3 モーニングパンティーと、寝起きのピンタ
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そのあまりにショッキングな光景に、言葉を失う俺と美鈴。
何なのこの状況?
とりあえず俺はこう叫んだ。
「な、何でこんな所に子供用のパンツが⁉」
これじゃあまるで俺が変態みたいじゃねぇか!
違う!俺にそんな趣味はねぇぞ!
すると美鈴はおもむろにうつむき、ドスの利いた声でこう言った。
「悪かったわね、子供っぽい下着で・・・・・・」
「へ?」
美鈴の言葉に、俺は目を丸くした。
見ると、美鈴の顔がさっきとは別人のように恐ろしい形相になっていた。
あまり考えたくないんだけど、まさか・・・・・・。
「これってもしかして、美鈴さんの、ですか・・・・・・?」
あまりの恐怖に思わず敬語になってしまった俺の問いかけに、美鈴は殺意むき出しの口調で答えた。
「そうよ、悪い?」
何てこった。
女物の下着を持っている所をこいつに見られただけでも悲劇なのに、その下着がこいつの物だったなんて(しかもクマさんパンツだったなんて)、これ以上の悲劇があるだろうか?
途方に暮れる俺に、美鈴は続けて言った。
「いくら探しても見つからないと思ってたら、まさかあんたが盗んでいたなんて・・・・・・」
「ち、違う!誤解だ!」
俺は必死に弁解した。
そもそも何で俺が美鈴の下着を持っているのか、全くもって身に覚えがない。
この沢凪荘は洗濯機が共同だから、間違って他人の洗濯物が紛れ込んだりする事もありうるけど、それならその時気づくはずだ。
それを気付かないフリしてこっそり盗むなんて、俺は絶対にしねぇし!
「とにかく俺は無実なんだ!信じてくれ!」
全く身に覚えがない俺は、美鈴に必死に訴えた。
しかしそれに対する美鈴のコメントはこうだった。
「バッカじゃないの⁉この状況でそんな事言われても、信じられる訳ないでしょ!」
そして美鈴は俺の頬に、容赦ないビンタをお見舞いした!
ぶゎちこぉん!「いてぇ⁉」
美鈴のビンタは凄く痛かった。
朝っぱらからどうしてこんな事に・・・・・・。
と、本当に泣きたくなっていると、部屋の入口の影から、俺と美鈴のやりとりを覗いている人物が居る事に気づいた。
その人物は至極小柄な黒のロングヘアーの女の子で、彼女がこの件の犯人である事を、俺は今までの経験から直感した。
なので俺は美鈴に言った。
「これはあの人の仕業だって!」
そして美鈴の返事を聞くより先に、入口の影に隠れるその人に飛びかかった。