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魔法炉戊サーガ ~怖がり勇者の邪竜討伐英雄伝~  作者: 夢明太郎
第四章 邪竜崇拝の暗黒魔法師の恐ろしき企み
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第二十二話 闇のモンスター軍団と魔法炉戊軍団の対決!(その1)

 〈精霊の夢〉劇場のコンサート会場は、魔法の幻影プロジェクターなどの装置や観客席の椅子の類が四散し、散々な状態となっていた。


 暗黒魔法師ダクディスが〈封印庫〉から脱出した後、コンサート会場を破壊して、暗黒魔法の巨大な魔法陣を敷いているのだ。


 吸収したブラックドラゴンの霊魂と完全に同化するための魔法陣である。


 さらに、この暗黒魔法陣には、エレメンタルランド中のオーラパワーを搾取し、暗黒魔力に変換して吸収する効果もあった。


 闇色のローブをまとう人影は巨大な円陣の中心に立っていた。どす黒い暗黒魔力が暗黒魔法師の周囲に噴き上がり、強烈な渦を巻いている。


 その勢いはどんどん膨れ上がっている。じきに、ダークドラゴン復活の時が訪れるだろう。


「さて、儀式の進行はまずまずといったところか。完全復活まで暇だからな。モンスター軍団と玩具ゴーレム軍団の戦いを見物するとするか」

 

 暗黒魔法師の目の前、魔法陣から少し離れた場所では、闇のモンスター軍団と王国騎士団の魔法炉戊軍団が激しい戦いを繰り広げていた。

 

 暗黒魔法師が召喚した闇の悪魔族のモンスター軍団である。巨漢豚鬼族デブリンオーク、巨漢犬鬼族ビッグコボルト、巨漢猿鬼族ギガントゴブリンらの邪鬼軍団。通常の邪鬼族より数倍大きい体高五メートル程度の巨漢邪鬼である。


 その巨漢邪鬼が全部で百匹近く現れ、それぞれの種族で軍団を構成していた。


 さらに、暗黒魔法師ダクディスは巨大な魔獣クラスのモンスターを三匹召喚していた。


 体長十メートルの巨大な三つ首の地獄の番犬ケルベロス。体高十メートルの巨大な一つ目巨人サイクロプス。体長十メートルの巨大な甲羅と毒針を持ったギガントスコーピオン。


 いずれも、暗黒魔力を帯びて凶暴化したモンスターたちである。モンスター軍団は、暗黒魔法師の命令で王都オーヴィタリアに襲いかかっていた。


 立ち向かうのは、聖騎士アーニー率いるサティライム王国騎士団である。


 騎士鎧タイプの魔法炉戊が整然と戦闘陣形を組み、モンスター軍団と戦っている。


 実は、オーラ機士には、量産型の魔法炉戊向けの資格も存在する。


 王国騎士団のエリートの聖騎士たちは、全員この量産型専用の資格を持っているのだ。


 彼らの魔法炉戊はキャリバーンと呼ばれる全高約七メートルの中型機で、純白の装甲の右肩や各部にそれぞれの紋章が刻印されている。


 騎士の剣ナイトソードと騎士の盾ナイトシールドを装備した標準的な戦闘スタイルの魔法炉戊である。


 騎士兜タイプの顔はゴーグル式の水晶眼で、聖騎士たちの使命感の光が灯っている。


 キャリバーン隊は、隊列を組み互いの力を補い合う集団戦闘を得意としており、聖騎士アーニーの号令の下、一糸乱れぬ挙動で、しっかりと陣形を組んで戦っている。


 量産型の魔法炉戊であっても十分な戦闘力を有しており、集団で戦闘陣形を組めば、普通は倒せないモンスターなど存在しない。


 暗黒魔法師がコンサート会場を破壊して暗黒魔法陣を敷いた後、精霊巨神の巫女ティラミスの指示を受けて王国騎士団の魔法炉戊軍団は出動した。 


 そして、王都の街並みへの侵攻を阻止するべく、戦っているのである。


「ダークドラゴンの復活など決して許してはならない! 皆の者、この戦いに王国騎士団の誇りと命を懸け、最後まで戦い抜くのだ!」


 聖騎士アーニーの搭乗するグランドクロスが剣先を天に向けて号令した。


 魔法炉戊と巨漢邪鬼のぶつかり合う重々しい打撃音が戦場を揺るがしている。


 キャリバーン隊はデブリンオークの巨大棍棒をナイトシールドで防ぎつつ、ナイトソードの切っ先で巨漢豚鬼の頭や胸の部分を斬り裂いていく。


 また、ビッグコボルトやギガントゴブリンとの戦いも同様である。


 防御に優れた騎士団標準機キャリバーンは、ナイトシールドで巨漢犬鬼の巨大鉄剣や巨漢猿鬼の巨大鉄球付きフレイルの一撃を防ぎつつ、ナイトソードで的確に反撃し、巨漢邪鬼の巨体を斬り裂き、あるいは、胸元を突いて貫き通している。


 集団戦闘では、巨漢邪鬼軍団より統制の取れている王国騎士団が有利だった。致命傷を受けて倒れた巨漢邪鬼は、黒い靄となって消失していく。


 暗黒魔法師が召喚した闇の幻像モンスターのため、命を失うと暗黒魔力の霧に戻るのだ。


 一進一退の攻防ではあるけれど、少しずつ魔法炉戊軍団が押していた。しかし、巨大な魔獣クラスの三匹のモンスターは強敵だった。


 地獄の番犬ケルベロスの爆炎の吐息が、一つ目巨人サイクロプスの巨大棍棒の一撃が、毒サソリ巨獣ギガントスコーピオンの巨大ハサミの剛力が騎士団標準機キャリバーンの魔法粘土製の装甲を次々と焼き焦がし、叩き割っていく。


 そこへ二機の特別製の魔法炉戊がこの戦場に参上した。魔法師フォクセルの操るルーンスマッシャーと神官戦士スカードの操るシールドフェンリルである。二人は愛機の魔法炉戊の最終調整をしており、参加が遅れたのだ。


「アーニー君、あの巨獣モンスターは三匹とも強敵だよ。巨漢邪鬼族はキャリバーン隊に任せて、ボクたち三人で立ち向かおう」


「それがいいでしょう。いずれも非常に狂暴な巨獣モンスターですが、我々の魔法炉戊であれば、倒せないことはないでしょう」


「フォクセル君、スカード君、助かったよ! では、よろしく頼む。暗黒魔法師はきっとワウディス君が駆けつけて戦ってくれる。ワウディス君の決戦のために、我々は暗黒魔法師を守る闇のモンスター軍団を全力で駆逐するんだ!」


「了解!」


「わかりました!」


 こうして、サティライム王国が誇る三人のオーラ機士は、各々の愛機の魔法炉戊を操って、暗黒魔力を帯びて凶暴化した三匹の巨獣モンスターに立ち向かっていったのだった。

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