39話 『ハーピィ討伐作戦』
ポーションを飲ませて数分が経過した頃、未だに二人が起き上がる気配はなく、飲ませた女の子は心配そうな顔で祈るように手を合わせていた。
そんな中で私はというと、焔ちゃんから標的をこちらへと戻した何体かのハーピィと戦っていた。
頭を狙い、羽を狙い、心臓を狙い撃つ。
体力自体はそれほど高くはなく、数だけが多いハーピィを倒すのはそこまで苦労はしないが、精神的な疲労はどんどん溜まっていった。
正直言って断末魔も血飛沫も、表情もなにもかもがゴブリン達とは比べ物にならないくらいに人間と酷似、というよりも人間と同じであり、まるで本当に人を殺しているみたいで嫌悪感を覚えるのだ。
……勿論、助けると決めた以上逃げだすわけにもいかないが、それでも手は震えるし、照準だって少しすつズレてしまう。
「雫! 倒すのが嫌ならそこの子達を連れて逃げても良いよ!」
「えっ、でもそしたら焔ちゃんが一人になっちゃう……」
「大丈夫! 数は多いけど何とかなるだろうし、飛ばれても斬撃があるからね!」
焔ちゃんの顔を見ればさっきまでの私と同じような事を考えているという事がすぐに分かった。
でも、それでも私たちを守るために戦ってくれているのだ。
だったら私がこんな所で嫌がってる場合じゃないのだ。全部を焔ちゃんに任せるわけにはいかない。
一緒にこの世界から出る為に!
「――焔ちゃん、私も戦うよ! でも今みたいに守りながら戦うから、出来るだけ近寄らせないように出来る? 私はここから援護と、近寄ってきたら短剣でなんとかするから!」
「っ! うん! それで大丈夫! ありがとね!」
私の返答に驚きながらも喜び、笑顔を見せてから風のように駆けてハーピィへと攻め始める。
私が女の子たちを守ると、戦うと口にしたからこそ焔ちゃんはこっちを気にせずに本気を出せるのだ。
「でも、さすがにこの数はまずいよね……」
私が守ると言っても、余りにも数が多すぎて完全には守り切れないのは明白だし、焔ちゃんだって対処出来る数は限られている。
こうなってしまえば、動ける女の子にも力を貸してもらう他ないだろう。
幸いにも武器は見る限りだと狙撃銃だし、私が守りながらでも戦えるはずだ。
……ただ、三人の内一人はよほど致命傷だったのか、未だ意識が戻っていない。
もう一人も回復はしているみたいだけど、動けないからこそ、心配している女の子としては容態をずっと見ていたいかもしれないけど。
声を掛けるくらいは許して欲しい。
「……ごめん、助けに来たのに悪いんだけどさ、力を貸してくれないかな?」
「えっと、その……」
銃弾を放ち、上空から攻めてくるハーピィを撃ち落としながら話しかけるが、困惑したように戸惑い始めてしまった。
もしかしたら襲われて死ぬかもしれなかったのがトラウマになってるか、さっき私が考えていた通り、二人が心配なのかもしれない。
だとしたら、
「ううん、無理なら大丈夫だよ。私たちがなんとかするから」
「――ごめん雫! 一体逃した!」
焔ちゃんの声が聞こえて振り向いてみれば、こちらへと迫ってくる二体のハーピィが見えた。
でも、一体は焔ちゃんの投げたナイフによって地に落とされて絶命しており、奇声を上げながら突っ込んできているのは一体だけだ。
「――ね、こう見えて私たち結構強いからさ。絶対守り切るよ」
私が銃を使っていたこともあって、ジグザグに動きながら突っ込んできており、これでは照準も合わせることが出来なかった為、私は一歩前に出てすれ違いざまに短剣でハーピィの首を切り裂いた後、頭を銃で撃ち抜く。
結果、血を噴出しながら絶命するハーピィが地に伏している訳だが、それを尻目に女の子へと声を掛けた後、私は次のハーピィへと照準を合わせることにした。
そうして、女の子はそんな私たちの戦う様子を見て、頬を叩くと銃を構え始める。
どうやら援護射撃をしてくれるようだ。
「勇気を出してくれてありがとね」
「いえ、何もしないわけにはいかないですから!」
私とは違う射撃音で次々に撃ち落とされるハーピィ。
それを見た焔ちゃんは驚きながらもこちらをチラッと確認すると、納得したように笑い、私たちは続けてハーピィを倒し続けるのだった。




