第4話 残ったもの
覚醒し始める意識の中、少女がまず感じたのは背中に感じる違和感だった。
いつも眠っているベッドとは柔らかさや弾力性が違う。彼女が使っているベッドはもっと柔らかくてふかふかなのだ。
続いて、体にかかっている布団の感触も違っていることに気づいた。
どこかのっぺりと薄くて、これまた彼女の使っているふかふかした布団とは比べようもない。
まぶたも開かずともすれば二度寝直行のぼーっとした頭に、閃くように疑問が浮かび上がった。
いったい自分はどこで寝ているんだろうか、と。普段ならそんな考えにいたるはずがないのだが、何かを忘れているような気がして妙に心がざわついた。
まだ睡眠をとらせろと文句を言ってくる脳を必死で起こして、忘れているものを必死で思い出しはじめた。
昨日1日を覚えている限り、順番に再生させていく。朝、昼、夕方、そして夜。
「――っ!」
背筋が凍るような悪寒とともに思い出した。悪夢ともいえる夜のことを。
いつまでたっても帰ってこない姉を待っていた夜、何の前触れもなしに現れた炎のお化け、焼け落ちていく我が家、這って逃げる自分。
知らず知らずのうちに歯がカチカチと鳴り始めて、背筋が寒くなってきていた。
怖い。ただとにかく怖かった。ここはどこなのか、姉も同じ目にあっているのか、そして何よりも自分は死んだのか、恐怖が後から後から湧いて出てくる。
だからだろう。普段は気づかないわずかな人の気配に気づき、彼女は大きな悲鳴を上げた。
第4話―― 残ったもの――
悲鳴を聞きつけて慌てて駆けつけてきた女性看護士が見たのは、ベッドで眠る少女の布団をかけなおそうとしたまま固まっている総司の姿だった。
布団を手に持っている総司と悲鳴を上げた少女。見ようによっては今からお楽しみに入るところにも見える。
5秒ほど、驚きに見開かれた総司の目と看護士の目が互いに見詰めあう。ちょっとした気まずい沈黙。
すぐに動いたのは看護士。どこか申し訳なさそうに、「邪魔してごめんね」とでもいいたげな表情で、そそくさと病室を出て行った。
ただドアを閉める瞬間、総司の目に一瞬見えた人差し指と中指の間から親指を出した握りこぶし。その意味は……。
総司の血の気が、音を立てて引いていった。今日から彼はこの病院内ではロリコンで通ることが確定してしまった。
「あは、あははは…、もうこの病院これねーなー」
力なく笑うとがっくりと肩を落とす。とりあえず、当初の目的は果たそうと持っていた掛け布団をかけなおそうと体を香苗に近づけた。
すると、びくっとその体を大きく振るわせた。その様子に総司の表情がやりきれなさに曇った。
起きたことは呼吸の変わり方で分かった。だが、まもなく震え始めたことで昨晩の出来事が香苗の心に傷をつけていたことに思い当たった。
せめて布団をかけなおしてやろうと動けば、今のような有様。異質なものに対する恐怖心を持たないがために、こういった時精神面を気遣えない。
ただ心配できないわけではない。心配することと認識が出来ないのだ。総司がアフターケアを自分の仕事じゃないと言い切る理由はここにある。
「ごめんなー、俺が行くのが遅かったせいで怖い思いさせてしまって…」
心底申し訳なさそうに言うと、不安をかけさせないように病室の外に出て行く。
ただし、いつ何があってもいいように注意は中に向け、体もすぐに動かせるようにひざを軽く曲げた状態にしてある。
まだ事件が続く可能性がある以上、気を許すことはできない。タバサの言い方からは昨夜片付けた2つの事件が丸まる関係しているような言い方であった。
だが総司にとっては納得がいかない。彼女たちが自分のように人ならざるモノと関係があるように思えないのだ。
とはいうもの結界の件があるため、否定しきれないのも事実だ。
「釈然としねぇな」
「何がですか?」
