第二十四話 聖剣炉戊と邪竜炉戊の一騎打ち勝負!(その2)
「次は、この暗黒魔力を凝縮したダークミサイルで破壊し尽してやるわ!」
ダークバジリスクは小さく腰を屈める射撃スタイルを取った。すると、両肩のショルダー装甲、両腰のサイド装甲、両足のレッグ装甲が一斉にパカッと開いた。そして、中に搭載している闇色に凝り固まった細長い弾頭を一斉に射出した。
闇の暗黒魔力を凝縮したミサイル魔法弾である。ソードグランダムMkⅡはオーラマグナムを連射し、多数のミサイルを撃ち抜いた。
しかし、ミサイルの数が多いため、幾つかはビームを擦り抜けてしまった。純白の聖剣炉戊はオーラブースターの機動性でミサイル群をかわし、或いは、オーラシールドを展開して防御した。
それでも、幾つか被弾してしまい、魔法粘土製の装甲のあちこちが損傷するダメージを負った。
「今度は半端な攻撃じゃなくて、オーラマグナムのため撃ちだよッ! 容赦しないからね!」
ソードグランダムMkⅡは、オーラマグナムを両手でどっしりと構えると、最大級のオーラパワーを注入した。オーラマグナム全体に、翠色のオーラパワーの光が充満する。その力が頂点に達した瞬間、銃口から分厚いビームの束をほとばしらせた。
超大容量の衝撃波ビームはダークバジリスクの胸部装甲の辺りに命中した。凄まじい轟音とともに、ライトグリーンの閃光が爆発する。
超重量級の邪竜炉戊の機体は、後方に勢いよく吹き飛ばされて転倒した。ほんの少し時間が経過して、ヨロヨロとした動作で立ち上がる。
ため撃ちの超凝縮オーラビーム弾は、邪竜炉戊ダークバジリスクの強固な装甲を打ち破り、胸部装甲に巨大な陥没を造っていた。
「クッ、何という威力だ。だが、このダークバジリスクは簡単にはやられんぞ」
暗黒魔法師の不敵なセリフとともに、邪竜炉戊の機体を禍々しいダークレッドの光が覆った。
すると、暗黒魔力の修復作用によって、ダークバジリスクの胸部装甲の陥没が塞がった。
「魔法粘土装甲の修復魔法はボクだって使えるよ。まだまだこれからだよ」
勇者ワウディスの言葉とともにソードグランダムMkⅡの機体各処のオリハルコンフレームからライトグリーンのオーラパワーが溢れ出した。
すると、白銀の装甲の傷跡が見る間に修復した。
魔法炉戊もオーラ機士の持つオーラパワーを行使して、装甲の修復が可能なのだ。
「なるほど、これでは射撃戦による決着はつかないな……では、本気を出すしかないな。闇の雷をまとったサンダーアックスで、叩き斬ってやろう」
ダークバジリスクは悠然とした仕草で両手を背中に伸ばし、背面の武装ラックから巨大なバトルアックスをひとつずつ掴み取った。
邪竜炉戊の般若の両眼がカッと見開かれ、禍々しい真紅に輝いた。すると、両手に持った二振りのバトルアックスにダークレッドの雷電が宿った。
暗黒魔法最高の破壊力を持つ〈闇の雷撃〉の魔法を宿したサンダーアックスだ。
ダークバジリスクは両手の雷撃の斧をドッシリと構え、戦闘態勢を取った。
「すごい暗黒魔力だ。これなら、ボクもオーラソードを使うしかないね」
勇者ワウディスは臆病かつ慎重な性格のため、この決戦においても、オーラマグナムによる射撃戦メインの方針で戦っていた。
しかし、邪竜炉戊の超硬い装甲を打ち破り、サンダーアックスと渡り合うには、光の聖剣を具現化したオーラソードで切り込むしかない。
そのため、勇気を振り絞って接近戦に踏み切ることにしたのだ。純白の聖剣炉戊は腰部装甲の側面に格納しているオーラ武具の柄を引き抜いた。
柄の先端部分のオーラクリスタルから超高熱ビーム刃がヴゥゥッンッと伸び上がり、さらに柄の各処に填め込まれたオリハルコンフレームが共振して光の刃が一気に増幅する。光の聖剣の名前に相応しい強化型オーラソードである。
