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指名依頼

 出発の日がやってきた。

 ラウル達は、後方の補給部隊に配属されている。部隊長から早速指示を受ける。


「君が、アイテムボックスの魔法が使える冒険者ですね?」

「はい、ラウルです。よろしくお願いします。」

「うむ、補給物資はそこの荷車に積まれている。無理のない範囲でアイテムボックスに収納してくれればかまわないから。」

「はい。わかりました。」


 ラウルは早速荷車の所へ行き、収納していく。


「ちょっと待ってくれ、ラウル君。」

「はい?」

「もしかして、荷車ごと収納したのか?」

「はい。駄目だったでしょうか?」

「い・・・、いや、それならいいんだ。。」


 部隊長が何故か驚いている。

 不思議に思いながらも、仕事を続けるラウル。


「ちょっ・・・、ちょっと待って。ラウル君。。」

「はい?」

「荷車全部、アイテムボックスに入れるつもりなのか?」

「あれ、いけなかったでしょうか?」

「い、いや、駄目ではないが・・・、そんな容量のアイテムボックスは聞いたことがないぞ・・・。」


(あ、やっちまったかな・・・。普通のアイテムボックスの容量なんて、俺は知らないぞ。)


 部隊長から指摘されたときには、全冒険者の為の補給物資を全て収納してしまっていた。荷車で6台分であった。ラウルのインベントリの容量は限界がいまだにわかっていない。もしかしたら無限に収納できるかもしれない。


「収納できなかった荷車を、馬車に連結する予定になっていたのだが・・・。仕事がなくなってしまったな。」

「それじゃぁ、一台くらい出しますか?」

「いや、収納できたのなら問題ない。」

「はい。」


 しばらくして、冒険者が集まってきた。そろそろ村に向かって出発するのかもしれない。

 そして、全体を指揮しているのは、なんとガイルだった。ギルドマスターとしての仕事は大丈夫なのだろうか?


 最終確認をしているガイルがこちらに歩いてきて、補給部隊の隊長に指示を出す。


「おい、補給部隊は全然準備ができていないじゃないか。何かあったのか?」

「いえ、もう準備完了で、いつでも出発できますが?」

「はぁ? しかし、荷車がまったく準備できていないではないか。」

「ああ、それでしたら荷車ごと全部収納しましたから。」

「へ?」

「信じられないでしょうね。でも、確かに荷車は全部収納済みですから。いつでも出発可能です。」

「ラウル君、本当かね?」

「はい。確認のために出しますか?」

「いやいい。。」


 ガイルは狐につままれたような顔をして戻っていった。。


 (そんなにアイテムボックスって容量少ないのか?)


 いよいよ、最終確認が終わり、全員が馬車に乗り込み出発の時が来た。

 俺達は、後ろから2番目の馬車に乗り込んでいる。後方には、殿として冒険者の馬車がついてきていた。車列は長く、全部で8台も並んで進んでいく。冒険者が約30名ほど参加しているらしい。それにギルドの職員も数名参加しているようだ。その中にガイルも含まれる。


 補給部隊の仕事は、主に食料と野営のためのテントや魔道具を運ぶことだ。その全てはラウルのインベントリ内に収納されてしまっている。なので、今回は手ぶらである。村に着くと、野営の準備など始める必要があるが、ラウル達はそこまでする必要はないと言われていた。ラウル達は、あくまで荷物を運ぶだけが仕事である。

 村に着いても野営するのは、村の貴重な食料などを消費させないためである。ただ、ラウル達は村の宿屋に泊まる許可を得ていた。ラウル達は緊急討伐依頼とは別の任務として受けているので、一緒に野営する必要もないという訳だ。


 馬車の列は、半日ほど進み、ようやく村が見えてきた。村の手前で車列は停止した。ここで野営をするのだろう。ラウルは馬車が止まると同時に外に出て、収納していた荷車を全て外に出す。


「ご苦労様、後は俺達でやるから、ラウル君達は村で休んでて良いよ。明日、また出発前に収納に来てくれ。」

「わかりました。」


 ラウル達は軽く礼をして、村の宿へと向かう。


 部屋に入ると異次元の家へと繋がる入り口を開く。各自、自由にしていてもらう。女性ふたりを連れていたのに、借りた部屋はひと部屋だったので、宿の従業員からは妙な目で見られた。


「ちょっと、偵察にいってきます。」

「え、私も行きたい。」


 シルフィがひとり手を挙げた。ニーナは留守番すると顔に書いてある。


 ラウルは宿屋と繋がっている入り口を閉じると、また別の所につなぐ。

 場所は、ラウル達が行きがけに通った岩山だった。


「あれ、ゴブリンの集落に行くんじゃないの?」

「少し、お土産を拾っていこうと思う。」

「お土産?」


 ラウルは、その辺にある岩を収納していった。数十個収納すると、また異次元の家へと戻る。そしてまた入り口を閉じると、今度はゴブリンの集落の上空に空間を繋げた。


「うわぁ、高いー!」


 シルフィーが下の方を見て叫んでいる。遙か下の方に集落が見える。『サーチ』を実行すると、ゴブリン達が100匹ほど確かに確認できた。


「落ちないように気をつけてくださいよ。」

「うん。」

「ゴブリン達はまだ移動していないようです。」

「そう? ここからでは見えないわ。」


 そして、ラウルはさっき集めてきた岩を、目の前に出現させていく。インベントリから呼び出された大きな岩は、重力に引かれて集落へと落下していった。


 (ポイッポイッ)


 全部落とし終わると、入り口を閉じた。


 (これで、少しは数を減らすことができただろう。)

 

 そう思ったと同時に、頭の中でファンファーレが鳴り響く。

 どうやら、レベルが上がったようだ。


「ラウル、思ったんだけど。さっきのように岩を落としていれば、独りでもあの集落を壊滅させられたんじゃないの?」


 シルフィが呆れるように言った。


「いや、ただ岩を落としただけだよ。狙ったわけでもないし。偶然、ゴブリンに当たってくれればいいなって程度ですよ。」


 それでも、レベルが上がったので、いくらかは数を減らすことができたはずだ。ラウルはそれで十分だった。



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