呟いた独り言。しかしそれに答える声があった。声のしたほうを振り向けば2リットルのペットボトルと紙コップを抱えた月夜の姿。
「んー、こっちのこと」
「そう…ですか?」
「それと、妹さんが目を覚ましたからいってあげな」
「ほ、ホントですか!」
「あぁ、早く行って安心させてやれ」
「は、はい!」
あわてて病室へと飛び込んでいく月夜を見て、総司の表情が幾分か和らいだ。そして、中から月夜のうれし泣きの声と香苗の戸惑いの声。
にぎやかになった病室の中を想像しながら、総司は思った。こういう光景が見れるから、自分は生きて戦う価値があると――。
「さて、俺はどうするかな?」
姉妹の間に割ってはいる気はなく、だからといってここから離れるわけにも行かない。言ってしまうと居場所が無いのだ。
だが、救いの手は意外なところから上がった。
「紫藤さん、ちょっと来てください」
声の主は月夜。総司はいくべきかどうか躊躇ったが、呼ばれているならということで病室の中へと入っていった。
病室に入るとベッドに上半身を起こした少女が、恥ずかしそうな申し訳なさそうな表情で総司を見つめていた。
そこで初めて、少女の容貌をはっきりと見た。腰まである長い黒髪とパッチリした瞳に薄い唇、鼻梁も整っており、どこか昔の姫君を思わせる顔立ちに総司は思わず見とれてしまう。
「ほら、香苗。ちゃんとお礼言わなきゃ」
「あ…、あの……助けてくださってありがとうございました」
おどおどしながらお礼を言う香苗。その口調、というかイントネーションに総司は若干違和感を感じた。
「あと…、さっきはごめんなさい。うち、ここがどこかわからんようなって、それで悲鳴まであげて…」
違和感の正体があっさりと分かった。月夜と香苗で話し方が異なっている。月夜は標準語で香苗のしゃべり方には関西か京都の訛りが残っているのだ。
「ほ、ほんまにごめんなさい!」
「あー、そんなにかしこまらなくていいから。むしろ俺のほうこそごめんな。怖い思いさせてしまって」
勢いよく頭を下げた香苗に近寄ると、総司はその頭に優しく手を置いた。
「はぇ…?」
香苗は頭におかれた手のひらに疑問符を浮かべ総司を見上げる。それに総司は笑みを返すと、ゆっくりと頭をなで始めた。
はじめは何をされてるのか分からずにポカーンとした表情だった香苗だが、頭をなでられてることに気づいた途端に顔が赤くなっていった。
だが、その顔の赤みも徐々に治まってきた。
「はぅーー…」
頭をなでられている気持ちよさなのか、香苗が目を細めて気の抜けた声を出した。総司のほうも香苗の髪の手触りが気持ちよくて、なかなかやめられない。
月夜も月夜で2人の光景をほほえましく見守っているだけだ。そんなほのぼの空間に、冷静な一声が飛んできた。
「なかなか彼女つくらんと思っていたら、ロリコンだったのか馬鹿息子」
声を聞いた瞬間に総司の動きが止まった。声の主は言うまでも無い。だが総司の本能は現実を認めようとはしなかった。
認めないから後ろも振り向かない、声も聞こえていない。とにかく徹底的に無視をする。気にしたときに勝敗は決する。
だからといって、無視し続けたところで負けであることは変わらない。
「ほう、母親にシカトこく気か? そんな風に育てた覚えはないんだけどねぇ。こりゃ躾が必要だな」
精神的な苦痛がより直接的な肉体への苦痛へと変わるだけだ。
タバサの腕がまるで大蛇のように総司の頭部へと絡みつく。左腕は左のこめかみを通すように前頭部にかけられ左脇に頭を抱えるような形になり、右腕は左腕としっかりと組まれる。
一瞬の衣服の擦れていく感触のあと、躾の名を冠した拷問が始まった。
「おうううぁぁぁぁぁっ!? 脳がッ、脳が痛いィィィィィィィィィィッ!!!???」
拷問名ヘッドロック。頭蓋骨にある関節を極め、脳を直接圧迫し激痛を与える関節技である。
さらに恐ろしいことにパイプ椅子を蹴倒して総司が悶絶しているのに彼の体が浮いている。
