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あなたと

作者: 本上町子
掲載日:2016/10/09




幼稚園の頃好きだった人はいますか?

小学生の頃好きだった人はいますか?

中学生の頃好きだった人はいますか?


そんな人がある日、あなたの目の前に現れたらどうしますか?


そんな人がある日、目の前に現れた私のお話です。



私は結婚して12年。子供はいないが可愛いビーグル犬シーラを飼っている。

シーラを毎朝、散歩に連れ出すのが私の仕事だ。


その日は、街の公園にシーラと出掛けた。

ビーグル犬は人と犬が大好きだ。

おかげで、公園中の犬と人に挨拶していきそうなシーラの興奮を抑えつつ一散歩する。

そんな私たちに小さな女の子がシーラを触りにやって来た。

もちろん、シーラは大歓迎。

尻尾をピンと立てて嬉しそうに頭を撫でられている。

女の子がシーラについて聞いて来たので、名前やキュウリが好きなことを

教えてあげたらびっくりしていた。

ま、なかなかいない気がする。キュウリ好きな犬。


そんな私たちのやり取りを見ていた1人の男性が話しかけて来た。

「相変わらず、変わらないなぁ〜、覚えてる?僕のこと」と、、、

顔を見ても、どうにもわからない。一生懸命思い出そうにも、全く見当がつかない。

困っていると相手から助け舟を出してくれた。

「小学生の時同じクラスだった大谷だよ」

私は驚きのあまり声が出なかった。

だって、大谷くんは野球大好き少年で色黒で身体も細かった。

そんな大谷くんが大好きだったのだ。

でも、目の前の大谷くんは私の小学生の時のイメージ大谷くんを大きく覆していたのだ。

思い返せば、私たちはもう38歳。

これだけ会わなければ、わからないのも当然だ。

久しぶりの偶然の出会いに少しだけ話に花を咲かせ、シーラに急かされその場を去った。


そんな偶然の出会いから、数日後の土曜日の朝。

私は旦那と朝食の準備をしていた。

その日はとても気持ちがいい日で、どこか海にでもシーラを連れてドライブに行きたいなと

考えていたのだ。

そんな時に玄関のチャイムが鳴った。

開けてみると、おばさんと娘さんらしき人、その後ろに大谷くんが立っていた。

私がどうしたのか聞こうと話しかけようとした瞬間に大谷くんのお母さんと思しき人物が話しかけて来た。

「本当に朝早くからごめんなさいね。非常識だとはわかっているんだけど、息子が何年も彼女も作らず結婚もしない。どうしてか聞いたら、ずーっとあなたのこと好きだって言うじゃない。だからね、ちょっとお話に来たのよ。お邪魔しますね」

旦那もシーラも私も、大谷くんのお母さんのペースに乗せられてしまった。

しかも、大谷くんのお母さんはサラッと私に大谷くんの告白までしてきた。

とりあえず、心を落ち着かせようとお茶を淹れてみるがそんな抵抗むなしく心は静まらない。大谷くんが私のことを好きだった?いつから?ずーっと?そんな疑問渦巻きながら席に着く。

そこで話し始めたのは、大谷くんの妹さんだった。

自分の兄がどれだけ私を思って来たか、たくさんのエピソードを教えてくれたのである。

長いこと同窓会の時の私の写真を小さく持っていて、見せてくれたりもした。

「でね、今は兄がフランスに住んでいてもうすぐ帰国してしまうから咲さんが一緒に行ってくれたら私たちは嬉しいんです」

そんな急な誘いに驚いて、思わず隣にいる旦那を見た。

旦那は、私を真っ直ぐと見つめて


「咲きが行きたいなのならいいよ」


ああ、そうだ。旦那はこういう人なのだ。

自分が人を拘束する権利などないという人なのだ。

結婚した当初は、それが寂しかった。

私が実家に帰ると怒っても、「咲きが帰りたいなら」と止めなかった。

でも、今ならわかる。これが究極の優しさなのだと。

いつも私のすることを優しい眼差しで見守っていてくれる。

私は、この大きな優しい暖かい手を一生離してはいけないのだ。


だからは、私はあなたと、、、





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