表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Replicant_World 〜ようこそ! ゲームの世界へ!〜  作者: ねぎとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/66

47話 『あっという間の一週間』

「ふぅ、割と危ない場面があったけどなんとかなったね」


 モンスターをクッションにしながら降り立った私は、褒めて欲しそうに駆け寄ってくる桜と冬に声を掛けた。


「私の狙撃はどうでしたか? 役に立ちましたか?」

「ふ、冬も頑張った! 手が痺れてるもん」

「んー、そうだね。二人とも凄く良かったよ。特に最後は指示がなくても的確に動けていたし、連携はある程度大丈夫になったかな。ただ……」


 褒めるべきところは褒め、指摘点するべきところがあればする。そう考えていた私は、自分の駄目なところを考えながら二人へとこれから先直していった方が良い部分を説明し始めた。


「まずは桜からかな。桜は確かにアシストは上手いんだけど、後衛で重要な周囲確認が足りてないかな。勿論私が指示を出すのが遅かったり、見落としてたりするから私にも問題はあるんだけどね。そこを直して自分でも真っ先に気付けるようになれば動き易くなったり、冬に頼りっきりっていうのがなくなると思うよ」

「は、はい! 確かに冬が居れば守ってくれると思って疎かにしてたかもしれません……。あと数日で出来るだけ直してみせますね!」


 桜には他にも直すべき点はあるが、微々たるものだし、私自身がちゃんと出来ているかと聞かれたらそうでもない為、重要な部分だけで問題ないだろう。

 自分で考える力も身に着けるべきだし、全部指摘するのも間違っているしね。


「それじゃ次に冬かな。冬に関してはとりあえず褒められようとして無理に動くのが危ないのと、桜のカバーが遅れている所を直すべきかな。いつでも付きっきりで守れっていう訳じゃなくて、自分の中でいつでも守れる距離っていうのを見つけるのが良いと思うよ」

「……ごめんなさい。言われた通り頑張ります」


 さっきまでのテンションが嘘のように静かになってしまい、桜は指摘を受け入れて頑張ろうと張り切っているが、冬はまだ子供だからか俯いてしまっている。

 余程褒められたかったのだろうし、これは私の言い方が悪かったのかもしれない。


「あー、えっとね。暗い顔してるけど、これはあくまでもこれから頑張っていけば良い事だから今すぐじゃないし、そこまで深く考えなくて大丈夫だよ。それに二人が凄く頑張ってたのも分かるし、別にミスしたってある程度はカバー出来る自信があるから私に任せといてよ!」


 冬の頭を撫で、張り切り過ぎて空回りしそうな桜へも聞こえるように言った後、それから街に戻るまでの間細かい点やアドバイスなんかも伝え、三人での初めてのボス戦は幕を閉じた。

 決して完璧とは言えないし、私にだって問題点は沢山あるが、それでも連携は出来るようになってきたと言えるだろう。


「はぁ、色々と難しいな」

「えっと、何か言いましたか?」

「ううん。あと数日、頑張ろうね!」

「? はい!」


 自らが前衛に立ち、指示を出しながらする戦い。

 そして焔ちゃんという要がいない戦いの難しさを知り、私は今日の事を喜んでいる二人を見ながら「……私もまだまだだな」と呟くのだった。


 ◇  ◇  ◇


 そうしてそれからもモンスター討伐をメインに、たまにイベントを引き受けて簡単な木の実集めや、鉱石集めをしたりして着実とレベルを上げていき、約束の一週間はあっという間に過ぎていった。


 ただ、イベントをやっていく内に私たちはある程度連携が取れるようになっていったが、同じく戻ってきた焔ちゃんを見る限りだとあっちは問題があったみたいに見える。

 なにせ、少し遠目からでも焔ちゃんは疲れてるみたいでげっそりしてるのが分かるのだから。


「あっ! 冬! 桜! ただいま! こっちは焔さんと一緒で凄く楽しかったよ! そっちはどうだった?」

「紅葉姉、泥だらけの体で抱き着かないで。汚れちゃう。それと、私たちは雫さんと凄く仲良くなった。ふふん」

「こらこら、冬のその説明じゃ何も分からないでしょ。えーっと、私たちがやったのは――」


 何故か自慢げな冬と、泥だらけながらも何故か焔ちゃんを師匠と呼んで興奮している紅葉。そして慌てながらしっかり説明を始める桜。

 騒がしくも見えるその三人は、一週間ぶりに会えたのが嬉しいのか顔は笑顔であり、そしてどこか無事で安心しているようにも見えた。


「全く、焔ちゃんがこんなになるなんて一体何があったのさ」

「うぅ……雫ぅ……」


 元気な紅葉とは裏腹に疲れ切って私へと抱きついてきているという事は、きっと二人とも性格が似てるし、お互いに前に出たがって連携なんて取れたもんじゃなかったのだろう。

 ま、真相なんて後で焔ちゃんから聞けば問題ないか、と考えながら私はひとまず焔ちゃんの頭を撫でながら三人の仲睦まじい光景を見守る事にした。

新年初投稿です!

これからもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