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僕の愛する部下が幼女と友達になった。

作者: 黛 カンナ

リクエストでの要望が多かったので、書いてみました!

 その男の子は、よく色んなものを壊す子だった。

 大好きすぎて、愛ですぎて、それでよく壊す子だった。


「それ、壊れたよ。バラバラだよ?捨てないの?」


「うん、宝箱に入れて大切にするんだ」


 そういって、彼がバラバラになったウサギの死体を詰め込んでいた。





 僕の名前は咲哉。

 とあるブラックでアレな、所謂ヤクザの組長だった父の跡を継ぎ、若干悪どいことをしている。


 そんな僕には狂兎という、とてもとても可愛い部下がいる。


 小さいときに、とある孤児院で拾った彼は狂ったように強いくて命令に充実で忠誠心もあるんだけど、少しバカで変なところでウサギのように純粋だった。


狂兎(きょうと)……愛してるよ……」


「ふーん……」


 僕は限りない愛を注いでいたし、彼も僕を受け入れてくれていた。

 彼には家族がいない、友人もいない。僕さえいればいいじゃないかと思ってた。


「友達が……ほしい」


「君に友達なんか出来ないよ、愛してくれる人もいない」


 よく友達が欲しいとかボヤいてたけど、裏の仕事をしている彼に、しかもかなり血生臭いことやってる狂兎に友達が出来るわけもなかったから、安心していた……


 それなのに、今日の狂兎は友達が出来たとハシャギながら帰ってきた。

 キラキラした笑顔の彼はとても可愛くて悶えたけど、それ以上に戸惑いを隠せなかった。


「スゲーいい奴でさ!普通に会話が出来たんだ!」


「え、まってよ。君って確か裏切り者の抹殺に行ってたよね?どうやって友達ができるの?」


 現に、彼の服は血まみれだ。

 僕はそんな狂兎も可愛いからいいけど、一般人なら絶対に関わりたくないだろう。


 もしかして、彼は友人欲しさに幻覚でも見たんじゃないだろうか?


「それ、怪しくない?一旦冷静になりなよ」


 狂兎に友人が出来る筈がない。

 なのに友達が出来たということは、幻覚か、もしくは、組に近づくような奴なのではと思ったのだが、彼は首をふった。


「金平糖をくれて、横に死体があっても気にせずにお茶を飲んでくれたんだ」


 完璧にあやしい。


 うっとりとした目で話す狂兎は可愛いが、その友人という人が怪しい。そもそも存在自体が怪しいし、っていうか……


「狂兎……狂兎の友達は僕だよね?」


「?……咲哉は上司だろ?」


 ごく自然に、いつもの無表情で意味が分からないという顔をして、そう答えられた。

 あ、ヤバイ泣きそう。


「明日も明後日も来てくれるんだってさ……スゲー嬉しい……」


 うっとりと、本当にキラキラした顔でいうもんだから、僕はその笑顔を潰すことが出来なかった。


 僕にだってそんな顔をしてくれたことなんて無いのに!!


 しかし、僕の葛藤を知るよしもない狂兎は、ワクワクした様子で、毎日、その『友人』との関係を続けていた。


 とはいっても、公園で10分か15分くらい喋る程度のものらしく、そんなものは友人とは言わないと思うのに、彼にとっては友人らしい。


「……狂兎は騙されているんだ……!……僕が守ってあげなきゃ」


 そんな使命感のもと、僕は部下に命令して『友人』を調べあげることにした。きっと、ろくでもない奴だと思っていたのだが……


 調査評には、予想外の人物が書かれていた。


「……ふざけているのか?」


 思わず僕はそう聞き返したが、部下は少し目線を反らしながら答えた。


「事実です……狂兎さんの『友人』は……小学生の女の子です」


 ……狂兎、僕の知らない間に幼女に目覚めちゃったのかな?


