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あの夏  作者: \(^o^)/
1年目~春季大会~
14/14

VS 清明学園

ベスト32入りを果たした野田。

次に当たるのは強豪の清明学園。


清明学園は言わずと知れた強豪で県内最多の部員140名を誇る。

春季大会は一部制約があるが大会中もベンチ入りを入れ替えることが出来るので主力選手を温存している。

主力を温存しながらも2回戦、3回戦と力の差を見せつけコールド勝ち。


大田にとっては苦い思い出となった因縁の相手。


清明学園にとってはただの石ころ以下の存在。

・・・だと思っている部員が大半だった。


一番怖い相手は野田という部員もいた。その部員は3年主将と2年エース。

しかし部員たちはそれを聞き入れることなく試合へ。



野田高校から数時間バスで行った今大会のメイン会場である大山総合球場で試合が行われる・・・。


早朝から野球部員の家をバスが回って球場へ。

一番遠い誠也が4時30分にバスに乗りその次に那奈・魁人が野田高校正門前から6時にバスに乗車。

そこでは、校内で合宿を行っていた演劇部が「野球部頑張って!野田の希望!」というプラカードを部員数人が掲げて見送ってくれた。

7時に直哉の家の近くに到着。ここでいったん休憩して発車。このときに直哉の同級生の千駄谷・戸田・五十嵐・大北・北がバスに乗り込み応援へ駆けつけてくれた。

8時に野田駅から列車で1時間程度の駅に高校から離れたところに住んでいる健人以外の部員を乗せ発車。

道中でスコアラーとして千葉にも乗ってもらった。

直哉以外の部員は直哉の同級生5人組がバスに乗りこむことをしらなかった模様でそわそわしながら会場へ。

渋滞に巻き込まれ会場に着いたのは9時40分のことだった。

ここで先に現地入りしていた健人と合流し球場入り。


3回戦から中3日。大型連休に入りこれまでより疲労が取れていない状態での強豪との試合。果たしてどうなるのか・・・。


野田から離れた球場であることから高校の生徒はほとんど応援に来なかったが、二十数年前の野球部OBやたまたま近くで県内選抜合宿を行っていた吹奏楽部の部員が応援に駆けつけてくれた。

また、健人の中学の同級生も何人か応援に来てくれたようで、野田高校からは離れているのにかなりの数の応援が駆けつけてくれたようだ。


この試合からテレビ放映されるが、いきなり強豪と新鋭の対決ということもあり、視聴率は例年の0.3~0.5%を大きく超え試合開始前には5%になっていた。


<今から春季大会4回戦、清明学園対野田の試合を始めます!礼!>

<<<おねがいします!!>>>

野田がシートノックを終え、10時40分、予定から10分遅れ試合は始まった・・・。


先攻は野田。1番はやはり健人。

清明学園の先発は背番号46番の2年生石原。

背番号46とはいえ強豪校の選手。120㎞後半のストレートと速さが変わらないのに落差が激しいフォークで抑えに来るピッチングが特徴。


初球甘く入ったストレートをジャストミートでレフト前へ。


2番は意外性を買って秀一。

清明学園はこの試合も主力をほぼ温存していたが、キャッチャーに関しては主将の河合がマスクを被っている。


秀一「まさか打席で再会できるとは思ってなかったですよ。」

河合「ほんとに俺もそう思う、今日も俺は全力で勝ちに行くから覚悟してほしい。」

秀一「当たり前じゃないですか、こちらも最善は尽くしますよ。」

主審「君たち、話はやめなさい。」


プレイ!


球場はざわめきに包まれた。

いきなり河合が敬遠の指示を出したからだ。

石原は不服に思ったのか投げるのをためらう。

そしてセットポジションから投げると思いきやワインドアップ。

健人はスタートしない。

舐めるなよ!!と言わんばかりに投げたストレートと見せかけての落差の激しいフォークはミットに吸い込まれると思いきや・・・


カーン!!


