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第02話 装備確認

 こっ……怖かった……。

 

 だんだんとなぶり殺しのように感覚が消えていく様は、有り体にいって恐怖そのものだった。

 活術の修練である精神修行のおかげで、大抵のことには動じない自信のある俺だけど、自分の生命が失われていくような感覚はさすがにクルものがある。

 

 「有事の時こそ冷静であれ」と言うじいさんの言葉が重くのしかかる。

 

 しかしながら、感覚が戻るときは一瞬だった。

 感覚が完全に消えたと思った瞬間、俺は一人森の中に突っ立っていた。

 

 鍛錬で山に行ったときも空気がうまいと思ったものだが、それと比べても数段空気が澄んでいる。

 自然を感じさせる土と木の香りは心地よいものだった。

 針葉樹と広葉樹が入り乱れた森は、十分陽光を浴びることができる程度の深さだ。

 これなら、特別な装備を必要としないだろう。

 

 太陽の傾きから計算すると、日本との時差はほぼないようだ。

 ここは異世界であり、時差という表現が正しいかどうかはわからないが。

 

 とりあえず、持ち物の確認からだ。

 屋上から投げ出されたときは、鞄などの荷物は屋上に置きっ放しだったが、足下には見慣れたスポーツバッグが転がっている。

 中を確認するが、勉強をするつもりはなかったので、教科書の類いは一切無し。

 替えの下着と、胴着と袴、ジャージ、タオル、筆箱、スポーツドリンクの粉、栄養補助食品、チョコレート、ソーラー充電器、それに財布だ。

 続いてポケットの中身は、携帯電話とハンカチ、ティッシュ、学生証、小銭入れのがま口、そして、父さんたちからの手紙だ。

 

 とりあえず、父さんたちからの手紙を除けばおかしいところはない。

 真っ先に確認するべきなのはこの手紙だろう。

 

 

 †

 

 

 恭弥へ

 この手紙を読んでいるということは、無事に転移できたことだろう。

 隷属術式を書き換えて、そちらの世界で生活するのに便利な力を与えることにする。

 父さんたちが与えた能力についてはこの手紙で説明するけど、それ以外にも、別な能力が発現しているかもしれないから、注意するように。

 父さんたちが与えた能力は、【メニュー】と【完全見取り】それに【限界突破】だ。

 詳しくは、【メニュー】から確認できるから、「メニューオープン」と唱えてみるといい。

 それでは、恭弥、達者で暮らしなさい。

 

 

 †

 

 

 とりあえず、言われたとおりに「メニューオープン」と唱えてみる。

 

 

 ──────────

 アイテム

 ステータス

 SP操作

 コンフィグ

 ──────────

 

 

 ARなウインドウが目の前に現れる。

 

 透過しており完全に視界が奪われることはないが、視界が遮られ見えにくいことは確かだ。

 

 試しにアイテムの文字に触れてみると、何もない空のウインドウが表示された。

 

 なるほど。アイテムは持っていないらしい。

 首をひねっていると、新たにウインドウがポップする。

 

 

 ──────────

 ■ヘルプ

 アイテムボックス。

 手で触れて、「格納」と念じることでアイテムボックスに収納。

 出すときは、アイテムの一覧から選択するか、取り出したいアイテムを思い浮かべながら、「取り出し」と念じる。

 メニューからも取り出しは可能。

 ──────────

 

 

 試しに、父さんの手紙を格納してみる。

 アイテム一覧が更新され、『父からの手紙』が追加される。

 次はステータスだ。

 

 

 ──────────

 名前

  藤堂 恭弥

 種族

  人間

 職業

  無職

 年齢

  18歳

 レベル

  1

 SP

  30

 生命力

  2000

 魔力

  120000

 力

  1100

 体力

  1000

 敏捷力

  1100

 知力

  1000

 精神力

  1000

 

 スキル

  メニュー(LV1)

  完全見取り(LV1)

  限界突破(LV5)

  SP操作(LV1)

  真理の魔眼(LV1)

  自動翻訳(LV1)

 

 ──────────

 

 

 これは……基準がわからないから、強いのか弱いのか想像がつかないな。

 

 ドラ○エだと最強だろうが、ディス○イアならどうだろう。

 まぁ、レベル1ってことは、いうほど強くないってことだろう。

 

 数値化されると微妙な感じがするけど、数値で表すことのできない力ってものは何にでもあるからな。

 戦闘経験しかり、じいさんから習った技しかりだ。

 

 それにしても、剣と魔法の世界か。

 魔法とか使えるようになるのだろうか?

 それは少し楽しみかもしれない。

 

 スキルの項目には父さんと母さんから貰った便利能力が表示されてるし、便利能力が表示されるのだろう。

 父さんたちから聞いていないスキルは、【SP操作】、【真理の魔眼】この二つか。

 

 表示されているスキルをじっと見ると、またヘルプウインドウがでる。

 

 

 ──────────

 ■ヘルプ

 ・スキル名

【メニュー】

 

 ・レアリティ

 10

 

 ・詳細

 レベル1

 ・アイテムボックス

  アイテムボックス内のアイテム一覧を表示する。

  アイテムボックスの使用方法については、こちらを参照。

 ・ステータス確認

  現在のステータスを確認できる。

 ・ARウインドウ(地図)の常時表示

  設定はコンフィグから(おこな)うことができる

 ──────────

 

 