いったいどれだけの力が彼の頭蓋骨を締め上げているのかを考えると、何故死なないのかということ自体が不思議な気もする。
そして、お約束のようにびったんびったんとのた打ち回る。病室であるというのに、騒々しいこと極まりない。
「ギギギギギギ、ギブ! ギブアップです!! ほんと、すいません! すいませんでした、お母さまーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
絶叫を響かせながら、とにかく謝りたおすとようやくタバサはロックをはずしてくれた。されどその顔から不機嫌という3文字は消えてなくなってはいない。
ただ、それは総司に向けられているものではなかった。もっと別の何かに対して怒りを感じている。
「さて、総司を虐めて少しは気分晴れたし本題に行こうか。月夜ちゃん、香苗ちゃん、今から言うことショックだけど、気をしっかり持って聞いて。
馬鹿息子は今後の仕事の話でもあるから、2秒以内に意識しっかりさせて一言一句たりとも逃さずに聞きやがれ」
「仕事――」
タバサの言葉の中に混じっていたその1つの単語。それだけで、総司の意識が鋼のように研ぎ澄まされていく。
「昨晩の火事の現場検証、簡単にだけど終わったわ。結果は間違いなく放火。これは私の情報網からの結論だけど、誰彼かまわずじゃなくて確実にあなたたち2人を狙っての放火でもあるわ」
「ちょ、ちょっと待ってください。私たち、そんな事されるような覚えが…」
「確かにあなたたちには心当たりはないのかもしれない。だけど、残念なことにそうじゃないの。原因は桃井――いえ、上月兵衛とあなたたちどちらにもあるの」
「母さん、上月兵衛って、あの上月兵衛なのか?」
総司の問いかけに、タバサは無言で頷いた。総司の顔にほんのわずかな緊張が浮かぶ。総司のそんな雰囲気の変化を感じ取ったのか、タバサの声のトーンがわずかに落ちた。
「失礼承知で確認させてもらうわ、2人とも兵衛と血の繋がり無いわよね」
「「はい」」
確認のような一言。重なった返答は何かに怯えるように震えていた。返答を確認して、自分の考えが確定したのかタバサは話し始めた。
「今回の事件は、ある組織が兵衛にお気に入りの玩具を持っていかれたのがおおもとの原因。この玩具は月夜ちゃん、香苗ちゃんあなたたち2人のことよ。
兵衛は私たちの力を借りたりして存在を隠し、モノとして扱われていたあなたたちをちゃんとした人間として育てあげた。
だけど、とうとうその組織は兵衛のことを見つけ出してしまった。そして、彼が殺されたのが1週間前。恐らく、気づいてすぐに手を打ったんでしょうね。
あたしたちはヤツらの目論見を防げなかった。さらに、それから間もなくあなたたちが襲われた」
タバサの話は彼女たちにとってはじめて聞く自分たちの生い立ちの話も含んでいた。話を聞いている2人の少女の顔色はまさに蒼白そのものだった。
そんな彼女たちの様子を気にかけながらも、仕事を行う人間として総司は1つ尋ねた。
「で、連中が2人を殺そうとする理由がわからないんだが? 普通、盗られたなら奪い返すもんだろ」
「彼女たちの身体の秘密を気づかれたくないからよ」
「秘密?」
「私のほうでも詳しくは分かってない。ただ兵衛の残してくれたレポートから見るに総司、あんたの進化・改良型みたいなものだと思えばいいわ」
瞬間、病室内の空気がまるで押し付けるような圧力を帯びた。自分の進化・改良型、それが意味するものは彼にとって地獄でしかない。
ついさっきまで明るく照らしていた太陽が雲に隠れ、病室のなかに薄暗い影が落ちる。
「なぁ、母さん。その組織は、ヤツらなんだな」
「えぇ、そうよ」
「兵衛さんはこの2人も、俺みたいに助けだしていたんだな」
「えぇ、あのお人好しらしくね」