痛快な打球音を残しセンター前へ。

健人が俊足を生かし一気に3塁を陥れる。


ノーアウト1塁3塁。


球場はざわめきに包まれた。

フォークの球速が自己最速130㎞だったが、それよりも観客席から見てもわかる落差のフォークをセンターに運ばれたことにたいしてのざわめきだ。


ここで河合が石原のもとへ。

石原「すいません、河合さんまさかあのフォークを打たれるなんて・・・。」

河合「起こってしまったのは仕方ない。大田は見た目からは想像できないくらいに力を持っているからな、あの多田のボールを当てたってことを言い忘れてた俺の原因だ、すまない。」

石原「まさか!!多田のボールを・・・?というか大田って人と対決したんですか?確か野田って・・・」

河合「去年の夏の1回戦だ。」

石原「そうなんですか、まあ大丈夫ですよね。まぐれですしここからはキチッと抑えますよ!」

河合「油断は禁物だぞ・・・。」


3番は直哉。女子5人組の声援にも力が入る。


石原「なんで打たれたか・・・力でゴリ押しすればこのレベルの相手なんか・・・!」

河合「これはやばい。」

崩れた石原は5球でフォアボールを与えノーアウトランナー満塁。


4番はなんと那奈。これまでの3戦の成績は芳しくないように見えるが、奇想天外な戦略を繰り出すため上位へ。


石原「なんだコイツ。ヒョロすぎだろ、安パイ。」

河合「こいつは抑えれるな。しかしなぜ4番・・・?3回戦は9番だったのに・・・。」


田辺「上野沢ならやってくれる、そんな気がしますね。」

千葉「何言ってるんですか、那奈くんは足だけが取り柄で打撃なんか・・・」

田辺「それはそうなんですが、彼は誰にも考えが読めないんでね・・・」



那奈はバントの構えをちらつかせながら

初球

<<ランナー走った!>>

河合「予想通り!」

石原「初球からフォークって思わないよなあ・・・!」

カーン

石原「え?」

河合「は?」

野田ベンチ「え?」

ランナー「え?スクイズじゃないの?」


清明ベンチ「え?」


那奈はスクイズと見せかけて叩きつけた!

音はしたがボールが見当たらない。その間に呆然としながらランナーが続々とホームイン。


河合「あれ?穴が開いている・・・?ファースト!」

ファースト「あっボールあった!!4つ!!」

河合「任せろ!!って走ってこないのか・・・。」



状況説明

打ったボールが地面にめり込み土に被さって見えなくなりその間にランナーが帰還。那奈は3塁ストップ。


「「「うわああああああああああああああ!!」」」

悲鳴にも聞こえるし歓喜にも聞こえるようなどよめきが球場を包んだ。

打ち合わせも何もしていない吹奏楽部がいきなり得点テーマを吹き出したが見事だった。

OBもそれに負けず大声で得点を祝った。


スコアボードにはいきなり3が刻まれた。


石原「うわあああああああああ!!!!」

ショックからかボールが入らず5番6番7番と連続四球で押し出し。4-0。


河合「嘘だろ・・・、上野沢・・・。」

河合すら動揺に包まれその後も押し出し2連続で6-0。打者一巡してノーアウト満塁で健人へ。


健人「河合さん。嫌味に聞こえると思いますが聞いてください。那奈・・・じゃなくて上野沢は本当に何をしでかすか自分たちでもわからないんです。さっきだってスクイズでした。あれで動揺していたら恐らくこの回終わりませんよ。那奈のあれはまぐれです。そう思ってください。」


河合「上野沢は策士、まぐれ、まぐれ...。」

河合「審判!タイムお願いします!」


球審「タイム!早めにしてくれよ~」


河合「外野も集合!!」

清明学園の伝令が始まった。


河合「さっきの上野沢はまぐれ。北岡だってそう言ってた。あいつが言うなら間違いないよな?同級生だったらわかるだろ上野」

上野(伝令)「そうですね、北岡は嘘つきませんから。次は北岡ですが、弱点は内角。以外にもカーブが苦手です。石原さんが練習しているカーブなら十分抑えれると思いますよ。」

河合「なぜカーブを知って・・・。まあいい。カーブで三重殺(トリプルプレー)狙うぞ。石原再び持ち直すぞ!」

「「「おっしゃあ!!!行くぞ!!!」」」


これまでで一番の雄たけびを挙げた清明ナイン。その後カーブで健人を引っ掛けトリプルプレーはならなかったものの、ダブルプレーでツーアウトランナー1塁。その間に1人帰り7-0。


石原「まだまだ!これから!!」


立ち直った石原の前に秀一は手が出ず1回表が終わった。

野田のスタンドは一気に沸いたがベンチは・・・


上野沢「まずい、覚醒。」

健人「え?」

魁人「気にするな、行くぞ」


那奈の不穏な一言で落ち着いた。


1回裏。先発は秀一。

今日は内野7人シフトではなくファースト・二遊間・ピッチャー・キャッチャー以外を外野にした外野5人シフトで挑む。

1番、2番を三振に70㎞台のストレートで打ち取る。目が慣れていないようだ。

3番は河合。

河合「遅いが練習していればただの棒球。」

初球、リリースされた瞬間にグッと力を入れ腰を回し一気にスイング。


カッキィィィィィン!!