「では、本気の戦闘開始だ。このオレの圧倒的なパワーに慄くがいい」
「暗黒魔力のバケモノに負けるもんか! 光の聖剣の力を見せてやる!」
ソードグランダムMkⅡは脚部や背面のオーラブースターをフル稼働させて、超速ダッシュで突進した。
各処の噴射口から光の奔流が噴き、純白の機体が疾走する。ダークバジリスクも重量級の走行音を轟かせて進み出る。
二機のゴーレム機兵が走り寄って激突し、壮絶な接近戦に突入した。邪竜炉戊は二振りの雷刃の戦斧を猛スピードかつ連続で振り下ろしてくる。
純白の聖剣炉戊は片方のサンダーアックスを左腕のオーラシールドで防御し、もう片方のサンダーアックスを強化型オーラソードで跳ね返した。
反撃で繰り出した強化型オーラソードの一撃は、雷刃の戦斧で受け止められる。
ソードグランダムMkⅡは、再び連続で振り下ろされるサンダーアックスのひとつをオーラソードで撃ち返し、もうひとつをオーラシールドで受け流した。
二機のゴーレム機兵は互角に撃ち合い、激しい剣戟の応酬となっていた。互いの光刃が衝突するたびに轟音が鳴り響き、衝撃波で空間が揺動する。
オーラパワーと暗黒魔力の火花が激しく舞い散り、戦場の空気を焼き焦がした。
ソードグランダムMkⅡとダークバジリスクは互角の戦いを繰り広げ、お互いになかなか有効な一撃を与えられない状況だった。
「オモチャの魔法ゴーレムごときが小癪な! この一撃でトドメを刺してやるわ!」
邪竜炉戊は二振りの雷刃の戦斧にひときわ強烈な闇の雷をまとわせた。瞬間的にパワーを増幅して、オーラシールドごと叩き斬るつもりなのだ。
「どんなにパワーが強くても、当たらなければ何の意味もないよ!」
純白の聖剣炉戊はフル稼働のオーラブースターの高機動性を活かして、サンダーアックスの連続攻撃をギリギリの距離でかわし切った。
大振りの隙をつき、超速ダッシュで距離を詰めると、強化型オーラソードの超高熱ビーム刃を邪竜炉戊の胸部ダーククリスタルに突き入れた。
ビビビビビビッ! 光と闇の力が衝突し、凄まじい衝撃波が発生した。
ソードグランダムMkⅡは機体各処のオリハルコンフレームからオーラパワーを噴かせて、強化型オーラソードの超高熱ビーム刃を増幅・強化した。
そして、暗黒魔力の抵抗を押し切り、ダーククリスタルを破壊した。闇色の霊晶石は、ライトグリーンの超高熱ビーム刃に焼かれて消失した。
その途端、闇色の装甲の各処にひび割れが生じ、邪竜炉戊はその場に崩れ落ちた。
「グウゥ……何という凄まじいオーラパワーだ。まさか、これほどのものとは……」
ダークバジリスクは闇色の霧に包まれて縮小し、炉戊モデルの姿に戻った。
暗黒魔力の霧が晴れると、暗黒魔法師ダクディスがその場に倒れ伏していた。
闇色のローブのあちこちがオーラパワーに焼かれて消失し、暗黒魔法師の体から、闇の命の源となる暗黒魔力がドドッと漏れ出している。
「やった~! 暗黒魔法師を倒したよ! これでエレメンタルランドは平和だね!」
勇者ワウディスは歓喜の叫び声を上げて、勝利を宣言した。ソードグランダムMkⅡが右手を突き上げて、力強いガッツポーズを取る。
同じ頃、聖騎士アーニーたちは、激戦の結果、三匹の魔獣モンスターを打ち倒し、巨漢邪鬼族の軍団も魔法炉戊軍団の活躍によって全滅していた。
闇のモンスター軍団は闇色の粒子の形で霧散して、戦場に漂っている。聖騎士アーニー、魔法師フォクセル、神官戦士スカードと王国騎士団の魔法炉戊軍団が王都を守り切ったのだ。
ただし、王国騎士団の魔法炉戊軍団も被害は大きく、半分以上のオーラ機士が融合魔法を解き、この戦場から撤退していた。