タバサと総司、この場ではこの2人だけに分かる会話。月夜と香苗にはよく意味は分からない。唯一理解できたのは、自分たちの出自と総司に少なからず縁があることだけ。
総司は気を静めるように、空いているパイプ椅子に腰掛けるとタバサの目をまっすぐに見た。
「仕事は彼女たちの護衛でいいのか?」
「えぇ、そんな感じね」
「そんな感じ?」
「正確には護衛じゃないの。簡単に言うと家族になれって事なのよ、この美少女2人と」
「……は?」
緊迫した空気が一気に緩んだ。タバサは護衛ではなく、家族になれといった。年頃の男性と女性が家族になる、それはつまり…。
「え、え、え、あああああああの、わた、私がしど、紫藤さんと結婚するって事ですかーーーーーーーーーーーーーーーー!!?」
「え、あー、いや、そんな意味じゃなくてね」
「あ、あの…、もしかして私ですか」
「いや、香苗ちゃんでもないから」
お約束のような勘違いをされたタバサが、疲れたような笑みを浮かべた。ちなみに、総司も同様の勘違いをしていたらしくショックで固まっている。
こいつもかと呆れた表情で総司を見た後、タバサは話を続けた。
「あー若者諸君、家族になれって言ってもそういう意味じゃなくてね、文字通り家族になれってことなのよ」
「え、あ、え?」
「別に、姓を変えたりしろってはいわないわ。月夜ちゃん、香苗ちゃん、2人ともうちの子になってみない? というかむしろなりなさい。
あなたたち2人の後見人兼保護者として、私が兵衛から遺言もらっちゃってるのよ。なんか、こういうの守ってあげないとなんか後味悪いでしょ?」
そう言って、優しい笑顔を桃井姉妹へと向けた。しかし、2人はその提案を受け入れていいものかどうか困っていた。
組織が狙っているのは月夜と香苗であって、総司とタバサではないのだ。総司とタバサが父親と繋がりがあるといっても、今回の件は彼らに関係はない。
ここで提案を受け入れてしまえば、関係のない2人を巻き込むことになってしまうのだ。自分たちのせいで誰かが傷ついてしまう、そんなことは考えたくない。
いや、もう父親が自分たちのせいで命を落としている。すでに自分たちのせいで犠牲者がでてしまっている。
これ以上、犠牲者を出さないための手段はただ1つ。それを決心した月夜は、これからの生活の恐怖を押し殺しながら、まっすぐにタバサを見た。
「そのお話は――」
「なかった事に、ってのは無しだ」
月夜の答えをいつの間にか立ち直った総司の声が遮った。月夜の表情で何を言おうとしていたのかは予想していたのだろう。その表情はどこか苛立っている。
ただそれが組織に対してなのか、善意を断ろうとした月夜に対してなのかは分からない。
「大方、自分のせいで誰かを傷つけてしまうなんて考えているんだろうが、それは間違いだ。誰かが傷つくのは君のせいじゃない。ヤツらのせいだ。
君がその責任を感じる必要はないし、まして生きていくことをあきらめようと考える必要もない。それこそ、兵衛さんは望まないことだ」
総司の言葉を月夜は俯いて聞いていた。図星だった。赤の他人ではないものの、親戚を頼ることは結局迷惑をかけることになる。
もしかしたら誰か他人と関係を作ることそのものが巻き込まれる可能性に繋がると考えていた。ならば、それこそ2人だけで暮らしていけばいいと考えていた。
それどころか、自分たちが死んでしまえば問題はないのではないかとまで思ってしまった。その考えをまるで見透かしたように総司は言い当てたのだ。
本質を付いた言葉と苛立った声、まるで親か教師に怒られているようで月夜は顔を上げることができなかった。
その様子を見て、総司は口調を緩める。
「どうしても自分のせいだって思うんだったら、罰を受けてウチに来るんだって思えば良いさ」
「罰ってどういうことなんです?」
ベッドの上で可愛く首をかしげて疑問を投げかける香苗に、タバサはどこかエロい笑みを浮かべてその理由を教えてあげた。