バックスクリーンを遥かに超える場外弾。7-1。

秀一「さすが河合さん。」


その後セフティーで出塁した4番が暴走ともいえる盗塁を決めツーアウト3塁。

ここでパスボールで7-2。

5番は三振に抑え7-2で1回を終える。


「清明学園高校、ピッチャーの交代をお知らせします。ピッチャー、石原君に代わりまして多田君。ピッチャー多田君。」


石原「多田・・・ベンチ入りしてたのか・・・頼むぞ・・・。」

一人ベンチ裏で給水をしていた石原が呟いた。


その他、数人が守備の変更を行った。


2回表。誰も予想していなかった清明エースの多田がお出ましだ。

多田「まさか本当に登板することになるとはね。河合っちさすがっす。」

河合「っちはいらない。とにかくここから抑えていくぞ。」

いきなり140km後半のストレートを放り込まれ3者連続三振。


2回裏。遅い球にタイミングが合わず3者連続三振。


3回表、ふたたびストレートの嵐で9球でイニングを終わらせてしまう。


3回裏。この回先頭はリリーフの多田。

打撃も一級品でいきなり大田のストレートをスタンドへ。7-3。


多田「おっそいな~こりゃ、対策しないとうてねーわ」


その後3番河合に再びスタンドへ放りこまれ7-4で3回を終える。


4回表。9番の弘からの攻撃。

弘「当たれ・・・!」

多田「セフティー・・・!?」


初球虚を突いたセフティーバントは成功しランナーが出る。


そして1番の健人へ。

河合「さすがに多田は無理だろう。どうする?」

健人「この後大田さんですし、無理はしませんよ。」


今日最速の150㎞をバントで当てるがこれはフライ。1アウト1塁で秀一へ。

多田「大田ァ・・・!今度こそは当たらないぞ・・・!」

秀一「望むところです!」


1球目

高めに逸れたボールは多田自己最速の159km。球場がざわめきに包まれた。

2球目

タイミングを外す目的で今日初めてストレートではないボールを投げた。

140kmのカーブ。これは秀一でさえ予想できずタイミングがずれた。

3球目

再びカーブ。見送るがストライク。

秀一「次、来ますね。」

河合「なっ!」

4球目

多田渾身のストレートは出鱈目に振った大田のバットに吸い込まれる。

秀一「いたっ!」

電光掲示には161kmと表示されている。

打球はぐんぐん伸びてスタンドへ。9-4。貴重な追加点。


河合「大丈夫か・・・?」

多田「流石だなァ!よくわからんが引き締めていくぞ!」

その後ギアをあげた多田の前に直哉、那奈と三振に倒れ4回裏へ。


田辺「大田君、投げれますか?」

秀一「きついです。手の感覚がない・・・。」

田辺「そうですか・・・。ピッチャーは北岡君で大田君にはライトに回ってもらいますね。」

健人「はい!!」

秀一「わかりました・・・!健人ごめんな・・・。」


「野田高校守備位置の交代をお知らせします。ピッチャーの大田君がライト、ライトの上野沢君がレフト、レフトの木本君がセンター、センターの北岡君がピッチャー、以上に代わります。」


