プロローグ2
男が管理室に向かって行くと、彼は電波暗室の群れを見渡す。
電波暗室の透明な隔壁に彼の姿が映る。
伸びた黒髪に艶はない。
少し荒れた顔に、血走った眼球が埋まり、瞼が大部分を覆っている。
肩は狭く、服越しからでも筋肉がないことがわかる。
なんども脚をずらして重心を移している。
彼が溜息をついて隔壁から目をそらすと、男があくびをしながら戻ってくる。
「学者さんの条件に該当する個体が247体確認できまさあ。
どれにするんで?」
「一番近くの部屋にいるのはどれだ?」
男がタブレットからファイルを確認する。
「おお丁度いいや、学者さんが今立っているそのに部屋にいまさあ。
そこの左でヘタってるやつだ」
「ならそれだ」
「女じゃなくていいんで?」
「構わない、さっさと運び出せ」
「はあ」
男はやけに深い溜息をつく。
ポケットから小さな注射器を取り出しつつ、電波暗室の扉を開ける
「うぐっああっぁぁぁっっぁっぁああああっぁぁっああああぁぁっぁあああぁぁああ!!」
「ひあはははははははっはははははっっっっはっっはあはっはっっっはっははああああ!!!」
「うっ、くっ、あがぁあああああああぁっぁっぁあああああぁっぁぁっぁぁあああああぁ!!!!」
扉が開かれた瞬間、今まで身動きもしなかった子供たちが、
頭を抱え、身をよじって絶叫をあげる。
「なんだこれは!」
彼は子供たちの絶叫に耳を塞ぎながら叫ぶ。
「言ったはずでさぁ!こいつらは情報受容体関門不全の餓鬼どもだ!
ネットに繋がった瞬間凄まじい拒否反応を起こす!
くそっ!学者さん、さっさとお目当てのやつを引っ張り出すんでさぁ!」
負けじと男が叫び返す。
彼は電波暗室の中に入ると、部屋の左で唾液を垂らして捻れ回っている少年の腕を掴み、
外に引きずり出す。
瞬間、男が電波暗室の扉を閉める。
「あああああっ、あああああああぁっっぁあっぁっぁあああああっぁっぁあっぁぁぁ!!」
少年は腕を振り回し、脚で床を蹴る。
「押さえていてくだせえ!」
彼が猛烈に抵抗する少年を押さえつけていると、男が少年の首筋に注射を当て薬品を注入する。
少年は大人しくなり、首をがくんと垂らす。
むっちゃ間が空きましたすいません。
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