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Replicant_World 〜ようこそ! ゲームの世界へ!〜  作者: ねぎとろ


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46話 『初連携!』

 次の日の朝、すっかり元気になった私は三姉妹と会い、鍛冶屋に行った後、冬の防具を買いに向かった。

 あんまり詳しくない私にはどれが良いとかはあまり分からず、焔ちゃんのセンスと、冬自身に決めてもらい、一式を買い揃える事になった。

 白を基調にし、サーコートを淡い青色で合わせた防具は多少動き辛そうではあるものの、冬にはとても似合っていた。


「おー! 冬ちゃん可愛いよ!」

「うんうん、さすが私のセンスだね! 天使にすら見えちゃうよ!」

「うぅ、やっぱり羨ましいけど、ウチにはこれがあるから耐えられる!」

「ふふっ。褒めて貰えてよかったわね。ちゃんと雫さんにお礼を言いなさいよ?」


 紅葉を除き、皆が笑顔で可愛いと褒め続けると冬は照れたように俯いていたが、ちょこちょこと私に近づいたかと思えば小さく感謝の言葉を述べてくれた。

 そんな冬に私は笑顔を返し、これで全員の装備も揃った事から、私たちは街の外に出て予定通りパーティーを分断するのだった。


 ◇  ◇  ◇


 それから、パーティー分断する事にした私たち。私と桜と冬、焔ちゃんと紅葉という形で取り決め通りに分かれ、各々モンスターを倒したり、イベントを何個かやる事に決まった。

 ただ、焔ちゃんとは初めて分かれる事もあり、リーダーとして自分で色々決めなきゃいけないのも初めてであり、私の頭の中は最初に何をするべきかグルグルと考えが回ってしまっていた。

 一週間という約束がある以上、効率的にイベントをやらないといけないのも理解しているが、最初は簡単なものか、或いはモンスターを討伐しまくってレベル上げをメインに据えるかどうしても迷ってしまうのだ。


 けど、こうして私が悩み唸っているのが気になったのか、冬が私の服を引っ張ってきた。


「ん? どうしたの冬ちゃん?」

「桜姉が何か言いたいことがあるみたいだから……」


 冬にそう言われ、桜の方を見れば、確かに私へと視線を向けているし話したがっているように見えた。

 何か意見があるのだろうか。


「えーっと、ごめんね。私がリーダーなのに何も決められなくて。もし桜ちゃんが意見を持ってるなら是非聞かせて欲しいな。私だけじゃどうも決まらないからさ」

「は、はい! えっと、私としてはもう最初からモンスター討伐をしたいです! あ、決して急いでるとかじゃなくて、単純に連携とか、戦い方を学ぶにはそっちの方が良いかなぁって思ったので……どうでしょうか?」


 桜の意見はモンスター討伐。言っている事は最もだし、効率良くレベルを上げるにもそっちの方が良いのは分かる。

 けど、どうしても最初こそ今までと勝手が違うから危険な気がしてならないのだ。

 考えすぎかもしれないが、何も考えないよりはマシだし、危険は出来るだけ排除していきたいのだから仕方がない。


「うん、わかった。桜はモンスター討伐ね。冬はどう? 何か意見とかある?」

「んーと、冬は桜姉と雫さんに従います……」

「そっか、それじゃモンスター討伐をまずはやっていこっか! でも最初だから比較的弱めのやつから行くよ!」


 桜と冬が頷き、結局私たちはモンスター討伐をする事になった。

 けれど、二人にも言った通り、最初は街の近くで狩りをし、相手は動きも遅く戦いやすい蟹型のモンスターが適任だろう。

 レベルは上がりにくいけど、それでも少しは連携の糧にはなるはずだ。


「桜! 近くに冬が居ない時は撃ったらすぐにその場を離れるように! 冬は常に周囲の警戒と、桜の守りを第一に考えて! それと盾で攻撃できるからって積極的には戦わないように! あくまでもカウンターを狙う感じで!」

「はい! 分かりました!」

「冬も言われた通りに頑張ります……」


 それから二日間程の間何度か蟹型のモンスターと戦い、次のステップに進むために、イベントで引き受けた砂を泳ぐモンスターの群れ討伐の時、私は初めて二人の悪い点を言う事にした。

