」


 斬撃が一切通じない事を確認した焔ちゃんは私たちの元に戻ってきた事で、これから先今みたいな事がないようにと説教の一つでもしようと思ったが、どうやらそんな暇はないようだった。

 なにせ、攻撃がトリガーになったのか、鎮座していたボスが動き始めたのだ。


 ーー動き始めたボス。

 まるで体をほぐすように、胸の前で構えていた巨大な斧を素振りするように振り回している。

 それに加え、ボスの体の至る所にある赤く光る宝石のようなものが、起動したかのように眩く輝きはじめた。


「こっからボス戦っすね! ヒュドラの時とは違ってウチも活躍するっす!」

「ダメ! 今はまだ冬の後ろに隠れて! とりあえず私と桜でダメージの通る場所を探すから!」


 走り出そうとする紅葉の服を掴んで冬の後ろへと放り込んだ後、桜へとアイコンタクトを送り、手当たり次第に撃ってもらう事にした。

 私たちの中で一番攻撃力の高い焔ちゃんの斬撃が通らない以上、まずは弱点、というよりも少しでも攻撃出来る場所を探さざる負えないのだ。


「雫さん! どこを撃ってもダメージがないです! というか、全部弾かれます!」

「――なっ! だ、だったら、あの光ってる部分を!」


 冬の大盾の後ろに身を隠している以上、正確に撃てる時間は少なく、下手に顔を出そうものなら体を刻まれてしまう。

 なにせ、【アイアン・ゴーレム】は手に持っている巨大な斧をその身に似合わない速度で振りぬき、幾重にも斬撃を放ってきているのだから。


「雫! 今だよ!」

「オッケー、任せて!」


 絶え間なく放たれる斬撃に隙はなく、赤く光っている宝石は場所を入れ替えるように動き続けている為に、上手く照準を合わせる事が出来なかった。

 が、焔ちゃんの放った渾身の斬撃によって一発だけどうにか相殺することが出来、次の斬撃が届くまでの数秒の間だけ体を全て出し、正確に撃ち抜いた。


「よし!」

「雫さん、私も一つ撃ち抜きました!」

「ホントに!? さすがだよ!」


 銃弾によって見事に宝石が砕かれた事によって、【アイアン・ゴーレム】の猛攻は止まり、顔を覗かせて確認してみれば、片足に亀裂のようなヒビが入っていた。

 そして、ヒビが拡がるにつれて立っている事が出来なくなったのか、膝をついている。

 ただ、攻撃は止まったものの、安全が確立されていない状態では見ている事しか出来ないのが現状だった。


「雫! 見て、あいつの体、なにか変じゃない?」


 注意深く観察していた焔ちゃんが【アイアン・ゴーレム】の異変に気付き、私を呼ぶ。

 それにより、角度的に今までの位置からでは見えなかった部分が見えるようになった事で、私もすぐさま異変に気付く事が出来た。


「宝石が……消えた……?」

「いや、体と同化してて見にくいけど、単純に輝きが無くなってるだけだよ。……でも、これだと攻撃手段がないかも……」


 どこかで攻略方法を間違えてしまったのだろうか。

 それとも、宝石を壊す事で毎回こうして動かなくなるのだろうか?

 分からない。けど、後者ならばあまりにも簡単すぎる気がしてしまう。


「皆、もう少しだけ様子見しよう。ただ、いつでも戦闘できるようにだけお願いね」


 私が言葉を掛けずとも誰一人として油断している者は居らず、むしろピリピリとした空気が張りつめている。

 気が緩んでいないのは良いことかもしれないが、もう少し気を楽にさせた方が良いかもしれない。

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