「ん~~と、要はね2人とも罰としてぇ、ウチの馬鹿息子の慰み者になりなさいってこと。これなら罰を受けてるって気になるし、ウチにくる理由になるわね。
さっすが、わが息子。外道で策士で無駄にエロいわね~~~~~♪」
タバサの言葉で場が凍りついた。その瞬間、総司は世界がモノクロになったような錯覚を受けた。なんというか、実に不吉な沈黙が病室に流れている。2秒、3秒とその沈黙が続いていく。
最初に停止状態から復活したのは香苗と月夜だった。ギギッとさび付いた音を出しそうな感じに首を動かして、総司へと視線を向ける。
その視線はまるで、汚物を見るかのような蔑んだ視線だった。
「え、ちょっと待って。俺はそんな意味でいったわけじゃあ――」
「も~~っ、隠さなくても良いじゃない。部屋の書棚の上から3番目、左から13番目やベッド下の隠し棚に女子高生モノとロリな感じのエロ本隠してるじゃないの♪
お母さんちゃんと知ってるんだぞ♪」
慌てて弁明を図ろうとするが、まるで20代のようなノリのタバサの言葉がそれを邪魔した。そしてその内容に月夜と香苗の視線の温度がさらに急降下した。
「ちょっと、それは誤解。誤解だから! 女子高生モノの、ましてやロリ系なエロ本なんて持ってないから!! それにそういうつもりで言ったわけじゃないから!!」
必死の弁明。しかし、少女たちの軽蔑の視線はまったく変わらない。それでも総司は諦めずに無実を訴える。
諦めが人(としての社会的地位)を殺す――正にそんな修羅場だった。そこに、はじけたような笑い声が響いた。
「あはははははっははははははははは。あー面白ーーーーーーーーーーーッ」
「「た、タバサさん?」」
突然大爆笑を始めたタバサに少女たちが思わず声をそろえた。
「あははは、ごめんごめん。なんか重っ苦しい雰囲気になっちゃったからちょっとからかったのよ♪」
「「え?」」
少女2人はきょとんとした表情で声をあげた。
「いやぁ、とりあえず口からでまかせ言えば面白いことになるかなーって思ったらここまで面白くなるとは」
「ということは、紫藤さんのその…えっちな本のことは――」
「えぇ、嘘よ」
悪びれた雰囲気はまったくなく、さらっと真実を言った。
この時、総司がちょっとばかり母親に対して殺意を覚えたりもしたが、誤解を解いてくれたことに対しては一応感謝した――1分も絶たずにそのことを後悔するとも知らずに――。
こんな総司の胸中を知ってかしらずか、タバサは更なる爆弾を落とした。
「だって総司はメイドさん好きだもの♪」
今度は少女たちが固まるよりも早く、総司の動きが止まった。壊れた玩具のように鈍い動きでタバサをみると素敵に邪悪な笑みを返してきた。
総司の顔色が真っ青になる。冷汗が滝のように流れ、強烈なめまいを感じる。
タバサの唇が動く。その動きでつむがれる言葉は、彼にとって非常にまずい。どうにか止めようと動こうとするが、
「魔術書の棚の4段目1番右端、机の中の魔道書の『ソロモンの小鍵』の写しの下、戸棚の隠し棚のなか。見つけたエロ本全部メイドものだったわ。
しかも、清純でエロスを感じさせるものが殆どというところがさすがね」
当然のごとく間に合わなかった。2人の少女の視線が突き刺さるかのように総司に向かう。先ほどの倍以上の冷や汗が総司の背を伝っていく。
もういい具合に青色吐息な総司に軽蔑の視線を投げかけながら、少女たちはとどめの一言を放った。
「「紫藤さん、さいてーーー」」
この言葉を聞いて総司はがっくりと肩を落とすと、そのままぐったりとしてしまった。
励ますつもりが性癖をばらされ、さらに好感度も急降下。こんな状態で一緒に住めるのか不安を感じる総司であった。
余談ではあるが、この後件のエロ本を捨てようとしたが、やはり捨てるに捨てれず場所を変えるに留まったという。
その日のうちにタバサに見つけられて、またばらされるのであるが…。