 レアリティ10っていうのが、どれくらいのレアリティか謎だな。

 

 試しにコンフィグを開いてみると、『地図を常時表示する』という項目がぽつんと表示されている。

 とりあえずタップしてみると、地図の大きさと視界上での表示位置が選べるようだ。

 

 最大のものは視界を覆い尽くすほどのサイズであるため、自分の近辺だけを表示する最小の地図を表示することにする。

 どのみち一度通るか視界に収めた場所以外は地図には表示されないようなので、現状はこれで問題なさそうだ。

 

 迷ったら大きな地図にして確認すればいいだろう。

 

 

 ──────────

 ■ヘルプ

 ・スキル名

【完全見取り】

 

 ・レアリティ

 10

 

 ・詳細

 一度見たスキルや、術技を収集、習得することができる。

 

 レベル1

 生物が持つレアリティ9までの、スキル及び術技を収集、習得できる。

 レベル5以上のスキルも複製できるが、最初の複製では、レベル4での複製となる。

 ──────────

 

 

 これはまた、強力なスキルだな……。レベル1では制限があるようだが。

 

 父さんが言っていたように、元々見取り稽古は得意だからな。

 稽古にして極意、ひいては奥義でもあるわけだし。

 

 しかし、『一度見たスキル』ってのが曖昧だな。

 名前だけ知っていればいいのか、能力の発動を確認しなければいけないのか、その両方か。

 スキルだと知らずに見た場合はどうなるのか。

 まぁ、追々確認だ。

 

 

 ──────────

 ■ヘルプ

 ・スキル名

【限界突破】

 

 ・レアリティ

 9

 

 ・詳細

 各種制限の限界を突破する

 

 レベル1

 パラメーターの種族上限突破

 レベル2

 レベル上限突破

 同一経験での成長上限突破

 レベル3

 連続成長上限突破

 レベル4

 スキル、術技習得制限突破

 スキル、術技習得数限突破

 レベル5

 種族制限突破

 ──────────

 

 

 成長の限界がなくなるってことか?

 まぁ、今はレベル1だしな。

 ステータスもそれなりだ。

 

 今のところは気にしないでも良いだろう。

 レベルが99とかになったら改めて気にすれば良い。

 

 

 ──────────

 ■ヘルプ

 ・スキル名

【SP操作】

 

 ・レアリティ

 10

 

 ・詳細

 SPを操作して、スキルや術技のレベルを上げることができる

(注:SP操作はメニューから(おこな)ってください)

 

 レベル1

 自身のスキル及び術技のレベルを上げることができる

 ──────────

 

 

 メニューから選択してみると、レアリティと同量のSPを消費することで、各スキルのスキルレベル上げることができるようだ。

 現状SPは30。

 回復する手段もわからないし、【真理の魔眼】以外のコストは軽いとはいえない。

 とりあえず放置だな。

 

 

 ──────────

 ■ヘルプ

 ・スキル名

【真理の魔眼】

 ・レアリティ

 4

 

 ・詳細

 魔眼。鑑定眼の上級で、アイテムの他に、他人のステータスを見ることができる。

 レベルが上がると、(ことわり)を見通すことができるようになる。

 

 

 レベル1

 アイテムの情報を見ることができる。

 他人のレベル及び、レアリティ9以下のスキル情報を見ることができる。

 ──────────

 

 

 試しに近くの草に目を向けてみる。

 魔眼の発動方法がわからなかったが、とりあえず目に氣を集めると、

 

 

 ──────────

 ・名称

 ヒポクネ草

 

 ・詳細

 回復の薬草。

 そのまま傷口に湿布するか、煎じて飲むことで効果を発揮するが、生成されたポーションから比べると、効果は低い。

 ──────────

 

 

 おお、なにげに便利そうだな。

 

 ついでに、ヒポクネ草も摘んでいくことにする。

 足下に大量に生えているので、適当な量を摘んでアイテムボックスに放り込んでおく。

 ファンタジーな不思議草だ。いつか、何かの役に立つだろう。

 

 で最後が……っていっても、大体想像が付くけど……。

 

 ──────────

 ■ヘルプ

 ・スキル名

【自動翻訳】

 

 ・レアリティ

 2

 

 ・詳細

 自分の思考言語以外の言葉を、思考言語に自動翻訳する。

 翻訳先言語は任意に変更できるが、特に意識をしない場合は大陸共通語に翻訳が(おこな)われる。

 自分が話した言葉は、自動翻訳される。

 文章を記述する際は、スキルによって自動書記することで記述が可能。

 翻訳できる言葉は、レベルによって変化する。

 

 レベル1

 大陸共通語

 

 ──────────

 なるほど。

 いきなりすべての言葉を翻訳することはできないのか。

 とはいえ、この共通語ってのだけで十分そうだけどな。

 これで一応全部のスキルを確認し終わったか……

 

 

 

 

 すみません、説明回みたいになってしまいましたね……

 

 ──────────

 

 ■改稿履歴

 旧:

 生物が持つレアリティ9までの、スキルおよび術技を取得できる。

 新:

 生物が持つレアリティ9までの、スキルおよび術技を収集、習得できる。

 

 旧:

 レベル5のスキルも複製できるが、最初の複製では、レベル4での複製となる。

 新:

 レベル5以上のスキルも複製できるが、最初の複製では、レベル4での複製となる。

 

 限界突破スキル説明内文言を解除から突破に変更しました。

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