 そんなアホな心配はしたが、調査票を見る限り、家は貧乏で借金はあるがそういう身売り的なことはしてないらしく、他の組との繋がりはないらしい。


 だったら、話は早い。


 警戒心が全くないって訳じゃ無さそうだから、適当に噂を流して、それで無理なら親の方にでも圧力をかけよう。


「……うん、これで解決☆」


 とか、思ってたんだけど……


「咲哉……最近……友達が来てくれねーんだ」


 休憩時間に、いつものように公園へと行き、戻ってきた狂兎が落ち込んだようにそういってきた。

 どうやら、僕の作戦は成功した。それはすごく嬉しいんだけど……


「……っうぅ……咲哉……俺、嫌われたかな?」


 狂兎はそんな、ウルっとした目で見てきた。

 まるで寂しくて死んでしまいそうな兎のような目をするから、流石に可哀想だなと思い、少しぐらいならと、軽い気持ちでいってみた。


「僕が……会わせてあげようか?」


「本当か!?」


 しかし、狂兎はキラキラとした目をこちらに向けた。

 初めて、よく考えれば初めて僕は、狂兎にこのキラキラとした目を向けられたと思う。


「スゲー嬉しい!!ありがとう!大好きだ!」


 ……は、初めて僕を……大好きだと……


 その日は一日中、天にも昇るような気持ちで過ごした。





 次の日、僕は狂兎の約束を果たすために、冬美ちゃんのとこへと行った。下校中の一人の時を狙い、話しかける。


「こんにちわ~」


「こ、こんにちわ」


 警戒しているのは分かるけど、挨拶を返しちゃってる辺り、意思が弱いから流されやすそうな子だなと思った。


 見た目的にはそこそこ、いかにも貧乏臭いけど、売ったらそれなりに高そうな値段になりそうな子だった。


「僕の名前は咲哉。よろしくね、よろしくついでにちょっとさ、ちょこっとだけお話ししたいんだけどいいかなぁ~?ん?」


 僕は冬美ちゃんの肩を強くつかみ、拒否をさせないようにいえば、コクリと頷いた。それをいいことに事務所に連れ込む。


 冬美ちゃんは、嫌がりはするが、暴れもしなければ泣かなかった。

 変に度胸があるのか、それとも危機感がないだけなのか……


 そう思いながら、僕は質問した。


「どうして公園に来ないの?」


 ぶっちゃけ僕が噂を流し、それで警戒心を高めたからだと思うけど、それを率直には言わないだろうと思っての、彼女の頭の良さを量る為の質問だったのだけど……


「だってヤクザじゃん」


 率直に愚直にストレートにそういったものだから、ヒクりと口許をひきつらせてしまった。


 大体の、冬美ちゃんという人物が分かった。


 彼女は、頭が中途半端だ。

 冷静な思考を持ってるし、状況を判断出来るから、頭は悪くないけど、根本的には平和に育ってるから、正論を絶対の武器と思う幼稚さがある……


 あぁ、僕の一番嫌いなタイプ。


 ガチャリ


 彼女の額に躊躇なく銃をつきつけた。


「ここで脳天が吹き飛ぶのと、彼の友達に戻るのどっちがいい?」


 途端に青ざめる彼女。

 それでも泣こうとしない彼女に若干苛立ち、もしかしてまだ何とかなるとか考えているんじゃないかと思い、退路をたつ。


「言っておくけど、警察に駆け込んでも無駄だから、まぁ断ってもいいけど、そうなったら君の家を潰してあげるね。あとは君の友達も消してあげる。でもね、受け入れてくれるなら大丈夫だよ、ちゃんと報酬も払うしさ、まぁ地獄がみたいなら別にいいんだけど……どうする?」


「あの……いつまでですか?いつまで……やるんですか?」


 中途半端に頭のいい彼女はそういってきた。

 全く、バカだと思う。もし僕が『100年間』とかいったらどうする気だ。


 けれど、狂兎はこんな女に執着している。


「彼が飽きるまで、飽きたら晴れて君は解放される。大丈夫さ……まぁ、でも……」


 言おうとするまえにドアが開いた。

 何だと思ってみやれば、そこには狂兎がいる。少し長い髪をゆらし、肩で息をしながら此方をむいた。


「俺の……友達が来てるってホントか!?」


「うん、本当だよ……ほら」


 隠れるようにいた冬美の背中を強引にボンと押し、狂の前に出した。


「どうやらね、少し風邪をひいてたみたいで公園に行けなかったみたいなんだ。それで困ってるみたいだから此処に案内したんだ、そうだ、公園以外でも友達になりたいってさ」


 嘘八百。

 冬美ちゃんはうんざりした様子だけど何も言わなかった。

 狂兎はそんな冬美ちゃんのに気づかず嬉しそうに目を輝かせた。


「スゲェ嬉しい……冬美、何処か遊びに行こうか?あ、友達になったから俺のことは本名で狂兎きょうとって読んでくれ」


 顔は完璧にノーだったけど、肩をつかんで、それを阻止すれば、観念したように首を縦にふった。


「じゃあ行こうぜ……!」


 そう言って、狂兎は冬美ちゃんを引きずって部屋を後にした。




「……さて、どうしようかな……」


 僕は誰もいなくなった部屋で銃をもてあそぶ。

 ぶっちゃけ、冬美ちゃんを殺したいとは思う。


 けれど、それがバレたら狂兎に嫌われてしまうだろうし、幾ら嫌いとはいえ、流石に可哀想かなと思う。


「狂兎は執着したら壊すまで離さないからな……」


 ピロリーン


 考えている途中にメールが来たので、開けば狂兎からだった。


『会わせてくれて、ありがとう!スゲー嬉しかった!大好きだ!』


「……あぁ……あぁ……僕も愛しているよ……」


 嬉しさの余り、僕は涙を流した。


 やはり、今は手綱を握っておこう。


 冬美ちゃんを僕が支配する限り、狂兎は僕をずっと見てくれるだろうし、二番目でも愛してくれるだろう。


 冬美ちゃんも冬美ちゃんで、頭は悪くないから、必死で狂兎の友人を演じるだろうし、壊れるとしても時間はかかるだろう。


 だから、これでいい。


「さてと……取り合えずは冬美ちゃんの家に行くかな」


 多分、冬美ちゃんが帰ってくるころには全て片付くだろう。


 泣きわめくかどうかは分からないけど、汚い大人の力に抗えない。





「狂兎が飽きるまでは付き合ってもらうからね」


 でも、彼は壊れてもその破片を宝箱にいれて愛するような子だから、そんな日は一生来ないだろうけど。



咲哉はこの後、冬美ちゃんの家に行って借金を盾にアレコレします。

書けませんでしたが、咲哉の愛は行きすぎた家族愛みたいな感じで、若干一方通行です。

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