健人が70㎞台のストレートに目が慣れてきた3人を抑えて4回終了。


異様な空気に包まれる中五回へ。

5番正平はフォアボール。


多田「あれ?制球が・・・。」


しかしその後は三者三振に抑え5回裏へ。


田辺「大田くん、守備いけますか?」

秀一「大丈夫です。ただいつまで感覚があるかですが・・・。」

田辺「わかりました。無理は禁物です・・・。」


守備へ・・・。


ベンチでは・・・。

千葉「大田先輩大丈夫なんでしょうか?」

田辺「大丈夫ではないと思いますが・・・。9人ですからね・・・。どうすれば。」


医務室の医者「すいません田辺先生こちらへ。」


ベンチ裏にて

田辺「どうされましたか、やはり大田くんの症状は・・・。」

医者「かなり悪いです。一応先ほども冷やしましたが炎症は収まらないです。最悪折れているかもしれない。悪いことは言わないから今すぐ下げたほうがいい、というのが医者としての判断ですが9人しかいない・・・。おそらくライトへボールが飛んでいった時に塁審に指摘されるか、次の打席で球審に指摘されるかのどちらかでいずれにしろ棄権になってしまうとは思いますが・・・。」

田辺「それでも自分では決めれません。大田君には話しているんですよね?彼に任せます。」

医者「わかりました。こちらとしても最善の努力は尽くします。」


5回裏の攻撃。

8番に代打が出されセンター前にボールを運ばれる。

9番多田が綺麗にバックスクリーンへ2ラン。9-6。

元々、130㎞台を想定して打撃練習をしている清明学園相手に120~130㎞の健人の球は絶好球でぽんぽん打たれ、河合の3ランで9-9。


その後も目も当てられないような打ち込まれ具合でノーアウトで5点差をひっくりかえされさらには6点差をつけられる。

その後かろうじて1番バッターを抑えるも、次のバッターをフォアボールで歩かせ、河合に痛烈なスリーベースを浴び9-16。


千葉「どうして・・・。」

田辺「恐らく清明の人たちにとって130㎞のほうが打ちやすかった。それだけの話。そして速いだけで球威がないのが彼のボールと上野沢君が言ってました。」


その後4番、5番連続ヒットで6番が犠牲フライで9-17。

健人「やっぱり無理か・・・。。でもここで踏ん張らないと。」

正平「タイムお願いします!集合!」

キャッチャーの正平が野田ナインをマウンドへ。

痛みに苦しんでる秀一も辛うじてマウンドへ。

正平「おそらくこの回で一気に押し込まれてコールド負けでしょう。しかし、あの清明に9点を入れた。それは素晴らしいと思う。だから健人と秀一さんは気負うことなく楽に守ってください。

秀一さんは本当につらいと思いますが駄目そうだったら外野の周りの人が自分たちの判断で棄権を申し出てください。

皆、ここまでいい試合ができることはないと思う。最後まで全力を尽くすぞ!」

「「「おー!!!」」」


そして守備へ戻る。

7番、8番とフォアボールで9番多田。

多田「北岡か・・・。速いが球威がない。130㎞台で終わるピッチャーではないが・・・。」

1球目。

抜けたボールはど真ん中へ。しかし多田のスイングのタイミングはずれふらふらと上がったボールはライトへ。


秀一「絶対・・・捕ります・・・!」


ポスッ


イージーフライを落球。その間にセカンドランナーは三塁ベースを踏みホームへ。

カバーに入った直哉がファーストランナーのホーム生還を阻止。

9-18。


しかしここで・・・


>>タイム!!<<


塁審がタイムをかけた。


塁審「ちょっと君。グローブ外してもらえるかな?」

秀一「嫌です。」

塁審「どうしてかな?まさか怪我でもしているのか?」

秀一「・・・。」

塁審「ほら力が入っていない。グローブ外させてもらうよ・・・。」

そして塁審は秀一のグローブを外した。

塁審「君の気持ちは痛いくらいにわかる。俺も高校生の時部員がギリギリだった年に怪我をした。でも無理に出場して大怪我を負ってしまった・・・。おかげで今は審判。申し訳ないけどこれ以上試合に出場させることはできない。」


ざわざわ・・・

スタンドがざわめくなか審判が集まり球審がアナウンスへ・・・。


球審「野田高校ライトの大田君に続行不可の怪我が見られたため、控え選手のいない野田高校は没収試合とし、9-0で清明学園高校の勝ちとします。」


秀一は力が入らなかった。周りが支えて礼。


<<ありがとうございました!!>>



その後清明学園は春季大会優勝を果たした。

秀一は全治2か月の手の骨折と疲労からか脱水症状も起こしており数日入院することになった。


学校に戻り一部生徒から野次が飛んだものの、野田ナインを称賛する声で包まれた。

最後に炎上した健人も炎上したことがなかったかのように地域住民、生徒から賞賛を受けた。

うーん無理やり()

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