2 美鈴でお目覚め
「う・・・・・・ん・・・・・・」
重たいまぶたをこすりながら上半身を起こすと、俺の部屋の入口に、セーラー服を着たボブヘアーの少女が、腕組みをして立っていた。
彼女の名は河合美鈴。
俺が現在住んでいるアパート、『沢凪荘』の住人で、俺と同じ学校に通うクラスメイトでもある。
顔はまあ可愛いんだけど、いかんせん気が荒く、事あるごとに俺につっかかってきては、よく喧嘩になる。
俺は別にこいつに恨みがある訳じゃないし、できれば喧嘩なんかしたくないんだけど、何故がそういう事になっちゃうんだよなぁ。
そんな事を考えていると、目の前の美鈴が、不機嫌そうに言った。
「ったく、何で私があんたを起こさなくちゃなんないのよ。朝くらい一人で起きなさいよね」
「へいへい、そいつはすみませんね」
今までの経験上、ここで下手に言い返すとまた喧嘩になってしまうので、俺は素直に詫びて立ち上がった。
するとその拍子に、俺の目から涙が流れた。
さっきの夢のせいだろうか?
とか思っていると、美鈴がにわかに驚いた様子で言った。
「な、何も泣く事ないじゃないのっ」
美鈴は自分のせいで俺が泣いたとでも思ったんだろうか?
気はキツイのに、妙なところで繊細な奴だ。
しかし全く美鈴のせいではないので、俺は持っていたハンカチで目元を拭いながら言った。
「ばーか、そんなんじゃねぇよ。あくびした拍子に涙が出ただけだよ」
すると美鈴はそれに対しては何も言わず、ある一点に視線を集中させた。
その一点とはハンカチを持った俺の右手で、それを凝視しながら美鈴は言った。
「ん?あんたが手に持ってるそれ、何?」
「え?何って、ハンカチだよ、ほら」
しかしよく考えると、どうして寝起きにハンカチを持っていたのか不思議だったが、俺はそのハンカチを美鈴の前に広げて見せた。
すると、何と、
それはハンカチではなく、クマさんのイラストが描かれたパンティーだった。