 それまでは良い所や褒めたりしかしていなかったが、さすがにそれでは現状に甘んじてしまうだろう。

 正直、冬には結構難しい事を言っているから申し訳ないと思ってしまうが、狙撃銃という襲われたら対処できない桜の守りにはどうしても冬が必要なのだから、それをまずはしっかりと理解してもらいたいのだ。


「ふぅ。これで後はボスモンスターだけかな。すっかり隠れちゃったけど、どこに居るんだろう? 逃げたりはしてないだろうけど……」

「雫さん! どうでしたか? 指摘された後の動きは自分でも良くなったと思うのですが!」

「ふ、冬も優先順位を決めた事でしっかりと動けるようになりました。だから褒めて下さい」


 モンスターの気配が消えた事で、安心したのか冬と桜が褒めて欲しそうに近づいてきた為、私は警戒しながらも二人を褒めることにした。


「うん、二人とも戦いの中で着実に良くなっていると思うよ。きっと自分でも悪い点とかが見つかってると思うから、もしあったらそれも直していけるようにすればもっと良いかな。とにかく、良く頑張りました! 後はボスを三人で倒すよ!」


 褒められたことで桜は喜び、冬は頭も撫でろと言わんばかりにより近づいてきた。

 しかし、私が頭を撫でてあげようと思ったその瞬間、桜の背後から巨大な角が迫ってきているのが見え、私は慌てて冬に指示を出し、自分も動き始める。


「冬! 桜の前で盾を構えて! 衝撃は強いかもだから足腰に力を入れるように! 桜は冬が防いだらすかさず射撃! その後は私が仕留めるから!」

「りょ、了解です!」

「だ、駄目、重すぎる! ーーきゃあっ!」


 私の指示により動いた冬は、不利な体勢のままモンスターの角を防ぎ、凄まじい衝撃と音が鳴ったあとに力負けしてしまい、吹き飛ばされてしまった。

 それに加え、すかさず桜と私が攻撃を加えたことにより、モンスターはそのまま砂へと潜って気配を消しまった。


 けれも、明らかに通常よりも大きい個体、且つ鋭利で太い棚から考えるにボスモンスターで間違いないことが分かったのはありがたい。

 こいつさえ倒せばそれで終わりなのだ。


 ただ、問題があるとすれば砂に潜って姿を消している以上、真下から突き刺す形で現れたら冬はおろか誰も対処出来ない事だ。


「ーー来る! っ! 抑えきれない!?」

「雫さん!」

「今助けます!」

「ダメ! 2人ともそこから動かないで!」


 十中八九冬を狙ってくると思っていたが、予期せず私を標的に定めたモンスターは勢いよく飛び出し、貫こうとしてきた。

 とはいえ、間一髪予兆を感じて武器を構えた事で防げてはいる。ただ如何せん力負けしてしまっているのは非常にまずいのだ。

 徐々に地面に埋まっている以上、2人が助けに来れば流砂に巻き込まれてしまうし、どうにか離脱する他ない。


「――!!!???」


 半身が砂に飲み込まれ、いよいよ身動きが取れなくなったその時、モンスターの目を貫く銃弾が目の前を横切った。

 肉質が柔らかく、抵抗もなく目を貫く銃弾はどこかの骨で止まったのか片目を潰す程度にしかならなかったが、急に訪れた激痛と視界のブラックアウトに困惑しているのか超音波のような声にならない叫び声を上げながらのたうち回り始めた。


「桜! ナイスアシスト!」

「は、はい! ありがとうございます!」

「むぅ、冬だってやれば出来るんだから!」


 モンスターが離れた事により、流砂から抜け出すことが出来た私は、狙撃銃を構えている桜へと言葉を掛けた後、暴れまわるモンスターへと継続的にダメージを与え始める。

 最早指示を出さなくとも各々やるべきことが分かっているようで、怒り狂ったモンスターによって狙われている桜は位置を移動しながら随時射撃し、冬は的確に攻撃を防いでいる。


 そしてモンスターが渾身の一撃を放ち、冬がそれを防いだ瞬間、私たちのボス戦は終わりを迎えた。

 冬が相手の力を利用して上空に打ち上げ、桜が腹を撃つ。最後に私が角に乗って脳天を撃ち抜く事での決着だ。

年内最後の更新です(*゜▽゜*)

今年もありがとうございました!

また来年もよろしくお願いします!

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