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Replicant_World 〜ようこそ! ゲームの世界へ!〜  作者: ねぎとろ


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24話 『ユニーク武器』

「雫! 早く起きて! やばいよ、このままじゃ潰れちゃう!」


 夢も見ないくらい深く眠っていた私は、焦ったような声を聞き、寝ぼけた目に映る残り時間を見て飛び上がるように起きた。


「ごめん! 寝すぎちゃった!」

「ホントだよ! 何回起こしたと思ってんの? ほら、早く帰るよ!」

「うん、起こしてくれてありがとね」


 なんとか時間ギリギリで外へと出ることが出来た私たちは、崩壊するダンジョンの音を背に、街へと向かい始めた。

 既に疲れは取れているが、問題の防具がお互いに壊れているからこそ、森でモンスターと出会うのは避けたかった。

 ユニーク武器を早く試してみたいという気持ちはあるが、焦っても危険なだけというのは焔ちゃんも理解しているらしく、出来うる限りモンスターから隠れるように移動し、時間は掛かったものの森を抜ける事が出来た。


 そうして、レベル的にもモンスターの強さ的にも比較的安全な平原を歩いていると、チャットが騒がしくなっている事に気付き、私たちは歩きながら内容を確認してみることにした。


「え、雫、ほら見て! 一層を攻略した人が居るみたいだよ! しかもちゃんと情報まで書いてくれてる!」


 焔ちゃんと一緒に見ているチャットには、攻略した人のレベルと、ボスの情報、それに加えてボスまでの道のりまでも詳しく書いてくれていた。

 さすがに嘘だとは思えないけど、情報が一つしかない以上、まだ鵜呑みにして挑むわけにもいかない。


 早く攻略して元の世界に戻りたいけど、そもそもレベルが足りていない私たちじゃ挑んでも犬死にするだけだ。


「うわ、ボスってゴブリンキングだって。焔ちゃん大丈夫そう?」

「うーん、トラウマは克服したつもりだけどね。まぁ大丈夫でしょ! レベルも今から上げるし、武器だって強くなったんだから!」


 自信満々に答えてくれているのは嬉しいけど、トラウマがいつフラッシュバックするかは分からない。

 私は私で念のために一人でも戦えるようにしておいた方が良いかもしれない。


「よし! 街に着いたし、良い防具を買い行こー!」

「あー先に弾を買っていい? なんかこの武器どの属性の弾も使えるみたいでさ、もしかしたら他の属性の弾が売ってるかもしれないし!」

「うぇ!? 全属性使えるの!? さすがはユニーク武器だわ……」


 ボスについてだったりを話しているうちにいつの間にか街へと着いていた私たちだが、ただでさえ武器が目立っているにも関わらず、焔ちゃんがユニーク武器の話をした所為もあって、視線は一気に集まってしまった。


「ほ、焔ちゃんが大声出すから!」

「ごめんごめん。でも、とりあえず逃げよっか!」


 幸いにもまだ話しかけてくる人は居らず、蜘蛛の子を散らすように逃げた私たちはこれ以上注目を浴びない様に、武器を隠してからいつもの店に弾を買いに行った。

 しかし、相変わらず炎と雷しか置いておらず、ちょっとガッカリしたままに防具屋へと足を運んだ。


「うーん、焔ちゃんはやっぱり軽装備が良いよね。ってなると私は……動き回るし軽装備かなぁ」

「じゃあ同じにしよ! お揃いにさ! 後は防御力も大事だけど、見た目も大事だからね!」

「生き残る為なら別に見た目なんかどっちでも――」

「良くないからね! 雫も女の子なんだから!」

「うっ、はぁい。じゃあ焔ちゃんと同じにします……」


 元々ユニーク武器と一緒に入っていたお金でとにかう防御力が高く、動き易いのを探そうと思っていたが、こうして止められてしまった為に、私は気が乗らないまま焔ちゃんと一緒に何度も試着する羽目になってしまった。


 そうして、一時間程掛けてようやく決まったのが、伸縮性のある服の下にチェインメイルと、鉄の胸当て、それに加えてショートパンツにロングブーツに決まってしまった。

 幸いにも防御力は高くなっているが、肌を露出している部分が多く、焔ちゃんは平気そうだけど、私には耐えられそうにない。


「ほ、焔ちゃん。本当にこの格好で良いの? 恥ずかしいんだけど」

「大丈夫、すぐ慣れるから! それに戦闘中なんて気にならないよ!」

「うぅ。耐えるしかないのか……」


 私の言葉は一蹴され、慣れるしか選択肢がなくなり、項垂れながら店を後にした。

 時刻は既に夜になっており、装備が整っていても、武器の詳しい性能が分からない以上は夜戦は難しいと思い、ひとまず宿に泊まって、もう一度武器を確認しておいた。


 明日の戦闘で上手く扱う為に。


 そうして夜が明けて次の日、私たちは朝早くから森へと来ていた。

 一層のボスがゴブリンキングということもあり、少しでもゴブリン相手に慣らしておきたかったからだ。


「嘘っ! こんな事も出来るの!?」


 双剣を手にした焔ちゃんは、木を蹴ったりしながら立体的に攻撃を繰り返しながら武器の性能を確かめていたみたいだけど、自分で放った斬撃に驚いたのか、モンスターを倒した後に声を上げていた。

 どうやら、焔ちゃんの双剣は装備欄で属性を決めると、鞘に納めてから取り出す時に属性が付与された斬撃を飛ばせるらしい。


 他にも斬撃を飛ばさなければ剣自体に属性が付与されたままに出来るらしく、ユニーク武器に恥じない性能だと思う。

 ……まぁ他のユニーク武器なんて分からないけど。


「雫のはえっとどんな属性でも使えるんだっけ? 後は試したみた感じなにか違ったことありそう?」

「んーとね、さすがに使えないけど、レベルを使って炸裂弾? みたいなの使えるみたい。あとはー弾の種類が変えられるよ! 跳弾とかに!」

「ほへー、なんか雫のはなんでも出来るって感じだね。さすがユニーク武器って感じ。あ、でもそっちの短剣は普通って事?」

「うん、今のところ変わったところはないし、なにもないんじゃないかな? まぁ壊れたりしないだけでも充分だと思うけど」


 こうして話しながらも以前は苦戦していたゴブリンとオークの集団を傷一つ負うことなく倒すことが出来た。

 武器が強いからというのも勿論あるだろうが、それでも最初に比べれば見違えるほどに強くなっている筈だ。

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