表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/89

ステータスを確認しよう

 記憶を取り戻したラウルは、そのまま魔道具に手を乗せた。


 この魔道具は、現在のスキルを表示してくれるものらしい。手を乗せると魔法が発動したのを感じた。目の前には透明の四角いウインドウが表示されている。SFでよくある空間に立体的に表示されたディスプレイである。そこにはラウルのステータスが表示されている。


======================================

名前 ラウル

レベル 1

種族 人族

性別 男

年齢 8歳


HP 100/100

MP 15000/15000


力(STR) 8

すばやさ(AGI) 15

耐久力 (VIT) 8

知力(INT) 20

精神力(MND) 15


スキル インベントリ、鑑定

=======================================


 スキルに鑑定が追加されていた。おそらく神から授かったものだろう。

 MPの値が極端に高い。


 ラウルは個室からでると奴隷商人のところに戻った。


「戻ったか。どうだ? 何か特別なスキルはあったか?」

「はい、インベントリスキルの他に鑑定というスキルも持っていました。」

「ほう、それはなかなか便利なスキルだ。よかったな。」

「はい、ありがとうございます。」


 MPの数値はあえて隠した。8歳で15000もあるのは普通ではないと、ラウルは考えた。そもそも、この世界の平均値などもわからない。


 そして、奴隷商人は奴隷達を連れて店まで戻っていった。





 しばらく経ったある日、ラウルは奴隷商人に呼び出される。いつもの個室を出て、応接室に連れてこられる。ここは、いままでにも何度か来たことはある。客に商品として紹介される場合に使われる部屋だ。


 部屋に入ると、ラウルは商人のすぐ後ろで立たされる。目の前には、いかにも貴族と思われる高価なドレスを身にまとった婦人が座っていた。こちらを値踏みするようにジロジロと見られている。


「こちらが我が商会でお勧めの、インベントリスキル持ちの奴隷です。」

「スキル持ちなのですね。他にスキルは?」

「はい、鑑定も持っております。」

「ほう。。それだけ優秀なのに何故奴隷なんかに? 容姿も悪くない整った顔つきなのに。髪は綺麗な黒髪ですし、目も綺麗なブルーの瞳ですわね。」

「残念ながら、生まれてすぐに盗賊に襲われたらしく、物心ついたときには盗賊に奴隷として使われていたようです。冒険者に保護され、我が商会が引き取ったという経歴です。」


 ラウルの目前で、自身が売られる商談をしている。あまり気分の良いものではない。


「わかりました、我が屋敷で下男として購入したいと思いますわ。それで、身請けにはいかほど必要なのかしら?」

「はい。インベントリスキル、鑑定スキルと、非常に希少価値のあるスキル持ちですので、非常に高価になります。値段にして、5000万ゴールドです。それに加えて、待遇を貴族様の使用人として優遇する条件付きならお売りしましょう。」

「な!? 使用人ですって?」

「はい、この子は今まで非常に辛い人生を歩んできました。少しでも条件の良いところに送り出したいと存じます。このスキルであるならば、この値段でも安いと思いますが?」


 使用人と下男では、待遇がまったく違う。使用人は雇用主から正式に雇用契約が結ばれ、給料もきちんと支払われる。下男は下僕などとも呼ばれ、賃金が支払われることもあるが、基本的に扱いは酷いものである。


「ん・・・、確かにインベントリスキル持ちならば5千万、女性なら一億はくだらない。。しかし、使用人契約となると奴隷としては破格の待遇ではありませんか。」

「はい、この者にはそれだけの価値があると考えておりますので。」

「・・・わかりました。確かに鑑定スキルも持っているのでしたら、5000万は安いですわ。購入させていただきますわ。」

「ありがとうこざいます。」


 こうして俺は、貴族に売られた。


「ラウル、こちらに来て挨拶をしなさい。あたらしいご主人様ですよ。」

「はい、ラウルと申します。身請けしていただきありがとうございます。」

「ニルバーシュ伯爵領のイブですわ。あなたには使用人として働いてもらいます。これからしっかりと教育を受けて、伯爵の使用人として恥ずかしくないように努力なさい。」

「はい、ありがとうございます。」


 ラウルは頭を深く下げて感謝を伝えます。こうして、ラウルは伯爵家の使用人として働くことが決まった。


 その後、魔術契約で正式に所有者が伯爵夫人へと変更された。魔術契約はいかに貴族であろうと、違反すると少なくないペナルティーを受ける。それだけ高価な契約代金も必要になるが、奴隷商人からこれだけ親身になってくれていると思うと嬉しい。


 数日後、俺は伯爵夫人が用意した服に着替えて馬車に乗せられて屋敷へと向かった。奴隷商人は、馬車が見えなくなるまでずっと手を振ってくれていた。


(悪い奴ではないのに、何故奴隷商人などやっているのだろうか。)


 ラウルは小さくなっていく商人を見つめつつ、そのように思った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 1話とで奴隷商人の口調が違い過ぎて違和感を覚える。 1話のセリフは女性口調なので、世話係の先輩とか教会が出てくるからシスターのセリフにした方が自然な感じ。そもそも奴隷商人が「かわいそ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