5 沙穂さんは今日もエロエロ
「ウフフ♡今日も朝からにぎやかね」
と言いながら、台所からエプロン姿の女性が、朗らかな笑みを浮かべて食堂に現れた。
この人は伊能沙穂さん。
この沢凪荘の管理人で、ここでは一番年上だ(でも年齢は不明)。
ゆるやかなウエーブのある髪を後ろでひとつにまとめ、目元は優しく、いつもニコニコしている。
正に沢凪荘のお姉さん的存在の人だ。
沙穂さんは優しくて包容力もあり、ここの住人の中では一番まともな人・・・・・・
に、見えるんだけど・・・・・・。
そんな沙穂さんが、ニコやかな笑みで言った。
「それで、今日は何が原因で、そんなににぎやかにしているの?」
するとすかさず矢代先輩が、手を上げてこう言った。
「あのね、聖吾お兄ちゃんがね、美鈴ちゃんのパンツを盗んでん」
「ええっ⁉違うでしょ⁉盗んだのは矢代先輩でしょ⁉」
「あんたもほとんど同罪じゃないの!」
抗議の声を上げる俺に、美鈴がそう言い放つ。するとそんな中、ひと際目を輝かせた沙穂さんが、ズズイッと俺に詰め寄ってこう言った。
「まあっ♡聖吾君も女の子の下着を盗む年頃になったのね♡」
「そんな年頃ありませんよ!」
俺はそう返すが、沙穂さんは構わず続ける。
「恥ずかしがる事はないわ。女の子の下着を盗む事は、男の子として正常な事ですもの」
「そんな事ないでしょ⁉下着ドロボーは立派な犯罪ですよ!」
「聖吾君はもう、女の子の下着でしか興奮できなくなってしまったのね」
「んな訳ないでしょ!俺が好きなのは本体の方ですよ!」
沙穂さんは普段は朗らかな大人の女性なんだけど、エロに関する言葉を聞くと、たちまちそっちの方に意識を暴走させてしまうクセ(あるいは病気)がある。
そういう意味では、沙穂さんはこの沢凪荘の中で一番困った人なのかもしれない。
まあともかく、俺はこんな人達に囲まれながら、沢凪荘での日々を送っている。
ぶっちゃけて言うと、もう続編なんて出なくてもいいと思ってたんだけど、これから先、一体どんな出来事が俺を待ち受けているんだろう?
沢凪荘での日常が、再び始まろうとしていた!
・・・・・・はあ、気が重い・・・・・・。